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私は1986年(28歳)から不動産経営を始め、確定申告も白色申告、青色申告と、徐々に拡大してきました(法人化まではしていません)。
昔は税務署からのお尋ね葉書が数回来ていましたが、ほとんどが税務署の間違い・勘違い等で、電話で済んでいました。
「購入したのに贈与税は?」
「消費税不課税事業者なのに消費税は?」
「小規模・赤字なのに事業税・事業所税は?」
「支払金利の合計が合わないんですけど?」(※別紙2枚目の見落としでした)
そのほか、「0」の場合は、ブランクではなく「0」と記入して欲しい等という指摘もありました。
2度目の税務調査が来た!
2008年(50歳)に初めて税務調査に入られましたが、又、昨年2017年(59歳)、2回目の税務調査に入られました。
初めて税務調査に入られた時は、まさか、一個人にまで来るとは思っていませんでしたので、ビックリしました。知り合いの税理士に相談はしましたが、対応は、私のみでした。
今回は2回目ということもあって、初めての時よりは、落ち着いて対応させて頂けました。
但し、例の金融機関・不動産会社とのトラブル(融資承認・金銭消費貸借契約締結後融資実行前日になっての理由無き融資ドタキャン、手付金不返還・違約金・仲介手数料請求等で6000万円の損失)の最中でしたので、時間的にはバタバタしていました。
サラリーマンの定年(60歳)迄の高所得の間は、耐用年数の短い中古一棟アパート・マンション・戸建等を購入し、減価償却費が大きく、不動産所得は大幅に赤字で、しがないさえないサラリーマンである私の安月給の給与所得を損益通算しても赤字な為、所得税ゼロ(源泉徴収全額還付)、住民税ほぼゼロできております。
そんな中での税務調査では、過去3年間分にわたって、以下の資料等を調査されました。
○「売買契約書」「建築請負契約書」
○「家賃明細書」
○「支払ローン明細書」
○「経費明細書」
○「支払手数料」(借り換え関連書類)
○「預貯金通帳」
最終的には、通常3年間のところ過去5年間分にわたり、土地・建物比率において建物の比率を低減させられ、減価償却費・支払金利が低減させられ、約30万円の追加納税となりました。以下の論点(税務署からの指摘)がありましたので、御紹介させて頂きます。
■減価償却費
・専用事務所でないと事務所経費としては難しい。住宅取得借入金控除を使用している場合は、特にそうである。
(私の意見:一般的には、仮に専用ではなくても、事業と居住用の割合に応じて経費化できるとされていると思います)
■支払金利
・不動産所得が赤字の場合には、支払金利中、土地分に係る支払金利は経費計上できない。
・支払金利の計算は、不動産経営全体ではなく、物件毎に計算する。
(私の意見:お金に色は付いていません。実際にも、時期、物件、金融機関・支社店・担当者等によって、融資比率は異なるもので、オーバーローン・フルローン等、融資が多めに出る場合もあれば、自己資金を多めに要求され、融資があまり出ない場合もあります。
お金に色は付いていませんので、融資が多めに出た場合の余剰資金は、他の融資があまり出なかった場合に充当することもあります。
又、まとめて借り換えたり、別件共同担保を付けたりした場合、そもそも、物件毎という発想自体がなくなってきます)
■賃貸料
・滞納賃貸料については、「未収収益」として、売上に計上する。
(私の意見:小規模の場合は、継続的な取引という観点から、「現金主義」という考え方もあります。滞納賃貸料が入るとは限りませんし、立法論的におかしいのではないでしょうか)
■支払手数料
・支払手数料・修繕費は、勘定科目を分ける。
・修繕費は原則として、原状回復や少額の場合(10万円・20万円・30万円・60万円基準等)は、一時費用。価値が高まる場合、高額の場合は、固定資産で、耐用年数に応じて経費化。
(私の意見:ほとんどは現状維持の修理費・リフォーム費で、リノベーションはほとんどない。一時費用であれば区別の実益は少なく、煩雑になると思います)
・物件購入に至らなかった場合、それに関わる弁護士費用は、経費計上できない。
(私の意見:当該不動産会社・金融機関とは、他物件でも付き合いがあり、不動産経営に関連があるんですけどね)
税務調査の準備に一苦労
関連書類の準備等で、数日間は大変でした。なかなか見当たらないものについては、不動産会社さんに頼んで送付して頂いたりしました。
特に「売買契約書」「建築請負契約書」等、古いものについては探すのが一苦労。又、「家賃明細書」等、紙媒体ではなく、電子媒体(電子メール・WEB等)のみのものもありますが、税務署の方は電子媒体(電子メール・USBメモリ等)は不可で、紙媒体のみなので、印刷対応せざるをえません。
後は、土地・建物の比率(減価償却費、支払金利に影響)、事務所経費等は、争点となっており、折衝は大変でした。
私の場合もそうでしたが、区分所有マンションから一棟アパートに進出した際とか、規模が大きくなった際には、税務調査に入られる可能性が出てきます。関連書類等は、不動産会社・金融機関・税務署等に何時でも出せるように、整理しておきましょう。
特に、古い「重要事項説明書」「売買契約書」「建築請負契約書」「賃貸借契約書」等はそうです。又、「家賃明細書」等、電子媒体(電子メール・WEB等)しかないものについても、いざとなればすぐに出せるように準備しておくことです。
そして、土地・建物比率、事務所割合等は争点となり易く、インパクトも大きいので、計算根拠等、理論武装をきちんとしておいてください。
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