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今回は、自身が所有する収益物件の一画で営んでいる「バイクガレージ」を紹介しましょう。

ひとたび退去されてしまうと次の入居者がなかなか決まらない…、店舗付き物件にはそのような悩みが付きもの。そうした問題に頭を抱えるオーナーは多いことでしょう。私が所有する物件でもテナントの退去が重なり、せっかちな性格も手伝って、コインランドリーに続くさらなる事業展開を検討し始めたのでした。

自分で開業するしかないのか

とはいえ、テナントに入居してもらえるならそれがイチバン! そのような思いから、「出店候補地募集」や「店舗候補地募集」などのキーワードで店舗物件を探している事業者の検索に明け暮れる日々が続きました。

条件に合うものを見つけては、空き店舗の概要を添えて出店依頼のメールを送ってはみるものの、良い返事はなかなかいただくことができません。エリアや広さなど、条件が合致しなかったことが理由です。

やはり、自分で開業するしかないのか? 時間が経つにつれて、そう思うようになっていきました。

初めに思いついたのが、お弁当屋さんと調剤薬局でした。周囲に競争相手となる店舗がないことに加え、30坪という広さも手頃ではないかということで考えついたのがお弁当屋さん。また、空き店舗があるマンションの1階には歯医者さんが入居していることから、調剤薬局があったら便利ではないかとも考えました。しかし、これらの業態のお店を自分で始めるとなるとどうか? 資格や許可、設備面の他に、人を雇わなければならないという高いハードルがそこには存在します。

そうやって考えていくうちに心が折れ、やがて思いついたのがトランクルームでした。ところが、屋外型のコンテナボックスも含めると類似の施設は当該物件の周辺に多数存在していることが分かりました。

店舗があるマンションの管理を委託している管理会社にお願いして、あるコンテナボックスの稼働率を調べてもらったところ、稼動率は50%強とのこと。オープンして間もないということでもないようですから、この数字を見る限り収益力に対して懐疑的にならざるを得ません。

また、改修の見積もりをお願いした業者さんから提案されたレイアウトを確認すると、整備できるのはせいぜい10区画程度。それでは満室になっても月に5万円の賃料しか受け取ることができず、家賃10万円で賃貸した場合の半分にすぎません。「あるコンテナボックスと同様、半分しか埋まらなかったら…」、そう考えると、それ以降トランクルームについても前向きに考えることはできなくなってしまいました。

トランクルームからヒントを得て、次に思いついたのがバイクガレージでした。最終的にこのバイクガレージに落ち着くことになるわけですが、どうしてバイクガレージを選んだのか? これからご紹介します。

雇用の必要なし!

バイクガレージに惹かれた理由のひとつは、トランクルームと同じく人を雇う必要がないということです。人を雇用するとなると、それなりの責任が生じることになり、それと同時に経営者としてリスクを負うことにもなります。そうした負担がないだけでも、バイクガレージにはかなりのアドバンテージがあるといえるでしょう。

装置産業であるコインランドリーにも同じことが言えます。毎日のお掃除が欠かせないコインランドリーでは、短時間のパートさんの協力が必要になることもありますが、バイクガレージではパートさんを頼ることすら必要ありません。管理とリーシングについては、管理会社にお願いしてしまえば良いわけです。

皆さんは、平成18年に道路交通法が改正されたことをご存知でしょうか? 道交法の改正以来、自動車だけでなくバイクの違法駐車に対する取り締まりも厳しくなりました。皆さんも、緑の制服を纏った監視員が巡回している姿を目にしたことがあることでしょう。いまでは当たり前に目にするようになった、こうした民間業者による違法駐車車両の取り締まり。実は意外と最近、平成18年以降に始まった制度だったんですね。

自動車は月極駐車場やコインパーキングに駐車すれば取り締まられることはありませんが、バイクはどこに駐車したらよいのか?

そうなんです、当時バイクの駐車場は圧倒的に不足しているという現実があり、こうした状況はいまもあまり変わっていません。つまり、バイク駐車場の整備は急務であり、ライダーによって渇望されているものだということを知りました。ニュースやネットなどによると、国会議員たちもこの問題に取り組んでいるようで、自由民主党のオートバイ議員連盟総会なるものでは、二輪車の駐車場整備に向けた活動などが推し進められているようです。

安定した収益が望める

また、ひとたび満車になってしまえば安定した収益が望めることも、バイクガレージの魅力のひとつです。

ホントに満車になるの? そう思う人もいることでしょう。私もそのひとりでした。

そこで、バイクガレージの提案を受けた業者さんが管理する他のバイクガレージを見学させてもらうことにしました。3カ所巡って、ナント3カ所とも満車だったのです。これには驚きました。念のため、この業者さんが管理している他のバイクガレージの稼働率も調べてみたのですが、いずれも高稼働率で運営されており、前章の内容を裏付けるものでした。バイクガレージの需要が高いことは間違いなさそうです。

業者さんに伺うと、満車になるまでには約1年の期間を要するとのこと。1年の間にも需要には波があり、ライダーが活動を休止する12月~3月頃までは動きがないのだそうです。既に8月、ライダーが休眠するまで3カ月ほどしかありません。

シミュレーションによると、300万円の改修費用は3年から3年半で回収できることになります。平均稼働率を95%とすると、2年目以降は毎年114万円の収益が得られることも魅力です。解約待ちをするお客さんも少なくなく、満車になった後に賃料を1000円~2000円上乗せして募集すれば、家賃収入のアップも期待できます。

解約理由の多くは転勤や廃車によるもの。つまり、解約の頻度が低く、ひとたび満車になれば安定した収益を見込めることになります。これらを総合的に考えてリスクが低く期待値が高いビジネスだと判断した私は、すぐにゴーサインを出しました。

10月に稼働を開始した後、3カ月で3台の契約をいただきました。その後、翌年2月に1台、4月以降ほぼ1カ月に1台ペースで契約をいただき、10月に満車にすることができました。満車までに要した期間は、ほぼシミュレーション通りということになります。

開業から2年を迎えるこの10月、残念ながら2台のバイクが解約する運びとなりました。このように予期せぬ解約が続いたとしても収益がゼロになることがありません。それも安定した収益が期待できるバイクガレージのメリットと言えるでしょう。

所有するバイクガレージ

ランニングコストは電気代と水道代のみ、その他の経費はほとんどかかりません。愛車の整備でライダーが長時間ガレージに滞在することも考えられます。そのようなライダーのために、トイレは用意してあげると親切でしょう。他に、バイクの泥や汚れを取り除くために使うエアコンプレッサーや、各自のヘルメットなどを保管しておくことができるロッカーといった設備があると喜ばれます。

実は、空き店舗をバイクガレージとして整備した後、店舗を借りたいという数名のお客さんから連絡をいただいております。そのような連絡を受けるたびに、「バイクガレージにせずもう少し待っていた方がよかったかな…」と思うこともありますが、いつお客さんが現れるかは誰にもわかりません。

せっかちな自分自身の性格を考えると、あの時の私に与えられた選択肢は攻めの経営しかなかったようにも思えます。