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不動産投資家が融資を受ける際、金額・期間・金利等の融資条件の中で最も気になるのが「金利」ではないでしょうか。

金利については、金融機関によってまちまちであり、融資を受ける我々の属性や収益物件のポテンシャルによっても変わるので、金融機関がどのように金利を決めているのかは非常に興味があるところだと思います。

誰もが気になるこの「金利」。どのように決まるかご存知でしょうか?

金利の決め方

金利は、基本的に各金融機関が自由に決めて良いことになっています。金融機関が金利を決定する上で指標としているのが、短期金利と長期金利です。

「短期金利」とは、期間が1年未満の金融資産の金利をいいます。代表的な商品としては「無担保コール翌日物」です。これは、金融機関同士でお金が足りない場合に無担保でお金の貸し借りをするコール市場の金利です。このコール市場の金利をコントロールしているのが日本銀行です。コール市場では、日本銀行が好況時には金利を上げたり、不況時には金利を下げたりと介入・調整しているのです。

一方、「長期金利」とは、期間が1年以上の金融資産の金利をいいます。通常、 「10年満期の国債の利回り」を指す場合が多いです。

国債は、日本国政府が元本や利子を保証しているきわめて安全な投資商品として、高い人気を保っています。国債は金融機関や証券会社などで購入できますが、満期までの間に債券市場で売買が行われ、取引価格は日々変動しています。この国債の価格は、国内外の景気動向、為替相場、物価など様々な要因が加味されて変化します。そのため、日本銀行が直接市場に影響を与えることが難しいといわれています。

参考までに、日本銀行が発表している2001年以降の「長・短期プライムレート(主要行)の推移は以下のようになっています。

○日本銀行HP
https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm/

また、債券(国債)価格と金利の相関関係は以下のようになるといわれています。

・市場金利上昇→債券価格の下落

・市場金利下落→債券価格の上昇

一般的に、市場金利が上昇するのは景気がよくなることを意味し、「株価が上昇すると債券価格が下落する」という相関関係にあります。

上記ではマクロ的な要因を説明しましたが、もう少し抽象度を落とすと、金融機関が金利を決定する上で重視しているのは以下の3つだと思います。

1.担保の有無

2.資金の使途

3.融資期間の長短

この点、担保が不要なものより必要なもの、お金の使い道が自由なものより限定されているもの、期間が長いものより短いものの方が、金利は低くなる傾向にあるといえます。

既述ではマクロ的かつ一般的な解説をさせて頂きました。しかし、僕は経済学者でもなければ、アナリストでもありませんし、読者の皆様がこのような情報を欲しがっているとも思えません。

ここからは具体的な話をしたいと思います。これまで不動産投資を実践し、いくつもの金融機関とやり取りをしてきた経験から述べます。

金融機関は緻密な計算等によって融資金利を決めているわけではありません。融資を実行しようとする企業や個人に対して、他の金融機関が適用している金利、前回融資したときの金利等を参考として金利を決めているにすぎません。

したがって、金利の決定については「交渉力」がものを言います。我々不動産投資家と金融機関の担当者間の交渉によって、金利は高くもなれば低くもなるのです。

なお、金利水準については、都市銀行→地方銀行→第二地方銀行→信用金庫・信用組合→ノンバンクの順で高くなっていくのが一般的です。金融機関の規模に金利が反比例するといったイメージです。

僕の場合、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行まで取引がありますが、金利は都市銀行が圧倒的に低く(0.7%~)、次いで地方銀行(1.2%~)、第二地方銀行(1.5%~)という金利水準となっています。

金利水準については、金融機関の規模、自分の属性、持ち込んだ収益物件のポテンシャルで、ある程度の予測はできます。不動産投資の場合、金融機関から金利をはじめとした融資条件を提示されるのは融資承認後だと思いますが、経験上、これまで良くも悪くも驚いたことは一度もありません。提示された金利が想定の範囲内だったからです。

金利については想定の範囲内に収まっているということもありますが、僕の場合は、基本的には金利交渉はしないことにしています

金利交渉をする際に注意したいこと

金融機関の最大の収益源は、言うまでもなく、融資先から得る「金利」です。「金利を下げてほしい」というお願いは、ただでさえ昨今の低金利で収益が上がらない金融機関に「命(収益)を削ってほしい」と同義だと思うのです。

安易な金利交渉は必ず禍根を残します。金融機関と良好な関係性を築けなくなるのです。僕は融資を獲得して付き合いが始まった金融機関からは「次の融資を引き出したいという下心」を持っているので、原則として金利交渉はしないスタンスでいます。

ただし、例外もあります。

追加融資が見込めない場合等は徹底的に金利交渉や他の金融機関への借り換えを検討します。金融機関の融資基準はコロコロ変化します。少し前までは融資可能であったような物件でも、融資基準が変わったことにより融資不可になるようなことが往々にしてあります。

先日、すでに一棟融資してもらっている某地方銀行に同じような物件(地方中古RC一棟)を持ち込んだところ、担当者から以下のようなことを告げられました。

「これまでは地方の中古物件でもご融資できたのですが、先月、融資基準が変更されました。中古物件には多額の大規模修繕費のストレスをかけなければいけなくなったため、フルローン融資が難しくなりました。新築物件であればご融資できますので、その際はご相談ください」

新築物件を手掛けるつもりもなかったので、この地方銀行にはガッツリ金利交渉をしました。他行への借り換えを匂わせ、2%台だった金利を1%台に下げてもらうことに成功しました。ここの担当者との関係性が悪化したことは言うまでもありません。

以前のコラムでもお伝えしましたが、基本的な僕のスタンスはこのときに書いた通りです。

昨今、融資状況を俯瞰すると引き締めフェーズに入ったようですが、まだ積極的に融資をしている金融機関もありますし、好条件で融資を引き続けている不動産投資家もたくさんいます。

周囲を見ると完全に二極化しているように思います。積極的に融資する金融機関と消極的になってしまった金融機関、融資を引けている(買えている)投資家と引けていない(買えていない)投資家、といった構図です。

金融機関の本音としては間違いなく「融資したい」はずです。なぜなら、融資をしなければ最大の収益源である「金利」収入を得られないからです。

ご存知の通り、2017年に入り金融庁からの通達でアパートローンへの過剰融資が懸念されていました。金融機関によるアパートローン等の賃貸事業向け融資の急増に対し、金融庁や日本銀行が監視を強めているといった内容です。

以前、知人から以下のようなことを聞かれたことがあります。

・全体としての融資の本数が減った場合、その分既存の金利を上げようという動きは起こりうるのか?

・融資の本数を減らすと、その分金融機関の売上が減るため、既存の取引から補填しようとするのか?

私見にはなりますが、このようなことは起こりえないと考えています。金融機関は金融庁の監視・指導の下、営業をしなければいけません。金融庁が警鐘を鳴らしたのは、相続税対策や超低金利を背景に富裕層等による収益物件の建設・取得需要が増大し、他方で、人口・世帯数の減少が確実視され、空室率の上昇など供給過剰感が出始めたためだと考えています。

こういった事情により、金融機関が融資先を選別し始めたことになり、不動産への融資が引き締まってきたと感じるのだと思います。金融機関は、支店ごとにノルマを課されていますので、仮に不動産に融資できなくなるとすれば、そのノルマは別分野・別事業に振り分けられるだけです。

したがって、不動産融資額が減ったことに起因し、金融機関が金利を上げたり、既存取引から補完しようという行動には結びつかないと考えます。