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今回は1棟目の物件購入にまつわるエピソードをお話ししたいと思います。当時を振り返りつつ、今ならどんなやり方が適切なのか、そんな視点で書いてみました。

まずは、私が不動産を始める前はこんな心境でした。

・やるなら失敗したくない

・思い立ったら、早く始めたい

・サラリーマンを早くリタイアしたい

失敗したくないという気持ちは皆さんがお持ちと思います。しかし、それ以上に早く始めたいという想いがありました。どれだけ知識を付けようが、実践しなければ何もしていないのと変わらないですし、何よりもチャレンジできる時間が失われてしまうのが嫌だったのです。

当時、年齢は31歳。社会人として少しずつ信用力も付き始めている時期でした。独身ならば「勝手にリスクを負ってやってくれ」という状況です。しかし、ちょうど結婚したばかりでした。

私はチャレンジしたい人間、妻は保守的な人間。実は不動産を始める少し前に、転職を考えていました。給与は一時的に下がりますが、私はやりがいを重視していて、ビジネススキルも身に付きそうだったので積極的に考えていました。しかし、妻には猛反対され、結局取りやめました。

当然、私のモヤモヤは解消されず、会社の物足りなさを不動産で補えないかと考えました。結果的にはこれが良い方向に転んだのです。特に不動産購入を考えている人は、一時的な感情に流されずに転職は慎重に考えることが重要だと思います。

初めて購入した物件

購入金額

7700万円(希望価格は8300万円で出ていました)

利回り

9.3%

満室想定家賃

60万円/月(年間720万円)

構造

RC造

築年数

20年

駅徒歩

武蔵小杉駅徒歩10分(新丸子駅 徒歩5分)

借入金額

7400万円

金利

4.5%

期間

30年

【物件の購入理由】

・当時再開発が進んでおり、物件価格が下がりにくいことが十分想定できたため

・中原街道沿いで道路付けも良く、片側一車線の程よい交通量で、騒音も気にならない

・満室でオーナーチェンジできるので、購入後すぐに家賃が入ってくる

・女性入居者も最初から入っていたので、単身者用としてニーズがありそう

・1階、2階はテナントが入っていたが、道路付けも良いことから仮に退去しても次が決まりやすそう

現在では住みたい街ランキングの上位に食い込んでいる駅です。事前準備としてやることは、今とほとんど変わらないのではと思います。

・書籍を読む(10~20冊)

・有料セミナーに参加してみる(2~3か所)

・インターネットで物件を調べる(ほぼ毎日)

・インターネットで気になった物件を問い合わせて不動産屋を訪問(5社ほど)

・不動産屋に連れられて物件の視察(3~5か所)

これらのことを3カ月ぐらい集中してやりました。

当時は、購入に値しそうな物件が今よりはるかに多かったです(その分、融資もつきにくかったですが)。今、同じプロセスでやっても悪戯に時間を費やしてしまいそうなので、今ならば、どうすれば良いのかという視点でアドバイスさせていただきます。

まず、不動産を「賃貸業」という事業で考えます。事業が存続するために必要な要素は、例えば以下のような点です。

□Check1 環境変化に合致しているのか

□Check2 将来にわたって競争優位を持続できるのか

不動産賃貸業は需給バランスが全てと言っても過言ではありません。当然ですが、人口減少や空き家問題など、関連する要素をしっかり見極めた上で物件を購入する必要があります。全く見知らぬ土地だとマーケティングに時間がかかるので、土地勘がある立地で始める人が多いのだと思います。

顧客

単身者/ファミリー、男性/女性、年代など

部屋

共同住宅(1R,3LDKなど) or 戸建てなど

どんな人にどんな部屋を提供すれば成功するのか(需給バランスが崩れないのか)を考えておくと失敗しづらいでしょう。

□Check3 評価基準を決めて優先順位を明確にする

不動産は一つとして同じものがないので、どの評価基準を優先させるかを決めましょう。例えば、以下のような点です。

【物件選定】

・エリア(駅からの距離)

・利回り

・建物の構造・デザイン

・築年数

・間取り(部屋の広さ)

・土地の形状

・修繕状況

・積算評価

・入居率


【物件運営】

・DIY

・管理

・入居付け

・少額短期保険への加入手続き(自分で代理店をすれば手数料が入るようになります)

複数の視点で評価することになります。あれもこれもではなく、評価項目に重みづけをして優先すべき項目を絞り込みましょう。私の場合、入居者が決まらないことが一番のリスクと考えたので、利回りが多少低くても賃貸需要が見込める立地を選びました。

利回りが低いと手元に残るお金が少なくなりますが、管理費を削減して自主管理することでお金を残りやすくしました。自主管理するなら移動時間もコストなので、自宅から近い場所が良いな、というように条件が絞り込まれてきます。

このように「物件選びで優先すべき項目」、そして「運営上やることとやらないこと」を明確にしておきましょう。

□Check4 「実現可能なのか」を知る

これも早いうちに見極めが必要でしょう。具体的にはどの規模感の物件が買えるのか(ローンがどれぐらい引けるのか)です。結果的に現金で買っても良い訳なので、自分のポテンシャルを知っておきましょう。逆に現実を突きつけられて融資で買い進めようとしていても、融資が出ないことも十分に考えられます。これを見極めることで選択肢が絞り込まれます。

一番効率的なのは仲介業者に調べてもらうことです。ちなみに、我々も仲介業者の実力を見極めようとしていますが、仲介業者も「この顧客がどんな物件を買える客なのか」を見極めようとしています。

これを解消するために、予め自分の資産状況と所得をまとめておきましょう。私の資産は、B/S(貸借対照表)の形にしてまとめています(初期はB/Sまで必要ないかもしれませんが、増えてくると必須です)。

「本当に信用できるか分からない不動産屋に自分のことを晒して大丈夫か?」と心配だと思いますが、自分の時間が有限であることを考えると、見せてしまった方が合理的です。早めにパートナーとなりえる仲介業者を開拓しましょう。

【まとめておく項目】

・現金(流動資産)

・有価証券(流動資産)

・自宅有無(固定資産)

・車(固定資産)

・借入状況(固定負債)

・配偶者含む世帯所得

最大でも世帯所得の5~10倍のレバレッジに抑え、仮に失敗しても貯金の一部を取り崩せば耐えられるぐらいの規模感にしましょう。

1~4の項目がある程度固まっていれば、楽待さん経由で仲介業者を見つけるでも良いですし、地場の不動産屋に行くでも良いと思います。固まっていない人は、自分の足で複数の現場を見ながら、方向性を固めていって頂ければと思います。

ローンの心理的な障壁

初めて不動産を購入する方は、これも一つのハードルになるかと思います。当時の感覚は、4000万円ぐらいのローンを想定していました。住宅を買うのと同じぐらいの規模感です。

しかし、物件を探していくと、欲しいと思っているエリアにはこの金額ではほとんど物件がありません。背伸びをして5000万円と、少しずつ気持ちが大きくなっていきます。そして、最終的に購入検討物件の金額が7700万円(ローンは7400万円)。当初の2倍近い金額になっています。

これをどう乗り越えたかというと、視点を目先ではなく、先に向けました。

「目先で7400万円のローンを組む」ではなく「○年後に借入が△になっている」。ローン期間が30年であっても、さすがに30年後の世の中は想像できないので、5~10年先に借入がどれぐらい減っているのか。その間にキャッシュフローがいくら貯まっているのか。そんなシミュレーションです。

特に、10年後にいくらで売却できれば損をしないのかという視点を重視しました。あくまでシミュレーションなので、将来のことは分かりませんが、精度を上げるために最低限5~10年需要があるエリアを選ぼう。そういう意味では再開発が進んでいる武蔵小杉エリアは安心感があり、しっくり来ました。

供給も増えてしまうので、需給バランスで見るとどうなの? という話もありますが、需給ともに増えていけば土地値が上がっていきますので、売却時にキャピタルゲインも見込めるだろう。そんな理由から、1棟目として金額は背伸びをしましたが、この物件に決めました。

抵抗勢力になるであろう妻を最初から物件選びに同行させて、複数の物件の中では妻も一番気に入った物件でした。ポイントは「妻も一緒に複数物件を見た」ということだと思います。こちらで気に入った物件を一つだけ見せても、判断しづらいと思いますが、物件を複数見せれば相対的にどれが良いかという判断が付きやすくなります。抵抗勢力の抑え込みにも成功しましたが、不動産仲介業者とのバトルもあり、こちらは長くなりそうなので次回へと持ち越します。

事前準備を大切に

この後、地道な自主管理や、毎年の金利値下げ交渉などで、安定的に年間約200万円のキャッシュフローを生み出す物件になりました!

以上、本日のコラムをまとめると、物件購入前にすべきことは以下の通りです。

・物件評価軸の中で優先度を決める。運用でやること、やらないことを決める

・物件の金額規模感の当たりをつけるために、資産背景をまとめて仲介業者を訪問する

・5~10年後のシミュレーションをして、リスクに備える

・抵抗勢力の配偶者には、できるだけ現地視察を同行してもらう

買えない時期でも、いつ来るか分からない買場に備えて事前準備しておきましょう!