融資実態の報告に訪れたオーナーら=8日午後、東京・永田町の衆院第一議員会館(画像を加工しています)

首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズ(東京都)がサブリース賃料の支払い停止を発表した問題。一部のオーナーが同社役員らに対する集団訴訟を起こす見込みであることは既報の通りだが、一連のスキームに大きく関わるスルガ銀行の過剰融資責任を追及する動きも強まっている。

かぼちゃの馬車のオーナーらで構成する「日住検監修 スマートデイズ被害者の会」の呼びかけに応じた73人が8日、国会を訪れ、衆院財務金融委員会の議員や金融庁幹部に対して過剰融資の実態を報告。スルガ銀行のずさんな審査や不正行為の有無に関する調査を求めた。同会は今後、スルガ銀行とスマートデイズを相手取った集団訴訟に向けて準備を進める方針。

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貸し手責任は

「投資は自己責任ということはオーナー全員が理解しているが、今回の問題はそれだけでは片付かないと思って足を運んだ」

被害者の会のメンバーの1人は、集まった国会議員や金融庁幹部を前にそう語った。「不動産のプロである運営会社とオーナーの間には圧倒的な情報格差がある。半ば詐欺的な手法で投資を促し、高額のシェアハウスの販売利益をサブリース賃料に充てるというねずみ講のようなスキームに加担した金融機関の責任は大きいと考えている」

オーナーらは衆院財務金融委員長宛ての要望書を提出し、(1)過剰な担保評価(2)融資実行時に行われた個人資産水増しの不正行為(3)運営会社とスルガ銀行の関連性―の3点について調査を求めた。

要望書を受け取った宮本徹衆院議員は「銀行が市場価格と乖離していることを認識しながら貸し出しをしていたのであれば重大な問題。ずさんな審査をした貸し手責任、それを監督してきた行政側の責任も含めて、超党派で徹底的に追求していきたいと思っている」と述べた。

なぜ融資審査経験者が飛び込んでしまったか

この日は元地銀の融資担当者のオーナーの男性がマイクを握り、「私は銀行が一番責任を負うべきだと考えている」と語った。「私は融資審査を担当していた銀行員時代、融資を通すことでオーナーが将来不幸になると思った案件は何十件と断ってきた。そういう経験があったからこそ、今回の融資担当者が2棟3億円もの融資を承認した時、それぐらい余裕があるスキームなんだと判断してしまった」

被害者の会がオーナー72人を対象に実施したアンケートでは、83%にあたる60人が、金融資産の水増しなど「何らかの不正が行われた疑いがある」と回答。同会が入手した内部資料などによると、スルガ銀行は融資の際、預金通帳の確認を写しで済ませていたとみられ、それが過剰な融資の拡大につながったという指摘がある。

男性は「1人2人ならまだしも、何百人もの金融資産が改竄された状態で本部に上がっていったら、融資審査担当部署はおかしいと気づかないはずがない。詐欺的スキームの片棒を担いでいる可能性は高いと考えている」と語った。

過剰融資の立証へ

この日は金融庁の幹部も複数出席。金融庁地域銀行監督管理官の加藤光伸氏は「報道などで銀行側にも問題があるのではないかと言われていることは把握しており、何かしら問題が潜んでいるのであれば対応する必要がある。金融機関が適切な業務運営をしっかり行っているかという観点で実態を調査し、適切に対処したい」と述べた。

スルガ銀行は3月からの返済停止を通知したオーナーらに対し、「当面は差し押さえなどの法的手段は取らない」「オーナーの信用情報をブラックリストに登録することはしない」と明言している。

被害者の会顧問弁護士の小早川真行氏は「もちろんスマートデイズの責任は大きいが、全体のスキームの本丸はスルガ銀行だと考えている」とあらためて強調。「裁判ではスルガ銀行がこのスキームの問題点を把握していたという立証がポイントになる。不正行為に関するエビデンスを少しずつ積み上げ、被害を受けたオーナーの救済を目指していきたい」と語った。

(楽待新聞編集部)