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年末から年明けにかけて巷を騒がせた仮想通貨の乱高下。皆様から「安藤さんは仮想通貨はやっていますか?」とよく質問されますが、私は「やっていません」と答えています。

なぜ、やらないか?

裏付けがはっきりしない投機だと思っているからです。将来、仮想通貨は増えていくだろうと思いますが、実態がよくわからない、把握できないものに投資する気にはなれませんでした。私の周りでも買っている人は少ないです。

少額の投資で何百倍にもなった「億り人」もいるわけで、とても夢のあるお話ですよね! 株式投資では考えられないくらい暴騰していますから。こんなに短期間で大金を手にできる投資先なんてありませんし、夢のあるゲーム感覚でとらえれば面白いかもしれません。

こういった投機的な話には、「少額だし損しても構わないからとりあえず買っておこう」という人もいれば、「なんだかよくわからない物には1円でも使わない」という人もいます。個々の考えは十人十色。考え方次第で、買う・買わないの分かれ道になるのかなと思います。

さて今回は、新築狙いの人に警告です! 「かぼちゃの馬車」は他人事ではないことを書きたいと思います。

金融庁も動き出す

最近、巷を騒がせているスマートデイズ「かぼちゃの馬車」のオーナー様が破綻の危機に陥っているという記事をよく目にします。その記事には、建物が通常のシェアハウスの1.5倍~2倍の価格で売られており、サブリースの利回りも、高く売るために利回りを8%で逆算して設定していたとのこと。

でも、実際の入居率は3割ほど…。そのため、スマートデイズのサブリースの家賃も数億円の赤字になっていたそうです。これでは事業として成り立たないのは当然ですよね。

不動産投資のビジネスモデルとして画期的だと謳っていた就労者の斡旋料収入。空室対策に有効だとしても、収入の基本ベースである家賃のみで収支計算をしなければいけないのではないか…。斡旋料をボーナス的な収入の位置づけと考えていれば、こんな最悪な事態にはならなかったかもしれません。

さすがに貸し手のプロである銀行がパートナーとしてこのような事業を取り組んだとなれば金融庁もだまっていません。実際に3月16日には、銀行法に基づく報告徴収命令を出しています

不動産を得意とする有名な銀行が、会社の財務内容や、家賃収入とサブリースの差損を見抜けないなんてかなり疑問です。貸し手を問われても仕方ないですよね。今回の事件でスルガ銀行が、数百億円焦げ付くことにでもなれば、金融業界、不動産業界にかなりのダメージを与えることになるでしょう。

今回の事案で被害を受けたオーナーは、なぜ未然に防げなかったのか? ここでのポイントは、オーナーが市場相場と貸し出し家賃のリサーチができなかったのか、ということです。そこさえ押さえれば、疑問に思う点はいくつかでてきたはずです。

サブリースする側が赤字になるのは仕方ないにしても、買う側が事前に市場の家賃相場をリサーチし、おおよそでも把握していれば、万が一サブリースが外れた場合に、運営できるかどうか判断できたのではないかと思ってしまいます。

売る側の立場としては、少しでも高く売りたいと思うのは当然。それも事業が自転車操業に陥っていれば悪意あっての可能性も否定できません。投資家として、そこは回避したいところ。

私も物件の市場調査の際にいろいろな方にヒアリングしますが、物件や建設会社などの良い、悪いの情報は容易に集まってきます。電話一本、市場調査半日で得られる情報はたくさんあります。自身の将来のリスクを考えれば、多少の時間をとることは難しくないはずですよね。ここで手間を惜しんでしまった人が、のちに失敗し痛い目にあってしまっているのです。

「かぼちゃの馬車」に限った話ではない

これは新築、中古共通です。今回は「かぼちゃの馬車」の話がクローズアップされていますが、実は他人事ではありません。名の通ったハウスメーカーやゼネコン等でも、収支を合わせるために査定家賃を高く設定している話を耳にします。

本来なら新築であれば、一番人気があって、新築プレミアム家賃ですぐにでも満室御礼になってもおかしくないのですが、1年間も空室が続いている案件も多く存在します。

結局、建物を売るべく、相場を上回る家賃にしているんですよね。そうしないと収支が合いませんから。私が聞いた話によると、新築相場よりも1割以上高く家賃設定しているケースも多々あるそう。

サブリースされている間は通帳にお金が振り込まれてくるので安心してしまい、市場がどうなろうが気にならず忘れてしまいがちですが、いざサブリースを解約されようものならいきなり現実を叩きつけられます。梯子を外されるような感じですよね。

なので、新築案件で「かぼちゃの馬車」に似たトラブルが多くの地域で勃発するのは時間の問題ではないかと思っています。

結果、誰が一番つらく痛い目にあうのか…。

投資家なんですよね。

新築プレミアムよりも高い家賃を設定していて、表面利回りを5%とか6%で出していた場合、それを本来の新築プレミアム相場に戻し、さらに新築プレミアムが切れる数年後にさらに家賃がダウンしたら、収支が相当キツイ状態になってしまいます。

家賃上振れのケースも

でも、こんな異例なケースもあります。愛知県のとある人気エリアで、新築ラッシュによって家賃相場を押し上げてしまい、既存案件も家賃が上振れ傾向になる現象も起きています。これは業者、オーナー、仲介会社、管理会社にはとてもありがたいお話。

入居者も高い家賃になるのを納得して住んでいただくわけですからOKです。

私が新築を検討してリサーチしているときに得た情報ですが、耳を疑うものでした。私もこのような場所で新築を建てたい!(笑)

マーケットが右肩上がりに上振れる街であれば、今後もっと発展していくでしょう。こういったエリアは探せばまだまだあるんですよね。

ハウスメーカーや建設業者は建てて売ることが目的。サブリース業者は家賃収入からサブリース料を支払った差益と、修繕費、管理費が目的。投資家は実際に入ってくる収入で物件を運営できるかどうかの見極めが大切です。