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現在、個人的に投資勉強会を始めています。フィナンシェの会という紹介制の勉強会で、東京と水戸で開催中です。みなさん、相変わらず投資意欲は旺盛です。いろんな投資も含め、不動産への注目度は高いですね。

しかし、今、不動産価格は高いままですし、融資が絞り気味です。本来は焦って買うタイミングではありませんが、いろんな話が流れてきます。最近私が決済した物件は、表面利回り8%、金利1.5%ですが、ちょっと話を聞いた人の投資案件では表面利回り10%くらいのボロ物件投資で金利4.5%。確かに目先の収入を増やすことは可能です。でも出口が描きにくい地方物件です。さて、こうした物件は買うべきかどうか。

それから、貸家住まいの方の自宅購入検討の相談話もありました。理由は「支払っている家賃がもったいない」とのこと。もし買うならマンションだそうですが、ずっと管理費と修繕積立金がかかり、木造より固定資産税は高い。

住宅ローンで金利は低いとはいえ、今後30年の間、ローン+利息+管理費+修繕積立金+固定資産税が払えて、さらに退職時期を超えても払い続けることができるでしょうか。仮に途中で売るとしても、残債なく買ってくれる人がいるでしょうか。売った後はそのお金で老後が暮らせるでしょうか。結局自己判断だと思います。私なら買いませんが。

みんな景気の良い話が好きですから、不動産なんてガンガン買ってウハウハ、みたいなことを書いたり言ったりする衝動に駆られます。でも、実態は地味なものです。

投資とは理詰めで、血湧き肉踊ることはなく、計画通りに進む本来退屈なものです。その点で、まさに投資不動産は守りの投資であって、一発逆転には向かないと思います。また、自宅は自分の労働収入でローンを返済するのでリスクが高いと思います。みんななぜ、焦って不動産を買うのでしょうか。もっと合理的に投資した方が良いじゃないですか。

そもそも私は、資産を築くにも投資の順番があると思っています。実は、不動産は最初の投資対象ではないと思っているのです。今回は、その「投資の順番」を書いてみたいと思います。

私もかつて、ある人に共著を誘われたとき、その方に配慮して金融資産を分散投資などで築いてから不動産投資すべきと書いたこともあります。金融投資が先とのことを容認しましたが、正直言うと、まったくそう思っていません。

いえ、思ってなくはないのですが、投資というよりも、まずは「貯金」です。貯金は投資のための種銭(たねせん)ですから、分散投資である必要はないし、それよりも、変動のある金融投資ではお金が減る可能性があるので、不動産投資を狙うなら勧められません。それに、変な手数料を取られてまったく増えない可能性もあります。市場の上下動や金利や為替の変動にさらされます。

将来不動産投資をしないとか、資産そのものをさほど増やさず、収入の一部をとっておく程度でいいとかなら、金融投資もいいでしょう。しかし、大きく資産を増やそうという時に、金融資産はなかなか思うように増えないと思うのです。

月5万円の積立でも、年間ではたった60万円です。これを何かの大きな投資に使えるかと言うと、不可能です。小口分散投資では、いつまでたってもお金は増えません。時間がかかりすぎるし、市場の上下動で資産を失ったり、減らしたりするリスクもあります(もちろん、繰り返しですが、何もしないよりはましです)。

私の実例でいえば、今から約20年前に米ドル預金をしました。当時1ドル144円でした。現在は112円程度なので、円換算では大損です。投資信託や定期積金もやっていますが、劇的に増えることもありません。金貯蓄だけは100万円投資して評価額200万円超えですが、これも20年もかかっています。

残念ながら、金利が低く変動もある金融資産に投資をしても、よほど運が良いか、ハイリスクハイリターンが当たった時でないと、大きく資産を増やすのは難しい。

私のような金融資産で生きると決めていない人間にとっては資産が増える投資でもないし、多くの人が「生き馬の目を抜く」ような、厳しい競争下で争っている金融市場で飛び抜けて稼ぐのは大変です。

今でも思います。もし、私が金融投資しかやっていなかったら、不動産投資に振り向ける資産なんてとても貯まらなかったでしょう。なけなしの投資資金は怖くて動かせず、ずっと持ち続けるだけだったかもしれません。

現に私は今、稼ぎと資産からの余裕資金で毎月20万超の積立投資を行っています。その合計で年間240万円程度投資しているわけですが、それでも、年間240万円です。240万円では、不動産投資をする際に頭金1割と言われたら、結果的に2400万円程度の小規模な不動産しか買えないでしょう。

では、最初から不動産投資すべきか、というと、上記で買いた通り、自己資金が少ない段階で大きな物件は買えません。私の知人のように、自宅を担保にするとか、高金利とはいえ運よくフルローンを引いて無理に大きい物件を持つ、といったことがないと無理でしょう。

しかし自宅担保は、なにかあったら自宅を失います。高金利フルローンは返済比率も上がり、手金を入れなければならなくなるリスクもあります。結局、リスクの割にそうそうお金は増えません。(とはいえ、最初は高金利でも仕方がないこともあるでしょう。今から14年前ですが、私が初めて1棟ものを買った時は、融資額6000万円で、金利3.4%でした。3.4%が高いか低いかは相対的なものですが、私は高いと思いました。その後、借り換えで2.0%まで下げました)

しかし、高金利やフルローン、しかも地方の空室の多い物件やボロ物件はリスクも高いし、リフォームだなんだでキャッシュが出ていきます。キャッシュが持ち出しになる状況下で、稼ぎも少ない、貯金もないでは切羽詰まってしまいます。

稼ぎもない、貯金もないのに不動産投資をするというのは、私にはギャンブルに見えて仕方がありません。よく「お金はないけど不動産投資したい」という人が質問をしてきますが、そうした場合、私は「まずお金を手元に残せるようになった方が良いです。不動産投資は勧めません」と言って離れるようにしています。

不動産投資は攻めの投資ではないし、大きなリスクを背負ってギャンブル的に行うには、あまりにも金額が大きくて危ないと思うのです。まず、お金を稼ぐこと、そして、お金を残せるようになることが先です。

投資の順番は「ビジネス投資→不動産投資→金融投資」が王道

私は投資の順番は「ビジネス投資→不動産投資→金融投資」の順番だと思っています。まず、稼ぐ力を身につけ、お金を残すことができるようになるのが最初です。これができれば、資産がなくても稼いで食っていけます。さらに、ここで稼いだ金は将来稼がなくなっても生きていけるように貯金、またはそのお金を資産に変えるべきなのです。

「ビジネス投資」とは、事業を起こして自分の事業に投資するでもいいですし、サラリーマンとしてスキルアップ、キャリアアップして高給を稼げるようになることです。事業とは、自営業でも良いし、会社を興しても良いと思います。

実際、私の父はサラリーマンですが、貯金し、不動産を買いました。母は店を経営していますが、ここでもお金を残し、不動産を買っています。祖母も事業を営み、不動産を買いました。義理の父もサラリーマン給与と妻の内職のお金を貯め、不動産を買いました。我が家族たちは働けなくなった今でも、この不動産からの家賃収入に助けられて、それなりの生活レベルを維持しています。

では、祖母や父母たちが無理に不動産を買って資産を拡大させていったかというと、そうではなく、稼いだ金を現金で持っているだけではなく、不動産という形に変えて持っていたということなのです。

今、私はたくさんの不動産を持っていますが、不動産からの収入は使わずに次の不動産投資に使っています。つまり、資産に資産を買わせているのです。そして、仕事で稼いだお金も不動産に変えるとともに、月20万円を超える金融資産への分散投資にも充てています。贅沢は皆無。資産がない状況から資産を作るにはこれしかないと思うのです。

既述のように、先に金融資産にお金を入れていたら、超円高、バブル崩壊、リーマンショックなどによって資産は増えなかったでしょう。今は、稼げて、不動産で将来のための資産ができてきたからこそ、金融資産にお金がつぎ込めているわけです。事業投資をして、事業から稼ぐ、もしくは給料を稼げるようになって、そこから浮いたお金を不動産に変え、資産を築いていきました。

私の不動産投資に対する考えは、祖母や父母たちから引き継いだものです。もともと資産家ではない家庭が地道に資産を築いていくには、まず働いて稼ぎ、そのお金を不動産に変えることでインフレにも耐えられる「資産の貯蔵庫」に変え、その貯蔵庫を不動産賃貸業として仕組みを作ることで、小さいながらその不動産を「キャッシュ製造機」に変えていくことが必要だったのです。

ですから私は、不動産投資というものは、まず稼ぐ力を身につけて、不動産投資をして余裕を作り、稼ぐ力を不動産投資と金融投資に分散して資産を膨らませていくことが、安心して資産を増やす「王道」だと考えています。なんとも退屈な話です。

投資というのは理詰めで、予定通り、読み通りのことが連続で続くだけで、変化の少ない淡々とした活動だと思っています。そうすれば、ある日気がつくと、大きなお金の流れが目の前にできていて、そこから少しぐらい汲みだしてもお金の流れが尽きない仕組みが出来上がっていると思うのです。

投資は退屈なのです。投資は身を焦がすようなことも起きないし、アドレナリンが噴き出すようなことも起きません。そんなことが起きるときは危ない時なので、できればそんなシーンは避けたいと思います。

身を焦がすような体験は、投資以外のことで感じるべきです。それは、ビジネス上の勝負での大勝ちでもいいでしょうし、ギャンブルでも良いでしょう。若いなら恋愛でもいいでしょうし、スポーツでの勝ち負けでもいいでしょう。「Win!」って叫びたくなるようなシーンを作ればいいのです。

でも、投資では「Win!」のタイミングはあっても長続きしません。淡々と、計画通りにゲットし、その後も計画通りに運営していくのが不動産投資であり、「不動産ビジネス」なのです。その点で、「商い=あきない」というのは言い得て妙ですね。

実は、私の本業のコンサルティングの分野は、企業の「計画」立案と「計画通りに実行統制」する仕事を作り上げることなのです。実ビジネスでも血湧き肉踊るなどというのは稀です。血湧き肉躍ることは、投資とは別な世界で味わいましょう。そうしないと、身が持ちません。

今回は、私の投資の順番「ビジネス投資→不動産投資→金融投資」の話をしました。最近、この高騰期に不動産投資熱が続いているので、そんなに焦らず、落ち着いて投資しましょうというメッセージです。

おそらく、この後もいくつもの経済的な波乱があるでしょう。でも、そうした山あり谷ありも乗り越えていけるように、無理せず、淡々と、投資していこうではありませんか。必ず、永続的な収穫ができる資産を築いていこうではありませんか。

さて、この原稿を書いている間に、再び年度末完成予定の戸建て新築物件の企画話も持ち込まれました。年度末に買うかどうか、これからまた判断していこうと思いますし、機会があれば、またここでもお知らせしたいと思います。また次回に。