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2017年の不動産投資市場は、全国的に物件価格の上昇傾向が続き、サラリーマン大家に関するメディア報道も目立つなど、ブームの継続を感じさせるものとなった。一方、低金利を背景に新規参入者が増加してきた中で、金融機関の融資姿勢には変化があり、思うように規模を拡大できない投資家の声も多く聞かれた1年だった。

今日から2018年。今年の不動産投資市場はどのように動くのか? 融資動向の変化は? どのような戦略が必要か? 楽待新聞の読者を対象にアンケートを実施し、不動産投資家が「2018年のマーケット」をどのように見ているか探った。(調査期間:2017年12月9~22日、有効回答数:275件)

2018年、投資用不動産の価格はどのように動くと予想しますか?

物件価格が「上昇する」と答えたのは16%。東京五輪に向け、地価高騰や人件費増によって緩やかな上昇が続くという意見が多く、「東京圏は上昇が継続し、それ以外の地域は下降する」という見方が目立った。

金融緩和策で景気が上向き、購入意欲も引き続き高まるという予想も。不動産投資ブームが2018年も継続し、「買いたい」と考える投資家は依然として多いはず、といったような声も聞かれた。

「下落する」という意見では、金融機関の融資姿勢を理由に挙げる人が大半を占めた。融資の引き締めによって購入できる層が減り、早期に利益確定をしたい売り手が徐々に価格を下げる、という流れを予想しているようだ。

「今までの価格が異常すぎる」「高騰しすぎた反動で下がる」と、調整局面に入るとみている投資家も多い。「利回りが低い新築一棟を購入した投資家が持ちこたえられなくなり、任売物件が多く出てきそうだから」という見方も。収益性の悪化が周知されることによる購入意欲の減退を指摘する声もあった。

横ばいという意見では、「これ以上高くなると市場が活性化しない」「天井圏から下落するきっかけ待ち状態」「高くなりすぎて投資に見合う収支が期待できない」など、現在がピークでこれ以上の高騰は考えにくいと予想する声が多い。

「融資が引き締められたことは下落要因だが、メディアなどでの報道もあって依然として購入希望者は多く、外国勢の買いも続く」と、上昇圧力と下降圧力が均衡するという見方もあった。

 

あのコラムニストはこう見ている

■リニア開通で名古屋が狙い目

安藤新之助さん
投資歴:9年
総投資額:13億1000万円
年間家賃収入:1億1000万円
所有物件:愛知県に8棟129室(H29.11現在)

物件価格は「変わらない」と思います。企業業績や株価などの指標に加え、金融機関の幹部の方と話した内容も考慮すると、不動産については2018年も同じような状況が続くと考えます。

サラリーマン向け、相続対策向けの融資貸出条件は厳しくなる傾向にありますが、それでも財務内容の良い、法人など多くのプレーヤーがマーケットに参入し、需要の方が強いと予想します。物件価格も利回りで見ると高値圏かつ、金融機関も金利を上げる方向性で動いているので、上昇の余地は低いと思います。

投資エリアに関しては、やはり愛知県がリニア中央新幹線の開通に向けて注目です。今後、名古屋市内の再開発がどんどん進んでいきますし、郊外にもトヨタ自動車とその関連会社、航空関連等の大手企業があり、業績もよく賃貸需要も旺盛。ますます活性化していきますので、投資先として外す事はできません。

2018年、金融機関の融資動向はどのように変化すると思いますか? 

金融機関の融資が「積極的になる」という回答は、わずか5%。多くは「ほかに貸出先のない状況は依然として続く」という見方で、政策の後押しによって投資家向けの融資が増えるという意見もあった。東京五輪に向けて経済活動が活発化し、景気が安定局面に入ることを予想する回答もあった。

「引き締められる」という回答は68%に上った。不動産投資バブルを懸念する日銀・金融庁の指導方針が今後も継続するという見方が多く、「付き合いのある金融機関からそのように言われた」「以前はオーバーローンが可能だった案件が1、2割程度の自己資金を求められるようになった」など、実際に融資姿勢の変化を肌で感じている投資家の意見も目立った。

収益性の低い物件が市場に出ている今をバブルとみて、この過熱状況からの揺り戻しを予想する意見も多い。「物価上昇が伴わないまま相対的に不動産価格が上がりすぎており、金融緩和の方向性が少し軌道修正される」「オーバーローン案件の焦げ付き、破綻者の増加など、さまざまな問題が表面化するのが2018年」といった予想もあった。

「変わらない」という意見の中では、「銀行の貸出が低迷する一方で、不動産以外に融資額を伸ばせる分野がない」「安全な不動産にはこれまで以上に融資せざるを得なくなる」など、金融機関の貸出先不足は持続し、状況が大きく変わることはないという予想が多かった。

「新規には厳しくなるが実績のある人は引き続き融資を受けられる」「戸建て需要が見込める地域なら出る」など、属性やエリア次第という傾向が強まるという意見も。景気への悪影響を懸念し、引き締めが長くは続かない、と予想する声もあった。

 

あのコラムニストはこう見ている

■パイプがない投資家は淘汰される

鑑定士×投資家さん
投資歴:4年
総投資額:約10億円
年間家賃収入:約1億5000万円
所有物件:全国にRCマンションを中心に18棟250室

融資は「引き締められる」と思います。融資に積極的な金融機関が減っていくのは間違いないとみていますが、どこかの窓が閉まればどこかの窓が開くのが融資の常です。数多くの金融機関にパイプを持っている投資家が買い続け、パイプがない(努力ができない)投資家は淘汰されると思っています。

全体としては金融機関の融資姿勢が徐々に硬化していくことが予想されるので、それに伴って不動産価格は下落すると思料します。ただし、急激かつ大幅な下落はなく、徐々に下落すると考えています。

不動産市場の好況を背景に、ここ数年の間は都内新築投資が流行りました。地方中古市場が過熱気味であったため、それならば都内で新築を手掛けた方が良いという発想です。融資が締まり、不動産価格が落ち着けば(下落すれば)、地方中古不動産への投資が再着目されると思っています。

2018年、購入するとしたらどんな物件ですか?(複数回答可)

中古一棟アパート

56%

中古戸建て

40%

中古一棟マンション

36%

新築一棟アパート

29%

ワンルーム区分マンション

14%

新築一棟マンション

13%

賃貸併用住宅

10%

ファミリー区分マンション

9%

太陽光発電施設

9%

貸し倉庫、貸しコンテナ

8%

コインパーキング

8%

民泊物件(簡易宿所など)

7%

海外物件

7%

一棟ビル

6%

シェアハウス

5%

コインランドリー

5%

その他

5%

購入を検討していない

4%

新築戸建て

3%

2018年に購入を考えている物件について質問すると、「中古一棟アパート」という回答が56%で最も多かった。融資が引き締められたことで、地方の安価な中古戸建てに注目する投資家も増えているようだ。また、住宅ローンで対応可能な賃貸併用住宅を検討している声も多い。

6月に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)を見据え、合法的に民泊への参入を検討している投資家も多く、「インバウンド受け入れが政府目標に達していない」「東京五輪の2年前なので、やはり民泊が話題になる」といった声があった。

高齢者向け物件や高級リゾートホテル投資、仮想通貨に注目する投資家も。投資エリアについては、やはりリニア開通に向けて再開発の進む名古屋、若年層の流入で人口増トレンドが続く福岡、インバウンド需要が底堅い京都などが人気を集めた。

こんな意見も

「高度な築古物件再生ノウハウを持っている大家さんがますます注目されるのでは? リフォームもホテル風や西海岸ビンテージ風など、さまざまなスタイルが増えると予想します」(長野・50歳男性)

「空き家の増加に伴い、若い人の賃貸先がアパートやマンションなどの集合住宅から一戸建てにも広がってくると予想」(山形・53歳男性)

「ホームステージングがますます盛んになるのではないでしょうか。昨年購入した区分マンションにホームステージングを実施したところ、相場10万円のところ12万円で成約しました」(神奈川・50歳男性)

「名古屋市内の収益物件はストップ高の状況。リニア新幹線の用地立ち退き交渉で過熱状態の名駅周辺、伏見、栄、大須あたりでの民泊需要の取り込みを狙うのも面白いと思う」(愛知・55歳男性)

アンケートでは7割近い投資家が融資の引き締めを予想しているものの、物件価格については「今が天井」という見方が多く、また購入意欲は依然として高いことが分かる結果となった。

読者の多くは、融資の引き締めによって今以上に購入が難しくなった局面を想定した投資方針を考えている。時代の変化に柔軟に対応できるよう、将来的な融資動向や物件価格を予想しながら戦略を組み立てることが重要になる。