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昨年の大みそかに配信された<勝者の成功哲学 Vol.9>安藤新之助。私が投資家として成功するまでの人生を赤裸々に語ったこの企画。たくさんの方に読んでいただいたうえにコメントもいただき誠にありがとうございました。共感いただいた皆様のお声、本当に嬉しかったです! 私が言うのもなんですが、恥ずかしながら自分で何度も読み返してジーンとしていました(笑)

何もないところから個人でこの規模にくるまで色々な出来事があり、それを乗り越えてきた結果が今であるわけですから、普段は意識していないのですが、いざ振り返ってみるとやっぱりジーンときてしまうんですよね。そんな私の手法や経験を皆様にお伝えするべく、今月に初の自主開催セミナーを行う予定です。

さて今回のテーマは、2018年の不動産投資をどう乗り切るか? 買い手、売り手の両側面からお話していきましょう。

購入面~融資が厳しくなった状況で~

皆様もご存知のとおり、不動産に対しての融資条件が厳しくなり昨年半ばくらいから資金調達が難しくなってきています。過去2~3年くらいの間は、特にサラリーマン投資家は属性を武器に資金調達が比較的有利にできていました。それは今年からは通用しないと思っていた方がいいです。

なので、物件を紹介してもらって業者に融資付けを任せておけば大丈夫と考えていたら、投資家として第一歩を踏み出せる可能性は相当低い。

かなりの自己資金を持っていたり、物件価格の3割程度を賄えるのならまだ優位なスタンスかもしれません。

そうでなければ、自身がちゃんと資金調達できる準備、目途を立てておかなければダメです。

○金融機関とのパイプの作り方 その1

最もスムーズに事が運ぶのは、金融機関と太いパイプを持っている不動産会社とお付き合いする事。金融機関でも、話題に多く出てくる金利の高い某地銀以外にも持っている方がいい。それ以外の金融機関というと、あるようで実は意外と少ない…。

仮にパイプを持っているとしても、支店長クラスと直接話しができたり、凄腕銀行マンと密な関係だったりすると安心です。パッケージローンをそのまま通しているだけのメッセンジャー的な銀行マンでは、良い案件でも通せない可能性が高い。

私も以前に、かなり上位レベルな案件を持ち込んで自信満々でいたのですが、お断りの電話が来ました。他行ではオーバーローンが出ているのに…。結局、その銀行マン(幹部)は早々に異動に。まあ、当然かと思いましたが(苦笑)

なので、事前に紹介を受け、金融機関担当者と面識を持ち、親身になって取り組んでくれそうか熱意の度合いを確認しておいた方がいい。

そして、自身の資産背景や考え方を理解いただいている事が必要です。なぜなら、金融機関は「どの業者の案件なのか?」「誰の紹介で当行に来たのか?」「どんな属性なのか?」など、持ち込んだ経緯と人間性をとても重要視するからです。

○金融機関とのパイプの作り方 その2

この他、実績のある投資家から紹介を受けるのもベストでしょう。実はこれが一番有効だったりします。実績のある投資家は、不動産に対する貸し出し実績を多く持つ金融機関・支店・担当者に精通しています。そして、金融機関との信頼関係が構築されているので事が運ぶのがスムーズです。

ただ、勘違いしないでいただきたいのが、誰もが実績のある投資家に紹介してもらえると考えてはいけません。それはさすがに都合が良すぎます。

紹介してもらうという事はその投資家の信用を使う事になるので、本人が投資家から信頼されていないと紹介はしてもらえません。交流の機会を事前に持っておく事が必須です。

こういった事前準備が最初の段階でできていれば、その後、物件を紹介された際にも慌てずにすみます。

良い物件は突如現れますから、このチャンスを逃さないようにしなければならない。約90%以上の投資家が、資金調達の準備が不十分で離脱していきますから、ここは注視していかなければいけません。

こうして、資金調達の準備が整ったら物件探しです。買うなら少しでもお値打ちに買いたいのが本音。そこで注目したいのが中古の場合「売却理由」です。よく耳にするのが、「高く売れるなら売ってもいい、別に持っていても損はない」。

こういった売り急ぎしない売却理由だと、指値が通りにくいでしょう。(これが本当の理由であればですが…)

「売却理由」でいちばんお値打ちに買える可能性が高いのは、相続案件や任意売却案件です。要は売主が「すぐに現金が欲しい」という立場にある事がポイント。特に相続案件に関しては期限が決まっていますから待ったなしです。相続人の同意が得られればOK。身内の事ですから、比較的スムーズに運ぶ事が多い。(ギリギリまで難航する事もありますが…)

任意売却の場合、債権者が絡んでいますから、債権者の同意が得られれば良いのですが、何だかんだで時間がかかり難航し話が頓挫する事も多々あります。でも、お値打ちに買える事が多いです。

新築に関しては、「家賃設定が相場からかけ離れていないか」「新築プレミアムに依存してしまっていないか」「市場に同様の物件があふれていないか」を見極める視点が必要。

新築を買う理由で多いのが、「修繕費や入居付けに当面苦労しないから」「融資が付きやすく、返済期間が長くとれるから」。

確かに仰るとおりです!

しかし、それが故に脇が甘くなって後に苦戦することもあるので注意が必要です。それをクリアしていれば新築ってとても良い投資ですよね。

売却面~業界の裏側は~

続いて売却について。売却に関しては、なるべく入居率を高めた状態で売却したい。何故なら空室が多いと、買い手からの指値を受けやすくなってしまう事と、買い手の資金調達の足枷になってしまうから。

建物に関して、外部が傷んでいる場合、大規模修繕を行った状態で市場に出すのもポイントが高い。これも、外部修繕は高額な費用がかかる為、それを理由に大きく指値を入れられてしまう。それなら、保有しているときにお値打ちなリフォーム業者を探して工事をし、「大規模修繕済み」という形で売りに出した方が指値を入れられにくくなります。

そうした方が、売主は結果として得する事が多い。物件に対する印象が良くなり買い手側の金融機関の評価もあがりますし、管理状態の良い案件だという事で、買い手の裾野も広がります。

実際に私も売却時に、修繕して売るか、現状のままで売るか検討した事があります。その際に、外部塗装と屋上防水の見積もりを、大手の業者で取ったら2000万円私の付き合いのある業者だと700万円。その差、1400万円! もちろん同じ仕様での条件です。

悩んだ結果、とりあえず、現況のままで売りに出したら案の定、早々に外部修繕を理由に修繕費用3000万円プラスαの指値を入れられました。さすがにそれはやり過ぎだろ~と思ってお断りしました。

その後、指値の範囲内かつ現状のままで良いという買い手が現れて売れたので、結果的にはWIN!笑

将来的に売却の計画があるのなら、事前にお値打ちにクオリティーの良い工事をしておくのが一番流動性が高くなり、売り手、買い手のメリットなるのでおススメです。万が一、売却の必要がなくなっても何かと安心です。

そして、媒介を依頼する業者選び。注意したいのは「高い査定だから決め手にした」。これはある意味、正解でもあり、不正解でもあります。もちろん高く売りたいのは当然ですが、そこだけに目が行ってしまうとあとで痛手を被ります。

業界裏話ですが、専属専任or専任媒介契約をとると営業のポイントになるんです。そして営業マンが物件のハンドリングをしやすくなります。

売買の際にはうまくいけば「両手仲介」で手数料が倍入る事になり、その会社、営業マンの得する事が多い。

したがって、あえて相場より相当高い査定を出す

大抵の売主さんは査定額の高い方に目が行ってしまいます。普通に考えれば当然の事。無理もないでしょう。これでは相場に則って査定した良心的な不動産会社は太刀打ちできません。

実際にそれで売れればよいのですが、売れないケースが多いんです。残念ながら…(苦笑)

そして、売れなくて弱気になってきたオーナーに値下げの話を打ち出す。何度か会ったり話をして、頑張っている姿を見てしまうと、業者の話を聞き入れた方がいいだろうという気持ちになります。これも情があるうえに仕方ない事。相場に落ち着けば自然に売れていくんですよね。

不動産の売買は、時間や手間が結構かかります。本当に売却により資金が必要な方だと、時間が長くなれば長くなるだけ精神的につらい日を過ごす事になってしまいますから、不動産会社選びは慎重にいきたいところです。

右肩上がりのトレンドであれば何とか売れていったかもしれませんが、今後はより慎重さが求められます。

業者選びのポイントは、市場相場を熟知した実績ある営業マンに出会う事。これに手間や時間を惜しんではいけません。また大手、中小関係ありません。例えば、営業マンにオファーするポイントとして下記のようなものがあります。

近隣市町村の取引事例を教えてもらう。

その会社が出した査定価格と売出価格、成約価格を教えてもらう。

査定価格と成約価格にかい離が少なければオファーする価値あり。

これはあくまでも性善説なので、偽られたら全く無意味になりますが、数社同じ商談をすればおおよその相場観、その会社のポテンシャルが見えてくるのではないでしょうか。

スムーズに売却するコツとして、上記を基におおよその相場観をつかみ把握したうえで高めの値段をつけて市場に出す

相場より高値で売れれば良しとし、高値の売出価格で売る事に固着しない事。

そして、相場に近い指値が入ったら素直に受け入れる気持ちの余裕をもつ。これが一番理想のパターンではないでしょうか。

もう少し待てば、高く買う人がいるかもって売却をもったいぶってしまうとタイミングを外してしまう事も…。買い手はちゃんと相場観を知っています。相場より高く買う人ももちろんいるでしょうが、限られたエリアだったり、その場所にこだわりがあるケースのみ。あまり期待しないほうがいいかもしれません。

私は売り買い両方を経験していますが、やはり相場で売れています。もちろん、最初は相場より高値を付けて売り出していますが、世の中はそんなに甘くはありませんでした(苦笑)

今まではマーケットが相場を引き上げる動きをしていましたが今後は違います。今まで以上に情報収集と行動力が必須の時代になります。物件を相場より1円でも安く買って、1円でも多くキャッシュフローを生ませる努力と1円でも相場より高く売れる工夫をする。

これが不動産投資の成功の秘訣。例外はありません。