1950年代に始まった高度経済成長期に、増加する住宅需要の受け皿として建設されたのがニュータウンだ。国土交通省はニュータウンの定義を「1955年度以降に着手された事業」「計画戸数1000戸以上または計画人口3000人以上の増加を計画した事業のうち、地区面積16ha以上であるもの」「郊外での開発事業」としており、2013年時点で全国に約2000箇所存在する。(*1)

しかし建設のピークは1970年代前半であることから、ニュータウンの多くは建設後40年以上が経過。建物の老朽化や住民の高齢化が進むことで街全体が老いていく「ニュータウンのオールドタウン化現象」が問題になっている。

このような事態に陥る背景には何があるのか。また、ニュータウンの団地や戸建てが投資用物件として出回っていることもあるが、不動産投資用として、ニュータウンにある物件は運用には不向きなのだろうか。(*2)

住民が一斉に高齢化 第二世代には魅力が弱く人口が流出

まず話を聞いたのは、著作『限界マンション』『空き家急増の真実』(ともに日本経済新聞社)などを持つ富士通総研主席研究員・米山秀隆さん。

オールドタウン化の原因について、米山さんは「開発と入居が一斉に行われること」と指摘する。「住民の高齢化と建物の老朽化が一斉に進み、結果としてオールドタウン化を引き起こしします」

第一世代の高齢化が進むのは理解できるが、第二世代が住み続ければオールドタウン化は食い止められるのではないか。この疑問を米山さんにぶつけると、「ニュータウンは第二世代にとって魅力的とは考えにくい」と話す。

「核家族化が進み、子どもは家から独立して家庭を持ちます。そのため、いまや大人数で暮らすケースは少なくなっています。第二世代にとっては間取りが手狭であることもあり、魅力が弱いのです」

立地や街全体の状態が良好であれば、進学や就職で離れた第二世代が戻ってくる可能性はある。しかし米山さんは「現状では、そのような条件を満たすニュータウンは少ない」と語る。

オールドタウン化するニュータウンの特徴

オールドタウン化するニュータウンにはどのような共通点があるのか。米山さんは以下の4点を挙げる。

1:主要都市からアクセスするのに1.5~2時間ほどかかるなど、立地が悪く、第二世代以降に魅力的ではない 。

2:立地の悪さが理由で、開発主体にとって、建物を更新して新たな世代を呼び込むインセンティブが乏しい。

3:住民(町内会、マンション管理組合など)による、建物や街を維持していくための活動が弱い。

4:ニュータウンを維持していくための行政からの支援が乏しい。

ニュータウンは郊外に建設されているため、都心へのアクセスの悪さを嫌って人口が流出し、新たな入居者を得る施策も行われていない、という状況だ。そのため、一度人口減少や高齢化、空き家が増加すると荒廃の一途を辿りやすい。

だが、中には例外もある。不動産会社の株式会社山万が開発を進めた、千葉県佐倉市のユーカリが丘ニュータウンだ。このニュータウンが他と違うのは、開発を一気に行うのではなく、長期にわたり少しずつ開発を進めたことだ。初期の入居者が高齢になった後は、高齢者の受け皿となるマンションや施設をニュータウン内に用意。空き家となった戸建住宅は現代的に改修し、新たな世代を呼び込む。

また、ニュータウン内に認可保育所など子育て支援のための施設も建設。そうした取り組みの結果、2011〜2015年で9歳までの子どもの数は約600人増え、高齢化率は全国平均よりも低い状態を維持している。アクセス面では、都心までは京成線で1時間ほど要するものの、街の取り組みによっては活気を維持できるという好例だ。

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