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2018年3月27日に国土交通省より、2018年1月1日時点の土地公示価格の発表がありました。全国の地価上昇率は対前年比で+0.7%となり、前年の上昇率(+0.4%)を上回るとともに、バブル期以降では初めて3年連続での地価上昇となりました。

主な要因は、前年と同様に(1)訪日外国人向けの店舗やホテル用地の需要拡大及び(2)日銀の金融緩和継続(低金利)による資金調達環境があげられます。

訪日外国人数については、2017年には2869万人と前年比+19.3%と引き続き大きく増加しており、2020年に4000万人という政府目標を掲げています。官民一体となって東京オリンピックに向けて推し進めることが確実であることから、2018年も引き続き地価上昇の主要因の1つとなるでしょう。

一方の資金調達環境については、引き続き低金利での貸出による借り手優位の状況に大きな変化はありません。しかし、金融庁や日銀が個人へのアパートローンの急増に警告を発したこともあり、2017年に個人による貸家業向け新規貸出は以下の通り減少に転じているので、今後も留意を要します。

住宅地の地価の状況(都道府県)

全国の住宅地の地価については、前年比で0.3%上昇し、2年連続上昇。全国47都道府県で対前年比横ばい又は地価上昇した都道府県は2016年においては12都府県であったのに対し、2017年には16都道府県に増加。一方で、残りの31都道府県は地価下落が継続しており、全国的にはまだ下落している都府県の方が2倍近く存在することには留意する必要があります。

47都道府県中、2017年における地価上昇トップ10は以下の通り。沖縄県が引き続き前年比上昇率トップ。次いで復興需要が続いている宮城県、東京都、福岡県の順となっており、上昇率の順位では前年と大差は見られない。

出典:国土交通省(http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/H30kouji_index.html) ※クリックで拡大できます

都道府県単位では、2017年の地価上昇の順位は大きな変動はなかったものの、個別の標準地における住宅地の前年比上昇率上位10地点は2016年とは様変わりした状況となっています。2016年には復興需要の影響が大きく、住宅地の地価公示標準地上位10地点の内、8地点を宮城県及び福島県の標準値が占めていましたが、2017年は北海道の倶知安町(くっちゃんちょう)と沖縄県が上位9地点を独占するといった異様な状況となっています。

これはともにリゾート地であることから、主に訪日外国人の増加の影響により、実需というよりは投資による価格上昇と思われ、倶知安町に至っては上位3地点とも1年間で25%超も価格上昇が見られることから、バブルも懸念される状況です。

東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県)における住宅地の地価公示標準地上位10地点の内、9地点を東京都内の標準値が占めており、恵比寿や市ヶ谷、麻布、赤坂といった都心の一等地で従来から名声の高いエリアがランクインしています。

その中で、唯一東京都以外でランクインした地点が埼玉県川口市ですが、当該地点はJR南浦和駅近郊で区画整理事業が行われていることから、街並みや利便性の改善が見込まれ、大きく上昇したものと思われます。

出典:国土交通省(http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/H30kouji_index.html)       ※クリックで拡大できます

住宅地の地価上昇ランキング上位の過去の価格推移は?

上記において、東京圏における地価上昇率トップ10を見てきましたが、個別ポイントについて、過去の価格推移をご紹介したいと思います。

地価上昇ランキングにおいて、上位に位置しており、かつ、長期的に評価継続されている新宿区市谷(東京圏上昇ランキング2位)及び赤坂(東京圏上昇ランキング8位)の過去の価格推移を掘り下げたいと思います。

2地点は土地単価にはやや差がありますが、価格の動きとしては概ね同様の推移をたどっています。2008年のリーマンショック前までは地価上昇で推移し、リーマンショック後、価格はともに落ち込みましたが、近年は大幅に上昇しており、赤坂1丁目では2012年の底値から既に51%もの上昇が見られ、リーマンショック前を上回る価格水準まで上昇しております。

都心部の価格上昇はもちろんですが、特定のリゾート地の価格上昇が際立っており、訪日外国人の増加の好影響が地方に及んでいることは明らかですが、一部ではバブル的様相も呈してきているように思われます。

2018年においては、日本も含め世界的好景気が続いており、企業業績も順調であることから大きな景気の落ち込みは想定しにくい状況です。また、訪日外国人数は2018年に入っても伸びは若干鈍化が見られるものの、引き続き増加していることに加え、オフィス空室率も3%前半と逼迫していることから、不動産価格が下がる要素は非常に少なく、引き続き好調な市場環境が継続するものと思われます。

ただし前述した通り、個人へのアパートローンは金融庁等の意向により引き締め傾向にあり、金融動向には留意が必要となります。また、以下は東京都におけるマンションの12カ月移動平均の成約価格と在庫件数を表したものですが、平均価格については上昇しているものの、在庫件数の増加が顕著であることから、需要者が高騰する価格についていけていない状況も見られます。

出典:REINS TOWER(http://www.reins.or.jp/trend/sf/index.html)         ※クリックで拡大できます

以上より、2018年の不動産市況は2017年の不動産市況から大きな変化は見られず、引き続き不動産価格の下落は考えにくい状況です。2019年以降については、2019年10月に予定されている10%への消費増税が実施されるか否かにより、大きく左右されるものと思われます。