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2018年となりました。今年は不動産投資においてどのような年になるでしょうか。低金利時代が続き、物件価格は高止まりで推移するのか、2年後に迫った東京オリンピックの影響はどの程度なのか、さまざまな動向が気になる年になるのかもしれません。

個々の不動産投資家のみなさんにおいては年初から始まる、入退居の繁忙期となります。入居者需要が高まる反面、退居者も多く出る時期でもあります。少しでも空室を減らして新年度を迎えるためには先手必勝でしょう。高需要期をチャンスと捉えてよい年初としたいところです。

建築基準法とは?

さて今回は建築基準法の変遷と今後の動向予想として話を進めます。

新年ということもあり、今年は建築基準法がこう変わる! などと書きたいところですが、現執筆時点で2018年の建築基準法改正内容は見えていないため、法改正についてはあくまでも想像の域を出ません。

建築基準法は1950年(昭和25年)に制定され、68年を迎えようとしています。
その間には何度か改正を重ねて現在に至っております。

どのような改正が行われてきたのか、以下振り返ってみます。

○建築基準法の概要

前述の通り建築基準法は1950年(昭和25年)に制定され、今年の5月で68年を迎えようとしています。法律というものは常に時代に合わせて改正されていきます。これは建築基準法に限ったことでなくすべての法律において同じ動きとなります。

建築基準法においては最初に制定されたものと比べると、本当に同じ法律かと思うくらい縛りが強化されています。基本的なものは変わっていないのですが、徐々に徐々に様々な数値が厳しくなり、追加項目が増え、建築時における施主の負担も増えてきました。より快適でより安全な建物を望むのであれば仕方ないことだと思います。

とはいうものの建築施工費はできるだけ安価に抑えたいというのが本音ですね。

地震対策で改正されてきた建築基準法

建築基準法改正は、大地震対策の改正と言っても過言ではありません。それを裏付ける根拠は、大地震の発生後に大きな改正を行っていることです。

大地震は地域性や揺れ方がそれぞれ異なるため、別地域において同じ震度の地震が発生しても同じ様な被害が発生する訳ではありません。そのため、大地震が発生すると都度その被害状況を検証して対策が講じられます。

具体的な大地震と改正の関係は下記の通りです。

1891年 濃尾地震(M8.0)
1923年 関東大震災(M7.9)
1946年 南海地震(M8.0)
1948年 福井地震(M7.1)
1950年 (昭和25年)建築基準法制定
1963年 (昭和38年)建築基準法改正
1964年 新潟地震(M7.5)
1968年 十勝沖地震(M7.9)
1971年 (昭和46年)建築基準法改正
1978年 宮城県沖地震(M7.4)
1981年 (昭和56年)建築基準法大改訂
1995年 阪神・淡路大震災(M7.3)
2000年 (平成12年)建築基準法改正
2003年 (平成15年)宮城県北部連続地震(M7.1)
2004年 (平成16年)新潟県中越地震(M6.8)
2011年 (平成23年)東日本大地震(M9.0)
2015年 (平成28年)熊本地震(M7.3)

1950年に建築基準法制定され、その後目立った大きな地震が無かったのですが、1963年には改正が行われています。これは1964年のオリンピックが影響しています。

当時日本は高度成長期として歴史にも刻まれるほどの経済発展を遂げ、それに伴い大規模なインフラ整備も始まっております。その一環としてそれまで建築基準法の耐震基準による高さ制限は31mであったものを、耐震構造技術の進歩などにより一部の規制が緩和されました。

結果としてこの時期辺りから超高層建築が建てられるようになったのです。

その後は、先ほどの表でもわかるように大地震と共に改正が行われてきました。

しかし気になるのは現在の状況です。

2000年に改正が行われて以来、宮城県北部連続地震、新潟県中越地震、東日本大地震、熊本地震と全国的ニュースになる様な大きな地震が度々発生しているにも関わらず建物構造に関する改正は行われておりません。

現状は何を意味しているのでしょうか。

私が考えるには、もう耐震基準はある程度の強度を保てる所まできているのではないかと思います。

もちろん基準を更に厳しくすれば強固な建物が建築されることになるでしょう。しかし、より強固な建物を建てるためにはコストが嵩みます。その強化された基準を満たした建物であっても「想定外」な地震が来れば被害は出ます。やはり費用対効果のちょうど良いところというものがあるのでしょう。

そうは言うものの、このまま地震対策が行われないわけではないでしょう。少ないながらも、新耐震基準で建築された建物も最近の地震で被害を受けています。

しかも東日本大地震や熊本地震は規模も大きかったので、社会に与える恐怖も大きかったのではないかと思います。これも私の想像の域は出ませんが、最近の地震被害は地域性によるものも多いので、個別の対応を見直すのではないかと想像します。

例えば熊本地震では地震地域係数というものがあり、これが低い値だったということで大地震が発生し難い地域と思われていたことも問題視されています。むやみに建物強度全体の基準を厳しくするのではなく、地域性や特殊性などを考慮した改正が行われるのではないかと考えます。

耐震基準の考え方

現在建てられる建物は、全て新耐震基準によるものです。新耐震基準とは、1981年(昭和56)年の建築基準法大改正に伴う新基準によるものです。対して1981年以前の建物は旧耐震基準建築物と呼びます。

この基準の具体的な違いはどのようなものでしょうか。

「旧耐震基準」では、震度5程度の地震に耐えられることが基準となっております。対して「新耐震基準」では、建物の倒壊を回避するだけでなく、建物内にいる人の命を守ることに主眼が置かれており、比較的よく起きる中程度の地震では軽度なひび割れ程度及び、まれに起きる震度6〜7程度の地震では崩壊または倒壊しない耐震性を求めています。

以上のことから、新耐震基準の建物は地震が来ても壊れないわけではなく、中程度の地震では軽度な損傷が発生し、大地震に対しては崩壊または倒壊しないという基準を満たしていることになります。あくまでも人命優先の考え方であり、建物を使用する人間が安全に非難できるための建築物であることが絶対条件でしょう。

新耐震基準の建物は地震で壊れない! と勘違いされないようにして下さい。

ただ、新耐震基準の建物は阪神・淡路大震災でも東日本大震災においても旧耐震建物と比較した場合、比較にならないほど丈夫であったことはその後の調査データでも実証されています。

最後に

不動産投資を行っている場合、建物の状態というのは非常に重要な要素です。どんな良い場所であっても建物がNGであれば不動産投資は成り立ちません。地震がきて倒壊してしまったら収入は途絶えます。融資を利用していて収入が途絶えれば返済もままなりません。

こんな事態になり難いのはできるだけ最近の建築基準で建てられた物件でしょう。

中古物件の売買であっても、1981年の以前の旧耐震物件であると融資がつきません。仮に一部の銀行で融資付けできたとしても出口で売却という方法が難しくなります。次に買ってくれる人が融資を使えない可能性が高いからです。そして旧耐震基準で建築された建物は躯体強度も低いので修繕も多くなると想定します。

これから先も建築基準法改正は絶対に行われます。

ただ、どの程度の規模のものが、いつ頃行われて、その改正が施主である不動産投資家にどの程度影響するのかは想像の範囲を出ません。

1981年の大改正のようなものは考え難いのですが、厳しくなることはあっても緩和されることは少ないと思われます。新築を検討中の方は早めの行動が良い時代かもしれませんね。