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読者の皆様は、どのような方法で金融機関にアプローチし、金融機関との関係性をより深いものにされていますか? 不動産投資の成否を考えたとき、金融機関の取引数も大切だと思いますが、僕の経験上、その関係性に尽きると言っても過言ではないと思っています。

今回のコラムでは、僕がある金融機関でどのように関係性を築き、そして融資枠の拡大を実現してきたのか、ということをご紹介します。

不動産投資で「メインバンク」は必要ない?

不動産投資ではメインバンク(主に取引する金融機関を1行に定め、密接な関係を保つという日本独自の金融慣行)は必要とないという声が多い気がします。本当に不動産投資ではメインバンクは必要ないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、メインバンクがあってもなくても不動産投資では成功できると思います。

かく言う僕も、不動産投資の初期段階では「メインバンクは必要ない、複数の金融機関から1~2億円ずつ融資を受けることができればそれで良い」というスタンスでした。一般的なサラリーマンに融資してくれる金融機関の融資枠は、せいぜい1~2億円くらいだと考えていたからです。

しかし、不動産投資を始めて4年ほど経ちますが、僕にはメインバンクがあります。「この金融機関!」と狙い撃ちしてメインバンクを作ったというより、自然とある金融機関がメインバンク化したという感じです。

既述のように、メインバンクはあってもなくても良いとは思いますが、実際にメインバンクを持ってみて、メインバンクがあると「不動産投資が楽になる」というのが率直な感想です。

メインバンクとの出会い

僕のメインバンクはメガバンク等ではなく、某地方銀行です。どこの地方銀行も同じだと思いますが、地方銀行は「地域発展のため」といった役割を担っています。そのため、基本的にその銀行が存在するエリアに何らかの縁やゆかりがないと融資をしてくれません。

しかしながら、これはあくまでも原則であって、必ず例外は存在します。僕もこの例外に当たった口です。以前のコラムで銀行開拓についてはご紹介しましたが、メインバンクとなっている地銀もローラー的なアタックで開拓したある田舎の支店です。

今では良好な関係性を築けている支店ではありますが、開拓当初はなかなか話を聞いてもらえませんでした。しかしながら、この支店の優秀な担当者Aさんと知り合うことにより、私の不動産投資人生が変わったのです。Aさんは私の話を真剣に聞いてくれ、融資が可能となるよう道筋・ロジックを一緒に考えてくれたのです。そのロジックというのは以下のようなものです。

「私は不動産鑑定士。○○市には現在、不動産鑑定士が3名ほどいる。しかしながら、3名はいずれも高齢で、公的評価(地価公示や路線価評価等)からの引退も近い。数年後、○○市で私が独立開業すれば、独占的に仕事が取れる。将来は○○市で独立して地域貢献したい

このようなロジックを組むことにより、Aさんは行内の承認を取ってくれたのです。これが将来メインバンクとなる某地方銀行との出合いです。

この地方銀行から融資が受けられることが判明しましたので、当時の担当者Aさんに「自分はどれくらいの融資枠があるのか?」といったことを聞いたことがありました。

Aさんの回答は、「鑑定士×投資家さんの場合、ご本人及び奥様の年収、勤務先、勤続年数、資産背景等を総合的に見ますと、お貸しできるのは2億円くらいまでだと思います」といったものでした。

この言葉通り、不動産投資スタートから1年ほどで2億円の融資を受けることができました。2億円を借り切ってしまったので、もう追加融資はしてもらえないかな? と思い、ダメ元で担当者Aさんに「購入を検討している物件があるのですが、追加融資をしていただくことは可能でしょうか?」と相談してみました。

Aさんの回答は「鑑定士×投資家さんの物件は、保有物件すべての担保評価が良いので(高積算)、担保余力が出ています。購入当初の稼働率は悪いものの、鑑定士×投資家さんにオーナーチェンジした後はどの物件もすぐに満室になっているので、鑑定士×投資家さんの経営手腕は行内で評価が非常に高いです。なので、物件次第ではありますが、融資枠を1億円ほど上乗せすることも可能です」といったものでした。

経営成績が認められ、融資枠が上がった瞬間です。この辺りから、サラリーマン属性ではなく、一事業者として融資を引けるようになったと感じています。

現在では、この優秀なAさんは別の支店に異動になってしまい、後任者のBさんが担当になっていますが、BさんはAさん以上に積極的な方です。Bさんが担当者になってから追加で2億円ほどの融資をしてもらっています。Bさんは、支店長及び本店の担当者に対して、私の経営成績を常にアピール、いつでも融資を出せる環境を作ってくれているそうです。なので、物件を持ち込むと1週間ほどで承認が出ることもあります。

Bさんにも融資枠について同様のことを聞いてみたことがあります。Bさんの回答は「前任者のAから当初2億円という話があったと思いますが、現時点で既に5億円ほどを融資させていただいており、鑑定士×投資家さんの場合は融資枠という概念自体がなくなりつつあります。幾らまでお貸しできるということは申し上げられませんが、持ち込まれた物件、経営成績でその都度前向きに検討させていただきます。先ずは当行にご相談ください」といったものです。

今では、完全にサラリーマンではなく、「一事業者」として見られている訳です。

融資を断られたことがない

メインバンクであるこの地方銀行には、ここ4年で10件ほどの物件を持ち込んでいます。意外に少ない件数だと感じられるのではないでしょうか。

しかしながら、この持ち込んだ約10件、すべてフルローン以上の融資承認が出ているのです(実際に購入に至ったのは半分ほど)。持ち込んだ案件100%で融資承認を取れることはなかなかないと思います。

なぜ100%の融資承認を得られたかというと、僕が超高属性で金融資産を何億円も持っているからではなく、2つの理由があるのです。

1.稼働率が悪くても、担保評価額が出る物件を持ち込んでいること

2.稼働率をすぐに改善できるという実績を作っていること

1については細心の注意を払っています。相場より割高な物件を持ち込むようなことは絶対にしません。無能な投資家というレッテルを貼られるからです。必ず、売買価格を大幅に超える高積算の物件を持ち込んでいます

2については一朝一夕にはいきませんが、不動産投資家として当たり前のことをやっていれば物件は必ず再生できますので、その実績を示すだけです。この2つを実践することにより、物件選択・物件運営について非常に優秀な経営者という印象を植え付けているのです。

最近、保有物件の2つを売却しました。2つとも物件サイズは小さいですが、購入価格の2倍以上で売却できています。ずっと満室で運営してきましたので、保有期間中のキャッシュフローと売却益を見せることで、メインバンクからの評価をさらに上げることに成功しています。

ただ、金融機関の売却に対する見方は以下の2つがありますので、注意が必要です。

1.キャッシュポジションを上げることを評価する金融機関

2.単なる転売屋とネガティブにみる金融機関

私は物件を売却する前に、メインバンクに「物件を売却することで今後の融資に影響があるのか?」ということを確認しています。

担当者Bさんの回答は「特に売却益が取れるのであれば問題ありません。また、残債が減るので、次の融資がしやすくなります」といったもので、この了解を得てから売却に踏み切っています(1のケース)。

一方、2のように転売をネガティブに捉える金融機関もあります。金融機関の主な収益源は言わずもがな「金利」です。売却によりローンを全額返済されてしまうと金利が取れなくなりますので、転売屋には次回からは融資をしないという理屈です。

売却の際は、予め金融機関の売却に対するスタンスを確認しておくことをお勧めします。