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寒い日が続きます。気候は寒いですが、空室が最も埋まる時期ですので、空室の多い物件でも入居者が決まってくれば気持ちは温まりますね。入居者の多い時期ではありますが、入居者が多いということは退去者も多いということです。

この時期の退居部屋は「何とか3月中に入居を」と考えるわけですが、リフォーム業者も忙しいこともあり、なかなか思うようにはいかないのが現状でしょう。

どうしても間に合わせたい場合、簡単な作業はDIYで挑戦してみてはいかがでしょう? 壁紙の張替えぐらいであれば挑戦してみても良いかもしれません。上手くいかなくても、その後プロの手で手直しも容易ですから大丈夫です。

私もまだまだ、退居連絡が来るのではないかとドキドキの毎日です。不動産投資における気持ちの休まらない時期ですね。

東日本大震災から7年、耐震性を考える

さて、今回は構造別による建物の耐震性についてです。

来月になると東日本大震災が発生した3月になります。今年で地震発生から7年となりますが、未だ記憶に新しい出来事です。戦後の大地震では最大規模であり、被害程度も最大です。津波の影響で被害も大きくなったのですが、建物の損壊も多く記録されています。

1981年の建築基準法大改正により、それ以前の建物は減ってきており、新耐震基準で造られた建物が大部分を占めるようになってきています。

とはいうものの、人間が作り出すものは大自然がもたらすものには敵いません。そういった大自然が起こす地震というものにどう対応していくべきか、できる限りの対策はしておきたいものですね。

地震に強い構造は何か?

「一般的に地震に強い建物構造は?」と聞かれると、「RC造」と答える方が多いでしょう。これは確かに正解といえば正解です。しかし、RC造より更に耐震性があるのはSRC造です。「SRC」、聞いたことはあるのではないでしょうか。

RCとは鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete)の頭文字を取っています。コンクリートの中に鉄筋が入っていて補強しているため、このような名前になります。

そしてSRCにはRCにSが付いていますが、このSは鉄骨(steel)です。SRCでは鉄骨で骨組みし、そこへ鉄筋を配筋します。さらには型枠を組んで、周りをコンクリートを流して固めるわけです。なんだか頑丈そうに思いませんか?

耐震性重視というよりも、柱の少ない大空間を計画するときに採用されます。集合住宅でも採用されますが、コスト高になるので、一部の分譲マンション以外、あまり賃貸物件などでは見かけません。では、鉄骨の耐震性はどうでしょうか。

鉄骨造建築物の耐震性も優れています。ただ、鉄骨造の高層建築物は地震時に横方向にしなることにより大きく揺れます。特に高層階では大きな揺れとなることがあります。これは鉄骨材の特徴であるたわみが原因です。鉄骨材はこのたわみによって破断やせん断されるのを回避しているのです。最近では、制震装置や免震装置などの開発で揺れ難い構造を実現しています。木造は地震に弱いのでしょうか?

同じ規模の建物であれば、RC造や鉄骨造に比べて弱いでしょう。しかし、木造の大規模建築物は多くは存在しません。階数もせいぜい3階程度でしょう。木造の大規模化や高層化は不可能ではないですが、コストが大きくなる上に強度も弱くなりますので、集合住宅には不向きです。

そもそも木造の最大の利点はコスト安ですから、木造の大規模建築物は不動産投資に向かないことがおわかりいただけるでしょう。

各構造でも更に細分化される

RCと一口に言っても、更に細分化されます。ラーメン構造、壁式構造、それからPC工法などがあります。

ラーメン構造はRC建築物では最も一般的な構造です。柱、梁、スラブが主構造体になり、現地にて下階からコンクリートを打設して建築します。壁式構造は現地でコンクリートを打設して建築するのは同じですが、壁式構造では柱や梁がありません。柱や梁は壁と一体化しているので、構造体に凹凸が無いのです。ただ、高層建築には向かず、5階建てまでしか施工できません。

PC工法はプレキャストコンクリートというパネル状のコンクリート材を、工場にて予め製作し、それを現地で組み立てる方式です。コンクリートパネル材はよく管理された工場で製作するため強度が確保でき、強固な建築物を作り上げることができるのです。

それぞれ特有の長短所はありますが、どれも耐震性は良好です。鉄骨造においても種類があり、こちらはその種類によっては耐震性が変わります。

一番シンプルで、普通に鉄骨造というと、重量鉄骨を骨組みに使い、そこへ屋根、スラブを施工し、壁材としてサイディングやガルバリウム鋼板などを貼り付ける工法を採用します。

その他の方法として、壁材に軽量気泡コンクリートを使う建物があります。ALC材と言い、Autoclaved Lightweight aerated Concrete(高温高圧蒸気養生された、軽量気泡コンクリート)の頭文字を取っています。このALC材は耐震、軽量、耐熱、耐久、遮音、遮熱等に優れます。ただしコストは他の外壁材を採用したときよりも高くなります。

その他では軽量鉄骨造というものもあります。これは骨組に使う鉄骨材の肉厚が薄い物を使うため、軽量鉄骨と呼ばれます。鉄骨材の肉厚が薄いので耐震性は劣りますが、軽量鉄骨造物件は2階建てが主流で、3階以上のものはコスト高になるのであまり採用されません。そのため重量鉄骨よりも耐震性が劣るとはいえ、問題がある訳ではありません。

木造においても日本古来の建築工法として軸組工法というものがあります。軸組工法は柱、梁、筋交等を主に骨組みとしてそこへ壁を張っていく工法です。在来工法とも呼ばれて現在の建築物へも広く採用されています。

耐震性としては筋交の量や柱と土台または梁との接合などによって変化します。新耐震基準ではこの辺の条件が強化されています。

一方、壁組み工法という柱、梁、筋交が無く、壁のみで構成される工法があります。一般的にはツーバイフォー工法等と呼ばれています。この工法は欧米では広く採用されていますが、日本でも多くなってきました。壁そのものが構造体になっているので、耐震性は非常に良いです。

耐震性を左右するのは、建物構造の種類ばかりではない

以上のように、構造別で建物の耐震性に関して紹介しましたが、実際には建物種類よりも気にしなければならないものは他にあります特に重要なことは、建物が新耐震基準で建てられているのか旧耐震基準なのかです。

前述したように、建築基準法は1981年(昭和56年)に大改正が行われています。この大改正により建築物は新耐震建築物、旧耐震建築物に分かれます。

最近の大地震といわれる阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震においても、倒壊した多くの建物は1981年以前の旧耐震基準で建築された建物です。これは木造でもRC造でも同じことがいえるのです。

しかしながら、数は少ないものの新耐震基準で造られている建物も被害を受けています。それらはなぜ被害を受けたのでしょうか。一部紹介すると、1階がピロティー形式の建物の被害が顕著でした。

ピロティーは壁やブレース(筋交)の無い柱だけの空間です。地震時には柱だけで横揺れに耐えなければなりません。この場合、柱がRC造であればしなることができないので破断してしまいます。

鉄骨造である場合はある程度しなることにより耐えることもできますが、大地震であると揺れに耐えられなくなり曲がって折れてしまいます。どちらも上階の重量に耐えることができずに「だるま落とし」の様に1階が消えてしまうのです。

違法改造の建物も被害を受けています。ここで言う違法建築とは、新耐震基準で建築した建物をちゃんと構造検討を行わず、安易に増改築した場合です。または、新築された建築物を旧耐震基準で造られた建物とつなげてしまう等の行いです。

こうした建築物は違法増改築した部分や、旧建築物の巻き添えになって被害を受けるのです。その他の現象として、建物は悪くないのですが、土地に問題があることが多々あります。

盛土を行った造成地では、一気にその地域の盛土が流されてしまう現象が起こりました。造成地は人間が作った土地であり、いくら締め固めたとしても自然にできた土地に比べ、遥かに弱い地盤であることがわかります。

同じく地耐力の弱い土地といえば、液状化する土地です。東日本大震災で、千葉県浦安市の埋立地では液状化が起こりました。地震そのものによる揺れで建物の被害はほとんどなかったのですが、敷地の液状化により建物が沈んだり傾いたりしてしまいました。戸建住宅では支持杭を施工する建物は少ないので、液状化が発生するとひとたまりもありません。

最後に

地震による建築物の被害は、むしろRC造か木造かを心配するよりも、新耐震か旧耐震かを把握し、さらには土地の状態を把握するべきかもしれません。

現在の耐震基準で建築された建物であれば、RC造であろうと木造であろうと簡単には倒壊しません。しかし、デザインや機能性などを重視すると危険な場合もあり、違法建築においても危険が伴います。そして土地の状態把握も重要でしょう。

建物が無事残っても沈んだり傾いたりすれば使用不可です。それを元通りに戻すのは大きな費用がかかる場合が多く、被害状況によっては修復不可能の場合もあるでしょう。

建物に被害を及ぼすような大地震は稀にしか起きません。しかし一度発生すれば大きな損害を被ります。

あまり神経質になる必要はありませんが、あえて地震被害が予想される建物や地域での購入は避けたいものです。

地震保険もありますが、掛金額が大きい割にもしものときの保証は最大で火災保険補償額の半額です。さらには地震保険の掛金額の値上げも検討されているようですので、地震保険だけに頼るわけにはいかなくなりそうです。物件取得時には気をつけたいものですね。