大学院在学中に不動産投資を開始した「学生大家」。これまで20億円以上を投資し、最多では250戸の物件を所有、年間家賃収入は最高で2億5000万円にも上った。総資産額約15億円の石渡浩さんが2016年、自身の法人について、M&Aの1つである株式譲渡を行ったことは記憶に新しい。

なぜ不動産投資の世界に飛び込み、どのように規模を拡大していったのだろうか。これまでの半生を振り返り、そして不動産投資におけるM&Aという新たなステージを経て、今思っていることとは。

株式投資より不動産投資を選んだ理由

不動産投資を始めたのは2005年。当時は大学院に在学中だった。だが、実は不動産投資以前に株や外国為替に投資し、利益を得ていたという。

「もともと、親が株式投資をやっていたという影響もあります。また、2000年ごろから手数料の安いFXやインターネット証券がどんどん増加していったことで、従前より個人投資家が利益を享受しやすくなったという時代背景も大きいです」

過去には、レバレッジをかけた取引で数百万円を失った経験も。こうした中で、相場が上がっても下がっても損をしない、安全に儲けられる投資方法がないか模索するようになった。そこで出合ったのは転換社債や裁定取引といった手法だったが、これにも限界を感じるようになる。

「当時は、例えば個人投資家が裁定取引で利益を得ようと思ったら、常に場に張り付いていないといけない。自動売買なんてない時代ですから。日本の市場が終わっても海外市場もあるので、実質24時間体制で、疲れるわけです」

投資の先輩からも「若いからできることだ」と指摘された。また、裁定取引は参入者が多くなれば市場のゆがみが解消しやすくなることから、「生涯これで食べていくことはできないとわかりました」。あるいは、「株式投資は職業にはならない、無職だ」という意識もあったという。そうした中でさまざまな投資を探していた時に、不動産投資の面白さに気づいた。

「まず、大家さんは『職業』ですし、株の世界、裁定取引より不動産投資の方がゆがみが大きく、乖離率が良いという旨味がわかったんです」

CFより「資産性・収益性」を重視

不動産投資歴は10年あまり。現在はアパートや戸建て、区分など51戸を所有し、年間の家賃収入は4000万円ほどだが、一時期は250戸ほどを持ち、年間で2億2000万円の家賃収入を得ていた。

そうした経験から、世にあふれる不動産投資に関連する書籍には、経費や税金を考慮に入れていないものも多いと警鐘を鳴らす。「売り上げから返済だけを引いて、手残りはいくらと計算するのはまったくの間違いです」

だが、その一方で「経費を引いて、返済を引いていくら残ると計算とするのが正しいかというと、それも正しくない。なぜなら、返済期間を長くすればあまり儲かっていなくとも、おのずとCFは出るようになっているからです」と指摘する。

返済期間を長く設定すれば、それだけ多くの利息を支払うことになるのは当然だ。「返済期間が短くても余裕を持って返済できるような投資をすることが重要です」

これまでの不動産投資においても、CFではなくその物件の資産性や収益性をより重視してきた。意味するところは、売却までを含め、投資全体を累計した利益を考慮するということだ。

「物件を持っている時に利回りが高かったとしても、売るときに安くなってしまっては意味がない。1億円で購入した物件を数年後に残債で売ったとして、それまでのインカムゲインがあるにせよ、その投資には意味があるのでしょうか。1億円で購入した物件なら、売却時には1億円、あるいはそれ以上で売れるということが重要で、投資全体に対する利回りが高い投資をしなくてはいけません」

自身で考える1つの指標として、IRR(内部収益率)の計算式に当てはめて判断しているといい、「少なくとも金利よりIRRが高くないといけないと思います」。

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