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1年半前の私は、そもそも団地は絶対に買いたくないと思っていました。その理由は、古いし、エレベーターがないし、駅から遠い…という印象が強かったからです。地元の不動産会社から「団地を200万円台で買って4万5000円で貸している人がいるからいいですよ!」と勧められたことはありましたが、何となく私は買う気になれなかったのです。

客付けの「手伝い」を通じて

そんな時、知人に紹介された占い師のおばあさんから「以前住んでいた団地を十数年知り合いに貸していたが、退去されて、そのまま放置している」という話を聞きました。それを聞いて、居ても立っても居られず、客付けをお手伝いさせていただくことにしました。

そのおばあさんが所有する団地のスペックは以下の通りです。

・5階建ての5階(エレベーターなし)

・48平米の3DK

・リフォームはほとんどされていない

・バランス釜のお風呂に、いかにも古いトイレ

リフォーム費用は一切かけたくないというご要望でしたので、リフォームはせずに清掃だけ私が行いました。いつものようにチラシを作ってその団地内でポスティング、最寄り駅周辺の仲介業者さんにも営業回りをしました。

家賃設定は、ネットで相場を調べたところ、同じ団地内の同じ間取り、同じくエレベーターなしの5階で、リフォーム済の物件が4万円で出ていました。このライバル物件に差をつけるためには「家賃で勝負するしかない!」と思ったので『団地内最安値』とし、3万8000円で募集をかけたところ、すぐに母子家庭の方からお申し込みが入ったのです。

お申し込みの理由は「今住んでいる団地より安いから」ということでした。おばあさんには失礼ですが、あんなにも悪条件が重なっているのに、家賃さえ安ければ入る人がいるのだと実感しました。賃貸経営は、たった一人の入居者さんを見つけることができれば、万人受けする物件を作る必要はないと感じたのです。

実は私、この物件をおばあさんから買わないかというお話もいただいていました。その金額が200万円だったのですが、その頃の私は団地投資を敬遠していたこともあり、「タダでもいらないです」と断ってしまいました。でも、もし200万円で譲ってもらっていたら、管理費・修繕積立金を引いても10%以上回る計算になりました。

「あれ? もしかして、これって投資として十分成り立つかも!!」と思いました。この頃の私は、不動産価格の高騰と、不動産投資ブームでなかなか物件が買えないことが悩みでした。「安く買えるのであればアリかも!」と思ったのが、私が団地投資をやろうと思ったきっかけです。

そこからの私は行動が早いです。寝る前にネットで物件検索をするのが日課ですが、戸建てやアパートに加え、団地も見るようになりました。

私の物件選びの条件として外せない条件は「広さ」です。検索するときは「45平米以上」を条件としています(本来は50平米以上欲しいところですが、「50平米以上」とすると48平米や49平米の物件が引っかかってこなくなるのです)。

そして安い順に並べ替えると、ズラズラと100万円台200万円台の団地が掲載されています。できれば1階や2階の低層階で(階段の上り下りが大変なので)、水回りがリフォームされているものを希望していましたが、そうなると200万円台では難しくなってきます。

1階、庭付き、水回りリフォーム済の物件を320万円で見つけたこともありましたが、250万円で指値をしている間に転売目的の業者さんに買われてしまいました(恐らく300万円くらいで購入されたと思います)。

そんなある日、2階、水回りリフォーム済、290万円の物件をネットで見つけました。早速内見に行ってみると、通常和室が多い団地ですが、全部屋フローリングに変更され、建具も木製のしっかりしたものが入っていました。

お部屋に入った瞬間、思わず歓声が出るくらいとっても気に入りました。満額で買付を入れても良かったくらいですが、業者さんに価格交渉可能かを確認したところ250万円までなら相談できるとのことで、交渉してくださいました。

あいにく250万円では売主様のご了承は得られませんでしたが、10万円戻されて260万円で交渉が成立しました。こちらの物件は現在、5万5000円で入居が付いているので、表面利回り25%、管理費・修繕積立金を引いた実質利回りは20%で回っています。

駅からの距離は関係ない

物件を購入する基準として、「駅からの距離」は大切だと思います。私自身、自宅を探すときの条件として駅チカは外しません。

しかし団地投資は、駅からの距離は関係ないのです。とある先輩大家さんが私の団地を内見に来られた際に「最寄り駅の乗降客数はどれくらいなの?」と聞かれましたが、「地方バス便の団地投資に乗降客数は関係ありません」と答えると、ものすごくびっくりされていました。私が所有する団地は、駅からバスで20分~30分の場所にありますが、入居は付いています

所有している団地は3戸で、そのうち入居が付いているのは2戸。まだ実績は少ないのですが、この2戸の入居者さんには共通点があります。

それは、団地内に娘さん家族が住まわれていたり、お母様が住まわれていたりなど、「家族の近くに住みたいけれど同居は嫌だ」という需要です。そのような方々が、遠方から引っ越して来られました。そこを狙うことができれば、私は駅から遠いバス便の団地でも投資として成り立つと思います。

つい最近の出来事ですが、賃貸と売買と併用して募集をかけていた団地が、売買の方で決まりました。購入された方は70代のご夫婦です。そのご夫婦は団地内にご家族が住んでいたわけではないのですが、近くの賃貸物件にお住まいでした。賃貸では大家さんに気を遣うので、老人ホームに入るまではマイホームで静かに暮らしたいと購入を決意されたそうです。

70代のご夫婦が住宅ローンを組めるのかという問題はありますが、団地は価格もお手頃ですし、現金で購入できます。これも、たまたまですが、新しい発見でした。

ということで、なかなかお手頃な戸建てが買えなくて仕方なく(?)参入した団地投資ですが、おかげさまで上手く回っております。