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不動産の購入を決断するには、「何らかの明確な理由」が存在します。

 

「まぁ、衝動買いする金額じゃないんだからそりゃそうだね。でもさ、家賃を払うのがバカらしいから、自宅でも建てようとするんじゃないの」

 

それは、自宅として新築不動産を購入したり、親の敷地に2世帯住宅を新築したりする方々です。

 

「他になにかあるの?」

 

・定期預金や国債の金利が安いから、不動産に乗り換えてリターンを大きくしたい

・借金を家賃で返済しながら、資産を築きたい

 

「なるほど、聞いたことがあるね。でもさ、それくらいでしょ」

 

いいえ。

 

「まだ何かあるの?」

 

はい。税金関係と言えば、お分かりになるでしょうか?

具体的に申し上げると、

・所得税の還付

・相続税の節税

・消費税の還付

です。

 

「よくわかんないなぁ。なんで、税金が不動産購入と関係あるのよ」

 

そう、一見、関係なさそうに思えるのですが、税法の抜け道を不動産に絡み合わせ、不当に高い不動産を販売し続ける悪徳不動産業者は、消えることがありません。

まさに、釜茹での刑に臨む石川五右衛門の辞世の句

『石川や 浜の真砂(まさご)は尽くるとも世に盗人の種は尽くまじ』

です。

 

「どういうこと?」

 

誰しも、国に税金をかすめ取られるのは、口惜しい物です。

 

できれば、何も払いたくない。

それが本音……。

 

しかも、税法の抜け道を教えてくれるなら、なんとかして知りたい。

例え、お金を払ってでも……。

 

「オレだって、知りたいよ」

 

そう、こうした知的好奇心と反骨心に満ちた人々こそ、悪徳不動産業者の恰好のカモです。

 

「オレ、カモなの? なんでさ」

 

例えば、所得税還付付き不動産投資の生贄は、多額の所得税を支払っている属性の良い人物です。

悪徳不動産業者は、高額納税に不満を持っている人間を広告や電話営業で釣りあげ、無料セミナーに誘います

物件は、表参道や南青山など認知度抜群のブランド街に建つ20平米前後のワンルームです。

彼らの模範トークをご披露すると……

「ご案内の通りブランド街ですから、賃貸需要に不安はありません。不動産収支はマイナスですが、所得税は還付されますので、少ないご負担でハイグレードなワンルームを取得できます。こうした複雑なスキームは、知的能力の高い貴方だからこそご理解願えるのです」

 

どう、お感じになられるでしょうか?

 

「悪い感じはしないね。ちょっと聞いてみようかってなるよね」

 

それが狙いです。

事実、購入後2年程度は販売会社が代行して所得税還付手続きを実行したりします。

 

「至れり尽くせりだね。いい会社じゃない」

 

なぜそんなことをするのかと言えば、1戸だけでなくもっと売り込みたいから……実際、投資用ワンルームの購入者の多くは複数戸購入し、結果的に行き詰まります。

 

「え、行き詰まるって、なんで?」

 

そりゃ、元々赤字ですし、家賃は下がりますし、入居が永続することはなく退去すれば、リフォームをしなければなりません。

思い描いた未来と左程変わりがないのは購入後2年~3年程度で、その間に、売り込めるだけ売り込んで借金を背負わせるわけです。

 

さらに悲惨なのは、撤退しようとしても、売却金額で残債を埋めることはできないので、多額の負債を抱えることになります。

しかも、属性から来る信用は多額の借金で皆無となり、自宅を購入しようとしても、1円も借金ができなくなっています。

 

次に、相続税の節税ですが、悪徳不動産業者の生贄は、相続税を心配している人の好い年老いた小金持ち……。

地方の駅前近くの駐車場が新築アパートに変貌したりしていますが、彼らのキーワードは「相続税の節税」です。

 

スキームを簡単に紹介すると、相続税評価額1億円の土地に2億円の借金をしてアパートを建設します。

建設後3年経過した建物は、新築段階で相続税の評価額は50%OFFの1億円になります。資産は土地の1億円と建物の1億円の合計2億円

一方、借金は2億円ですから、トータル財産は差し引きゼロ。結果、相続税は1円もかかりません

しかも、2億円の借金は30年一括保証の家賃で払うので、地主には何の負担もなく、遺族に相続税を支払うことなく財産を引き継げる、というわけです。

 

「いいじゃない。こういうのを待っていたんだよ」

 

表面上は何の瑕疵もないように思えます。

ただ……

 

「ただ、何?」

 

私企業の家賃保証なんて鼻紙と一緒です。経営が悪化すれば簡単に反故にしますし、そもそも、5年、10年もすれば、様々な理由をつけて家賃の値下げ交渉をしてくることでしょう。

しかも、販売会社は実際の建築費の2倍~3倍で販売しているので、土地ごと売却して撤退しようとしても、損が出ます

数年すると、家賃は下がり、退去の度にリフォーム費がかさみ、収支は赤字に転落。節税どころか虎の子の資産も失い、子どもやお孫さんの信頼も失ってしまいます。

そして、新築不動産の消費税還付スキームは、消費税の課税事業者として届け出し、新築不動産で支払った消費税を決算の度に還付するというスキームです。

 

「何がいけないの?」

 

まず、個人所有の中古建物を購入する際、消費税は1円もかかりません。

様々な仕組みで新築を売りつけようとするのでしょうが、中古物件を購入すれば、かからない消費税をなぜ、ワザワザ新築を購入するのか理解しかねます。

 

「なるほどね……で、何が言いたいの?」

 

「税金で得をしよう」

このスキームに拘る限り、割高な不動産を購入することになります。

なぜなら、悪徳不動産業者は還付や節税のノウハウ付きで割高な物件を販売し、そこに提携金融機関がついているからです。

大家さんが物件購入する際、最も大事な心構えは、「自らが主役となる」ことです。物件の選択権を業者に委ねると、自らの人生を棒に振ることになりかねません。十重二十重に、ご注意願えれば幸いです。