全世界的に有名な!?浦安市

「浦安市」といったら、皆さんは何を思い浮かべますか?
多くの方は「夢と魔法の王国・東京ディズニーランド」や「冒険とイマジネーションの海・東京ディズニーシー」が浮かぶに違いありません。

「浦安市は千葉県なのにナゼに東京……?」 などという無粋なツッコミは横に置くとして、世界的に有名なディズニーリゾートを擁し、交通網が発達していて意外と便利な街・浦安の人気はまさに超上り調子…でした。
しかし、2011年3月の大地震以降、悲しいことに、浦安といって思い浮かべる言葉に「液状化」が加わってしまいました……。

何が起こったのか?
これからどうなるのか?
といったことを実体験を踏まえてレポートしてみたいと思います。

大地震!そのとき…

誰もが忘れない、2012年3月11日午後2時46分。
私は浦安市にいました。
激しく長い揺れと地鳴りに戸惑いながら、なんとか二階の窓の外を見ると、そこには信じられない光景がありました。
道路が波打っているのです!
しばらくすると、「バキバキッ!」という激しい音とともに、まるで板チョコのように道路が割れ、スキ間から激しく水が噴き上がりました。
高さは数10cmはあったと思います。
言葉もなく、その光景を眺めているのがやっとでした。

はじめ私は水道管が破裂した、と思いましたが、のちにそれが「液状化現象」によるものだったと知りました。

私はカメラを持って外に出ることにしました。

震災直後の浦安の街

地震直後の近所の空き地です。
ここは、固められた土地で草がたくさん生えていましたが、ボコボコと地中から水と砂が噴き出し、ご覧のような状態になっていました。

歩道橋は周りの土地が下がって、地面から浮いているように見えました。

歩道のあちこちが割れていました。

この日から約1ヶ月間、上下水道、ガス等のライフラインが使えないことも多い状態なのに計画停電の対象地になるなど、浦安市民には厳しい日々が続きました。のちに、私も「り災証明書」を受け取ることになりました。


マスメディアと市役所が伝える「浦安」の被害

2012年10月17日付読売新聞は「浦安液状化 遠い再建」という記事で、震災後の浦安市について簡潔にまとめています。

同記事によると、市域の86%が液状化し、約9,000棟の住宅が被害を受けたそうです(震災による液状化被害の約三分の一が浦安市に集中)。
上下水道などライフラインの完全復旧は2015年度までかかる見込みということで、これは液状化対策をしながら復旧工事を進めるため時間がかかるのだといわれています。

実際の被害状況は、浦安市のWEBサイトにまとめられています。
浦安市液状化対策技術検討調査委員会」のページに被害状況や液状化対策等についてまとめられています。

液状化に伴う地盤変動状況もまとめられています。
この図を見ると、まず大きく「赤い」地図が目に入ります。

「この赤が被害を表している…!?」と早合点しないでください。
この図での「赤」は標高5m以上、逆に一番濃い青が-2m以下と赤から青にかけて標高が低くなっていくことを表しています。
図を見るポイントは、震災前と震災後を見比べて『赤が薄くなった』=『地盤沈下した』地域を確認するところにあります。
注意してみると、かなり広範囲で地盤沈下が発生したことがわかります。

想像以上に被害が凄いということがおわかりいただけるかと思います。

注目される今後の復旧状況

これだけ広範囲で被害があると、今後、復旧工事等がどう進んでいくのか、マスメディアや市民だけでなく、数多くの人々が注目しています。

なぜかというと、地盤改良は一軒一軒単位では効果が薄く、前述の2012年10月17日付読売新聞記事内で『少なくても自治会単位の広範囲で、同じ工法で行わなければ地盤強化には繋がらない』という市担当者の言葉を引用しているように、浦安市全体でどう液状化対策を含めた防災対策がされていくのか、震災後の防災対策のモデルケースとしてわかりやすい事例になっているからです。

別な視点としては、ディズニーリゾートなどで注目と人気を集める浦安市が東日本大震災で被災し、そこから立ち直れるのかどうかをいろんな角度から、ときには野次馬的感覚で注目している、ということもあるのでしょう。
そう、震災前、浦安は大人気の街でした。

奥様方は「マリナーゼ」!

「マリナーゼ」という言葉をご存じですか?
ウィキペディアに解説ページがあるほど、一時はよく使われた用語でした。
いろいろな解釈・解説がありますが、強引にまとめるならば、主に新浦安駅周辺の新興マンション群に住む若奥様のことを「マリナーゼ」と呼びます。
この新浦安駅から右下方向のブロックがマリナーゼが住んでいる地域ということになります。

一時はマリナーゼの条件に「年収1,000万円以上」が加えられたほどで、「高級」というイメージが流布していたことがわかります。

ほんとうに高級で上り調子だったのでしょうか?
震災で人気は低下したのでしょうか?

地価LOOKレポートを見比べてみる

単純ですが、国土交通省の地価LOOKレポートで震災前、震災後を見比べてみることにしましょう。

震災前、平成22(2010)年4月~平成23年(2011)年1月の動きを「平成22年第4四半期」のレポートで見ると「横ばい」です。

震災のあった「平成23年第1四半期」のレポートを見ると、「H23.1/1~H23.4/1」の期間の評価は「-」。
評価なしです。

レポート冒頭に「東日本大震災により直接的な影響を受け市場に空白期間が生じた」ので「除いた」とあります。仕方ないですね。

ということで、今見られる最新版「平成24年第3四半期」を見ることにします。
0~3%下落」。

え? と思われた方も多いのではないかと思います。

msn産経ニュース2012.9.19付記事「下落幅縮小、下げ止まり傾向広がる 津波想定地域で下落も」によれば、国土交通省が発表した基準地価の住宅地の全国平均は前年比マイナス2.5%でした。

そう、浦安の下がり方は、震災で大被害を受けたにもかかわらず、全国平均なみなのです。
しかも震災前は「横ばい」が続いていたわけですから、かなり持ちこたえている印象を受けます。

しかし、土地LOOKレポートでは「引き続き下落傾向が続く」と予想しています。
油断できないのも事実でしょう。

予想外に交通の便が良い「浦安」

冒頭にも記したとおりですが、浦安といえば「ディズニーリゾート」。
そうイメージする方が多いです。
しかしディズニーリゾートの影が巨大すぎて、他の魅力が見えにくくなっている気もします。

一例として、交通の便をあげてみましょう。
「リゾート」という言葉が「遠い」を連想させるのでしょうか。
記者が浦安に住んでいるというと、「都心から遠いですね」とおっしゃる方がけっこういらっしゃいますが、実際は違うのです。

まず、鉄道から検証してみましょう。
浦安市では鉄道の駅として東西線浦安駅、JR京葉線・武蔵野線の舞浜駅・新浦安駅の三線、三駅が利用できます。
この三駅を中心にしてバス網が発達しているのが特徴です。

ここで、新浦安から東京、品川、新宿に行く時間を「乗り換え案内」(ジョルダン)でチェックしてみます(ここで取り上げる数値は大雑把なもので、乗り換え時間を含めたものです)。

・新浦安-東京 17分
・新浦安-品川 35分
・新浦安-新宿 47分

ちなみに、浦安駅から霞ヶ関駅間は約29分です。
それほど都心から遠くないと思いませんか?
先ほどバス網が発達していると述べたように、バスと組み合わせるとJRと東京メトロの二経路を有効に活用でき、意外に簡単に都心にアクセスできる魅力があります。

欠点は風です。
強風で京葉線・武蔵野線は止まることがあり、その際には大混乱させられます。
これをどう評価するかで、この「近さ」に関する評価は割れそうです。

高速道路の利用が容易なのも浦安の特長です。
浦安市内には、首都高速湾岸線があり、湾岸線浦安(出入口)、湾岸線舞浜(入口)とふたつの利用口があります。
さらに首都高速中央環状線、首都高速7号小松川線の利用口へも近いため、クルマでの交通の便もよいといえます。

高速道路利用でJR東京駅から新浦安駅付近までのタクシー利用料金の概算を確認してみます。
高速を利用して約40分で6,000円台(深夜は約30分で7,000円台後半)、高速を利用しない場合は約60分となります。
20分の短縮と”高速効果”をハッキリ確認できます。

このように、浦安の交通の便はなかなか良いのです。
都心で働き、休日はゆったりと潮の香りのする街で過ごしたい、またはディズニーリゾートを楽しみたいという人々にとって、浦安は十二分に魅力的な街だと言えるでしょう。

今後を占うポイント①ディズニーランド人気

読売新聞では、2012年10月18日から三回シリーズで「液状化に克つ」として浦安市で液状化に克とうとする、浦安に愛着を持つ人々が特集されています。

今年(2012年)は4年に一度行われる浦安市の大祭「浦安三社祭」が盛大に復興の祈りを込めて開催されましたが、あの熱気を見る限り、未来は明るいと言って良いと思います。

地価的にはどうでしょうか?
再び、地価LOOKレポート平成24年第3四半期版に戻ります。
ここでは、本格的な需要の回復には長期間を要するので、長期的に下落傾向が続くと分析されています。
ヒアリングの結果にも厳しいものが並んでいます。

毛色が異なるのは、賃貸アパート、賃貸マンションに関する記述です。
三点、ポイントだと思われる記述を引用します。

・賃貸需要が安定している
・稼働率も概ね安定している物件が多い
・収益物件の価格が下落していることから、取引利回りは上昇傾向

企業の社宅需要が低下している等と報じられることがありましたが、賃貸需要は安定しているようです。
これはなぜでしょうか?

前述した意外な交通の便の良さが支持されているということもあるでしょうが、勝手に推測すると、やはり、東京ディズニーリゾートがあるから、ということが理由ではないかと思います。

東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドのWEBページによると、東京ディズニーランド、ディズニーシーで働くキャストは、正社員2,201名、テーマパーク社員777名、準社員18,066名(2012年3月現在)で合計すると軽く2万人を超えます。
これ以外にもホテルをはじめ様々な観光施設、商業施設が浦安市内には数多く存在します。

この不況下にあって、「仕事がある」地域なのです。
オリエンタルランドの株価(東証1部4661)を見ても、この一年間、上がり続けています。
この好調さが維持されるなら、新たな仕事も生まれ、街に人が集まり、復興が早く達成できるかもしれないと感じられます。

浦安市の今後を見ていく上で、「東京ディズニーリゾート人気の動き」は外せないポイントだと言えるでしょう。

◎~地元で賃貸管理を中心に行っている不動産業者さんのお話~

ここで、浦安の不動産会社様に電話取材してみます。
伺えたのは次のようなことでした。

・新浦安エリアは分譲マンションの価格が3割程度下落した
しかし、需要自体は回復してきていると感じられる。

・賃貸の部屋も全体的に値下げ傾向にある
風評被害が大きく、法人の契約が大幅に減り、単身者用は停滞しているが、2012年5月、6月くらいからファミリータイプを中心に需要が安定してきていている。
しかし、賃料自体が下がっている。
下落率が大きいところでは1万円~1万5千円程度賃料が下がった。
例:2DKの間取り=相場8万5千円~9万円⇒7万5千円

・浦安エリアは人気が高い
鉄道(地下鉄、JR)や高速道路の利便性が高いといった浦安の特性を考えると、賃貸・売買共に需要はあがっていくと考える。

取材にご協力くださり、ありがとうございました!
伺えたお話は、地価LOOKレポート(平成24年第3四半期版)を裏付けするものでした。
浦安の回復パワーはなかなか強いといえそうです。

今後を占うポイント②復興スピード

第2のポイントは復興スピードです。
先ほど紹介した読売新聞の記事によると、ライフラインの復興は2015年度までかかるとのことですが、これが予定通り行われていくのか、道路など街のインフラ整備も同時期に完了できるのかが第二のカギでしょう。

なぜなら、街の魅力パワーによる下げ止まり効果は2~3年が限界ではないかと感じられるからです。
「石の上にも三年」という諺からのイメージではあるのですが、2015年がひとつの節目になりそうだと予測します。

基本的にこういった事項の流れは新聞等で報道を追うのが確実ですが、浦安市の場合、象徴的な行事があります。
それは「東京ベイ浦安シティマラソン」という浦安市が主催するマラソン大会です。

この大会は、元々は3kmの部、10kmの部、ハーフマラソンという構成で行われていましたが、震災の影響で2013年2月に開催される第22回大会は3kmの部、8kmの部という構成でハーフマラソンがありません。
ハーフマラソンのコースは震災の影響が激しい新町地区(京葉線から海側の地域)に設置されているからでしょう。

この大会でのハーフマラソン復活は”復興が一段落ついた象徴”になるといえるでしょう。
早い復活を祈っています。

「浦安」の今後の地価上昇予報は!?

街としての魅力があり、都心に近いなど利便性も高く、さらに東京ディズニーリゾートを有する浦安。
東日本大震災の影響を受け、今、産みの苦しみの最中であると言えますが、これからをどう見るか、これは難しい問題です。

現実的に、現在は、不動産に関しては地元からの需要や働く方々の賃貸住宅需要が中心で、耐える時期に入っているといえるでしょう。
今後の復興スピードや状況によって、人気は変化しそうです。
スピードの鈍化はさらなる下落を引き起こすかもしれません。

しかし、他の地域にない大きな『武器』があります。
やはり、東京ディズニーリゾートの存在は大きいといわざるを得ません。
現在の下げ止まりパワーを支えている主力のひとつであるといって構わないでしょう。

そこを足がかりに新たな「浦安」ブランドを確立することから、再び浦安伝説がはじまると分析します。

「がんばろう!浦安」

~ 今回の地価上昇予報は…!? ~

  

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