返済停止通知書を手に、スルガ銀行横浜東口支店に向かうオーナーや顧問弁護士ら=27日午後、横浜市西区

首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズ(東京都)がサブリース賃料の支払い停止を発表した問題で、毎月100万円前後のローン返済がのしかかっているオーナーら76人が27日、融資を受けたスルガ銀行に対して3月からの返済停止を通知した。

スルガ銀行側は「返済が止まっても当面は差し押さえなどを行わない」と明言し、オーナーとの個別交渉に前向きな姿勢を示した。オーナーらで構成する「スマートデイズ被害者の会」は今後、集団訴訟も視野にスルガ銀行の過剰融資責任を追及していく姿勢を示している。

払える状況ではない

スマートデイズ(旧社名スマートライフ)は2014年4月から、30年間賃料を保証するサブリース契約で女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開。物件数は約800棟・1万室に上るが、ほとんどの案件で融資を引き受けていたスルガ銀行が昨年10月に方針を転換し、予定していた販売ができず資金繰りが悪化。オーナーへの支払いは同月から返済額のみの支払いに減額され、今年1月17日のオーナー向け説明会でサブリース賃料の完全停止が発表された。

この日はオーナー11人と被害者の会の顧問弁護士らが集まり、今回の一件でほとんどの融資を引き受けていたとされるスルガ銀行横浜東口支店(横浜市西区)を訪問。会の呼びかけに応じた76人分の「返済停止通知書」を提出した。

通知書は「スマートデイズが賃料支払いを停止したため、ローン返済を一時、全部または一部停止する」とする内容。今後、賃料が入るようになれば返済を再開する方針で、顧問弁護士の小早川真行氏は「もともとスマートデイズからの賃料収入から返済をするという前提だったスキームが破綻している以上、これまで通りスルガ銀行へ返済を行うことは妥当ではない」と説明した。

出席者によると、この日は支店長とマネージャーが対応。支店側は「当面は差し押さえなどの法的手段は取らない」「オーナーの信用情報をブラックリストに登録することはしない」と明言し、遅延損害金の発生については「本部に確認して回答する」と述べたという。

被害者の会を監修しているNPO法人日本住宅検査協会理事長の大谷昭二氏は「支店側は今回の一件を重要な社会的問題と認識していて、解決に向けた強い意欲を感じた」と説明。「被害者にとってはまず出血を止めることが重要なので、当面は法的手段を取らないという言質をもらえたのは大きい」と語った。

オーナー「もう耐えられない」

かぼちゃの馬車2棟に約3億円を投資し、毎月120万円の返済が必要な都内在住の男性オーナー(40代)は「スルガ銀行とは弁護士を通じてリスケや金利交渉をしているがなかなか動いてもらえず、もう耐えられない状況。やはり数の力が必要で、オーナーが団結して社会的インパクトを与えないとどうしようもないと思って参加しました」と語った。

「当時の金融資産は200万円ほどしかなかったので、提出したネット口座の画像が改竄された可能性は高いと感じています。投資は自己責任という意見も重々承知していますが、私一人ではなく700、800人が全く同じスキームで被害を受けていることを考えると、銀行側にも責任があると思います」

月々の返済額が約110万円という神奈川県のオーナー(30代)は「このスキームを作ったのはスマートデイズだが、本来は第三者であるはずの銀行が正しい判断をしていなかった。自分としては銀行が無謀な不動産事業に闇雲に融資しないことが大前提だと思って投資を決断しているので、通常の不動産融資とは全く別物だったと考えています」と話した。

過剰融資の責任追及へ

今回の一件では被害に遭った複数のオーナーが、金融資産の改竄や物件価格の水増しなど、購入に関する不正な手口を証言している。被害者の会はこういった不正行為のエビデンスを集める取り組みに力を入れており、22日には金融庁に対して不正行為に関する調査などを求める陳情書を提出した。

スルガ銀行も今月に入ってオーナーに対し、融資の際の不正行為に関するアンケートを送付している。支店側はこの日の面談で「本部の方で冷静かつ公平に判断するための委員会を立ち上げた。人員を増やして対応し、しっかりと内部調査を進めていく」と説明したという。

スルガ銀行がオーナーに送付したアンケート

被害者の会は今後もオーナーからのヒアリングを続け、スルガ銀行の過剰融資責任を追及していく方針。大谷氏は「今回の一件は全体のスキーム自体に詐欺的な要素があり、一概にオーナーの自己責任ともいいきれない部分がある。地道にスルガ銀行の関与を裏付けるようなエビデンスを集め、集団訴訟の準備を進めていきたい」と述べた。集団訴訟へ

(楽待新聞編集部)