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最近は春を感じることが多くなってきました。まだまだ寒い日も多くありますが、植物も徐々に青々した芽を出し始めています。既に桜が開花しているところもあるのでしょうか。

花粉症のない方にとっては非常に良い季節ですね。花粉症歴40年以上の私は毎年嫌な季節なのです。最近は講師の仕事もやっているので人前に立つ仕事は特に気を使ってしまいます。花粉症の季節はまだまだ続きそうですね。

防水を疎かにできないワケ

さて、今回は建物の防水についてです。

これからの季節、雪国では雪解け水により建物の防水が重要になる時期です。その他の地域においても、これから梅雨の時期にかけて雨の多い季節になってきます。

防水を疎かにすると建物を傷めるばかりではなく、最悪、雨漏りという事態を引き起こします。こういった事態を回避するためにも、古い建物では完全に防水性を失う前に対応が必要でしょう。

所有物件において、防水は高額となりがちな修繕のひとつでもあります。防水の寿命は一般的に10年~20年程度であることから、修繕を行った大家さんや、これから修繕が必要になる大家さんも大勢いるのではないでしょうか。

そろそろ屋上防水の状態が気になっているのならまだ良いのですが、普段あまり気にしていない場合は、気が付いたときには手遅れになることも考えられます。このコラムを機に、防水について多少なりとも意識していただければ幸いです。

では、建物の防水とはどういうものなのかを中心に話を進めていきます。

建築物における屋根の種類

建築物は雨や雪などの水分を内部に浸入させない為に防水という処理をします。

多くの場合は屋根や屋上における防水処理を行うのですが、壁など、横からの水分浸入に対しても防水は行われます。横からの防水に関しては壁材そのものが防水の役目をするものが多いですが、つなぎ目や開口部などの処理にはコーキング材のような止水材により対応します。

特に重要なことは上からの防水であります。

地球には重力というものが存在していますので、雨や雪などの水分は屋根や屋上に直接落ちてきます。そういった水の大半は勾配などを付けて樋や排水管へ流すのですが、残った水や溜った水が建物内に染み込もうとするのです。その水が建物内に染み込まないようにするのが防水処理です。

大きな勾配の付いている瓦屋根やカラーベストでは下地で防水処理を行っていて、さらに瓦など屋根材を施工する際、水上の瓦を水下の瓦の上に重ねる形で取り付けます。水は高い所から低い所に流れますので、瓦の隙間から水は浸入し難くなります。この方法により、二重の防水効果で雨水の浸入を防いでいるのです。

次に陸屋根と呼ばれる屋上が平らな屋根の場合ですが、こちらの防水は注意が必要です。

平らな屋上とはいえ、若干の勾配は付いています。その勾配により排水溝へと水を流す訳ですが、前述の勾配屋根に比べたら水の流れは明らかに悪いです。大雨の時には若干水溜りが発生することもあり、雪国では長期にわたり雪解け水が溜ることもあるのです。

勾配屋根に比べれば防水に対する条件が悪くなることはおわかりでしょう。こうした陸屋根の屋上においての防水力は重要であり、対策も様々なのです。

陸屋根における屋上防水の種類

陸屋根に使用される材質ですが、陸屋根の場合、屋根材というよりも防水材ということになります。この防水材においては多くの種類が存在しますので、主な防水材を紹介します。

○アスファルト防水
施工単価目安:5000円/㎡~8000円/㎡ 寿命目安:15年~25年

防水層として、実際の現場でアスファルトを加熱して溶かします。溶けたアスファルトを下地にしてルーフィング類を張り付ける工法です(ルーフィングとはアスファルトをしみこませた板紙状の防水材料です)。

古くから使用されている信頼性の高い防水でポピュラーな工法ですし、大量生産品であるため材料も比較的安価です。そして、耐久性においても他の材料よりも長いことが特徴です。

屋上利用がある場合、このアスファルトルーフィング材の上に保護層として、コンクリートを施工します。

○シート防水
施工単価目安:5000円/㎡~8000円/㎡ 寿命目安:10年~20年

ゴムシートや塩化ビニル系シートを下地に張り付ける工法です。

シート防水は既存の建築物屋上防水を改修する場合に多く見られ、RC造や鉄骨造の陸屋根防水で良く使われております。

既存建築物の再防水工事を行う場合、既存防水屋根にゴムやビニルのシートを被せ、再防水施工を行うイメージです。

○ウレタン塗膜防水
施工単価目安:4500円/㎡~7500円/㎡ 寿命目安:10年~15年

ウレタン樹脂を不織布などに補強材として塗布する工法です。

樹脂の特徴として塗布すると自然に広がりながら表面が平滑になる特性があり、仕上がりが自然に平滑になる防水材です。 

○FRP塗膜防水
施工単価目安:5000円/㎡~7000円/㎡ 寿命目安:10年~15年

液状のポリエステル樹脂に少量の硬化剤を混合し、ガラスマットなどを補強材として下地に塗布する工法。

防水層は軽量かつ強靭で、耐水・耐食・耐候性に優れています。施工後の防水層は継ぎ目のない平坦な構造になり、外観的にも綺麗な仕上がりになります。

以上、一般的なものは上記の材料かと思います。

それぞれに長短所がありますので、実際の施工面に適した工法を選択します。施工費用や耐久性もそれぞれ違います。現状を確認して適した工法を選択すべきでしょう。

陸屋根における屋上スペースは不動産投資物件としては有効に活用したいものです。

最近よく行われる利用方法として太陽光発電設備の導入が考えられます。現在では事業用で1kw当たり21円の売電価格であり、数年前から比べれば半額以下になっています。

しかし設備の導入時コストが下がっているため、まだまだ利益も望めます。この太陽光発電設備を屋上に載せた場合、太陽光発電パネルが屋上カバーの役目をするため、防水の傷みが少なくなるのです。発電で利益が出て、防水の傷みが軽減されるのであれば一石二鳥ですね。

同じく屋上利用でも、屋上を住人が憩えるスペースにしたり、ペットの為のドッグランスペース等に開放したりした場合は防水の痛みは増すことになります。アスファルト防水の上に押さえコンクリートとして仕上げた屋上の場合は丈夫です。この場合は人間が歩いたり小型動物が走り回ったりした程度ではあまり傷みません。

しかし、その他のシート防水やウレタン防水等では、歩いたり走ったりすることで防水表面から徐々に傷んでいきます。特にシート防水は継ぎ目から剥がれやすく、その剥がれを放置すると更に剥がれは増し、最終的には防水層の下まで水が浸透し、雨漏りの原因になります。防水工法によっては、できるだけ屋上は開放したくないと考えます。

屋上は定期的に点検を行わないと付近から砂やゴミが飛んできて、そこへ雑草や小木が生え始めます。植物の根は非常に力があり、ちょっとした隙間から内部へと根を伸ばします。この影響で防水層を傷めてしまうことがあるのです。

こうした植物の発生も早めに発見して除去することも防水層の延命につながります。

木造建築物の陸屋根に注意!

更には陸屋根に向かない建築構造もあります。それは木造建築物です。

木造建築物においても陸屋根を設けた物件は多くあります。しかし、木造の陸屋根は防水層が切れやすいのです。防水層が切れるとは防水材が破れたり、接着面が剥がれて防水効果がなくなったりすることを言います。

そして防水が切れた場合はご想像通り雨漏りが起こるのです。こうしたトラブルを抱えた木造物件は多く存在するのです。

なぜ木造建築物の陸屋根防水は切れやすいのかと言いますと、木造は構造体が木でできています。ご存知の通り木材はコンクリートや鉄骨と比べて柔らかい材料です。構造体が柔らかいということは、その材は変形し易いのです。

建物内で人間が生活することにより建物は若干ながら揺れています。強風や地震によっても建物の揺れは大きくなります。ちょっとした揺れや歪みでも、それが繰り返されることにより防水材の一部にはストレスがかかるのです。

例えばプラスチック板を両手で持ち山にして谷にして繰り返すと、いずれその板は切れて2枚になるでしょう。建物の場合はこんな顕著な折り曲げは発生しませんが、長期にわたって徐々にこれと同じ様な現象が防水層で起こっているのです。

そして建物内に入った水は木材を腐らせます。更には湿った木材はシロアリの発生を促してしまうのです。これは木造特有の悪害となります。

木造の陸屋根はできれば避けた方が良いと考えます。

最後に

建築物において屋根や屋上の防水は非常に重要です。そして防水には寿命があり、定期的に補修を行い、15年程度で全面のやりかえ工事も必要になります。この場合の工費も多額になり、建物の修繕費用としては外壁塗装費用と並ぶ程大きい金額になります。しかし、この修繕を怠ると雨漏りという重大なトラブルに発展していきます。

雨漏りは原因の特定が非常に困難です。場所の特定においても雨の日でなければ現象が出ないので作業できません。そして原因が特定でき、対応工事を行ってもなかなか解決しない場合もあるのです。

仮にすぐに直ったとしても、数ヶ月後にまた同じところで発生なんてケースも多々あります。建築物において雨漏りは非常に厄介な現象の代表格と言っても良いでしょう。こんなトラブルにならないためには屋根や屋上の状況把握は重要です。

防水施工後10年以上経過した建物では、最低でも1年に1回程度は確認したいところです。屋上は建物形状により簡単には上がれないこともありますが、登るための準備を行えば殆どの屋上へは行くことが可能だと思います。

屋上のある物件をお持ちの人は何らかの形で確認することをお奨めします。