この時期、新米大家の頭を悩ませる確定申告。

今回はいよいよ確定申告書の記入を行う新米大家の馬場。前回に引き続き、税理士・司法書士渡邊浩滋総合事務所の渡邊浩滋先生に確定申告書の書き方を教えてもらった。

収入と所得を記入、赤字なら給与所得と損益通算

渡邊 いよいよ確定申告書の記入に移りましょう。源泉徴収票を見せてもらえますか?

馬場 …! すみません、忘れてきました…!

渡邊 それじゃあ、こちらでサンプルをご用意しますね(笑)

馬場 すみません…お借りします。

渡邊 いえいえ。それでは、まず1枚目です。まずは、先ほど出した不動産収入の金額(収入金額)を「不動産」の欄に書き(1)、その下の「給与」の欄に、実際に支払われた給与額を書きましょう(2)。

渡邊 それでは、次は所得金額ですね。こちらも源泉徴収票を見ながら、給与所得控除後の金額を、給与の欄に記入してください(4)。不動産の欄は、先ほど青色決算申告書で計算した「所得金額」を書きましょう。残念ながら赤字になっていますので、マイナスをつけてくださいね(3)。

馬場 はい…。

渡邊 所得金額の合計の欄に、給与所得金額と、不動産所得金額を足します(5)。今回の場合は不動産が赤字なので給与と損益通算されて、給与所得が小さくなった、ということになります。

控除ももれなく記入

渡邊 次は、先に2枚目を記入しましょうか。まず所得の内訳ですね。所得の種類には、給与所得なので所得の種類の欄には「給与所得」と書きます。その次には会社の名称や住所を書いてください。収入金額は先ほどと同じように源泉徴収票から転記し、源泉徴収税額も、源泉徴収票の通りに記載してください。(6)

馬場 わかりました。

渡邊 次は、右の「所得から差し引かれる金額に関する事項」という部分です。源泉徴収票を見ながら、順に書きましょう。社会保険料、新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料…今回はありませんが、地震保険もあれば書いてくださいね。

馬場 この寄付金控除というのは?

渡邊 もしふるさと納税などをしていれば、自治体名とその総額を書いてください。寄付先の所在地・名称というところに、自治体名を書きます。複数カ所に寄付をしている場合には、代表的なものを書いて「○○県○○市など」としてもいいですよ(7)。

馬場 次は配偶者控除と扶養控除ですね。僕には対象となる人はないのですが…

渡邊 このサンプルで持ってきた源泉徴収票の人には、配偶者控除も扶養控除もあるようですね。せっかくなので記入しましょう(8)。

渡邊 配偶者控除の欄には、その人の名前と、生年月日、それから配偶者控除なのか配偶者特別控除なのかのチェックを入れてください。それから個人番号、つまりマイナンバーも記入する必要があります。

馬場 以上が配偶者控除ですね。扶養控除は…

渡邊 この方の場合には高齢者ですね。対象の方の名前と続柄、生年月日、マイナンバーを書いてください。

馬場 控除額は書いてないんですね。

渡邊 はい。控除額は、次の通りです。

【控除額(2017年分)】

○配偶者控除
 ・一般の控除対象配偶者…38万円
 ・老人控除対象配偶者…48万円

○配偶者特別控除…配偶者の合計所得金額に応じて最大38万円まで

○扶養控除
 ・ 一般の扶養対象扶養親族…38万円
 ・ 特定扶養親族…63万円
 ・ 老人扶養親族(別居)…48万円
 ・ 老人扶養親族(同居)…58万円

○基礎控除…一律38万円

※ただし、2018年分以降の配偶者の控除額は変更になるため注意(参照:国税庁HP

渡邊 このサンプルは高齢者の扶養控除(別居)なので48万円となります。扶養控除額の合計を書いたら2枚目はこれで完了ですが…ここでもう一点、チェックすべき場所があります。

「自分で納付」にマルをする理由(音声なしでもご覧いただけます)

▼ポイント▼

サラリーマン大家の場合には、2枚目の「住民税の徴収方法の選択」で「自分で納付」に○をつけたほうが良い!

※ただし、不動産収入が赤字の場合には給与から差し引きされることになるので、会社に知られたくない場合には黒字にする必要がある。

渡邊 さて、ここで1枚目に戻りましょう。「所得から差し引かれる金額」の欄の「社会保険料控除」「生命保険料控除」「配偶者控除」「扶養控除」などを記入します。ここで足し上げていって合計の欄を書きますが、すべてを足し上げると源泉徴収票の所得控除の額の合計額と一致するはずです。

馬場 おお、この人の金額は一致しました! 一致しないこともあり得るんですか?

渡邊 何かが抜け落ちてしまっているときには一致していません。あるいは、年末調整では反映されない、つまり確定申告でしか反映できない控除に「寄付金控除」や「医療費控除」「雑損控除」があります。これがもしある場合には、一致していなくても問題はないです。

いよいよ税金を計算、復興特別所得税を忘れずに

渡邊 さあ、もう少しですよ。「税金の計算」の欄にいきましょう。まずは「課税される所得金額」ですが、先ほど出した「所得金額の合計」から「所得から差し引かれる金額の合計」を引きます。1000円未満は切り捨てです。その次に、この額に対する税額を書きます。これは、次のようになります。

課税される所得金額(A)

課税される所得金額に対する税額

0円

             0円

1000円~194万9000円

A×0.05円

195万円~329万9000円

A×0.1-9万7500円

330万円~694万9000円

A×0.2-42万7500円

695万円~899万9000円

A×0.23-63万6000円

900万円~1799万9000円

A×0.33-153万6000円

1800万円~

A×0.4-279万6000円

渡邊 この下以降、住宅ローン控除などがあれば、そちらも記入しましょう。それらをすべて計算し、差引所得税額を算出します。ここで忘れずに書かなくてはならないのは、復興特別所得税額です。差引所得税額に2.1%をかけてください。この金額と、差引所得税額を足したものを「所得税及び復興特別所得税の額」に書きます。

馬場 はい! そろそろ終わりが見えてきました。

渡邊 でも、ここで終わりではないんですよ。所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額があるので、2枚目に書いていたこの金額を記入します。その額を、先ほどの「所得税及び復興特別所得税の額」から引きましょう。そうすると、最終的に納める、(あるいは還付される)納税額になります。これで完成です!

「おすすめはe-Tax」(音声なしでもご覧いただけます)

▼ポイント▼

提出書類がそろったら、必ず控えも一緒に送る。
今後の確定申告は、e-Taxが必須に。

馬場 先生、本当にありがとうございます! 帰って源泉徴収票を見ながら、きちんと完成させます! 先生のおかげで完成できそうです。ありがとうございました!

渡邊 細かく教えましたから、きっと大丈夫のはずです。頑張ってください。馬場さんだけでなく、ほかの皆さんの参考になることも願っています!

○取材協力

渡邊浩滋先生:税理士、司法書士。渡邊浩滋総合事務所代表。大家兼業税理士として、悩めるオーナーのために活躍中。
著書「大家さんのための青色申告(2017-2018版)」、監修した「不動産オーナーの儲かる節税」も発売中。

後日談…

後日、無事自分の源泉徴収票や、交通費などを確認しながら、確定申告書類を完成させることができた、楽待スタッフ・馬場。とはいえ、2017年分の不動産所得は赤字。税金が還付されるという結果になった。次こそは黒字を目指してほしい。

馬場 渡邊先生ありがとうございました! 自分の力だけで行っていたら間違えてしまうようなところがたくさんありました。より税金に関する知識も身につけていきたいと思います。今回は赤字だったけど、必ずや来年の確定申告では黒字を出せるようにするぞ!