サブリース問題解決センター(東京都)理事長の大谷昭二氏は「普通の人なら1億、2億を借り入れての投資に尻込みしますが、『融資審査が通った』ということは、銀行がこの事業は大丈夫と判断した、と安心感を持ってしまうわけです」と指摘。「スマートデイズもスルガ銀行も、それを分かった上でこのビジネスモデルを続けていた。過剰融資の責任は重いです」

一部では、スルガ銀行はすでにオーナーの連帯保証人の資産状況を洗い出し、差し押さえの準備に入ったという情報も流れている。

スマートデイズは楽待新聞編集部の取材に文書で回答し、スルガ銀行との関係性について「金融機関とオーナー様の契約・やりとりに関しては、弊社で分かりかねますのでお答えできません」とした。

今後の事業再建プランについては「現経営陣の話し合いの中で、今後は新会社を設立して現在空室となっているシェアハウスの入居率を埋めていく計画」と回答。新規ターゲットの勧誘やイングリッシュハウス、新社会人ハウスなどのコンセプト物件へ切り替えての利用を考えている」と説明し、「可能な限り早い段階で事業を再建し、オーナー様方に安心していただける状況を作れるよう誠意を持って対応させていただく予定です」としている。

スマートデイズの本社が入るビル=26日、東京都中央区

置かれた状況は千差万別

被害に遭ったオーナーたちには今後、どのような道が残されているのだろうか。

コンセプト型集合住宅の企画・運営を手がけるLivmo(東京都)代表で、シェアハウス業界に詳しい源侑輝氏は「1日2、3件のペースでかぼちゃの馬車オーナーからの問い合わせが来ていますが、40~50代の真面目な人が目立ちます。誰もが知るような有名企業に勤めている方や士業の方、そして中級レベルぐらいの不動産投資経験者も意外と多い」と語る。

中にはカードローンを使って来月の返済を乗り切ろうとしている人もいるといい、「自己破産者が続出するのは時間の問題だと思います」と源氏。「ただ、士業のオーナーは自己破産すると国家資格や職業に対する制限を受けることになり、資産と職を同時に失うことになるので簡単には決断できない事情があります」

一口に700人といっても、物件の立地が良くほぼ満室状態の人、逆に条件が悪く全空が続いている人、さらに建物すら完成していない人など、オーナーによって置かれた状況は大きく異なっている。それぞれリスケや金利交渉を続けながら、自主管理への変更、別の管理会社への管理委託などの選択肢を模索している。

満室でも赤字に

ただ、スマートデイズは異常なペースの建築による空室率の向上に対応するため、家賃を相場の半額程度まで下げて入居させていたケースも多いとみられている。そのため、たとえ満室経営を実現しても、キャッシュフローがマイナスになるようなケースも想定される。

源氏は「基本的にオーナーは入居者の素性を把握できていない状態なんですが、法人が全室一括で2年契約して又貸ししているケースもけっこうあります」と説明。「その場合、2年間は相場の半額程度の家賃を上げる手立てがないので、満室でも毎月数十万程度の手出しが確定してしまいます」

さらに「2014年のスタート当初に建築された100棟ほどなど、最初期の物件については好立地で利回り9%というようなケースもあるんですが、その後につられて買った人は微妙な立地の物件を掴んでいることも多い」と指摘。あるオーナーは「今後は立地や入居率のよい物件だけ救済し、立地が悪く空室の多い物件は切り捨てるつもりでは」とみている。

サブリースの賃料が完全に停止され、返済や固定資産税など毎月100万円を超す持ち出しに何カ月も耐えられるオーナーは多くない。早期に売却して損切りに動く手段もあるが、実勢価格にスマートデイズ側の儲けを上乗せした価格で購入している分、売却しても借金を返済しきれず手元資金での穴埋めを覚悟せざるを得ない。

源氏は「あるオーナーからの相談で物件を調査したところ、木造物件で坪単価が150万円でした。これは平均の2倍ほどで、もちろん価格に見合った仕様とは言い難い造りです」と語る。毎月積み上がっていくマイナスキャッシュフローに耐えきれず、大幅に安い価格で売りに走るオーナーが増えれば、さらに価格が崩壊することも予想される。

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