写真© oka-Fotolia

本日のコラムの内容は、1部屋10平米前後の狭小アパートについてです。

前回のコラムでもお伝えした通り、限られたスペースで効率的に利回りを上げようとすれば、空間を区切ることで容易に実現できます。その典型がシェアハウス・ゲストハウス・狭小アパートのような施設です。

これらの施設で気をつけなくてはいけないのは、あくまで見かけの表面利回りだということです。入居率が下がれば、絵にかいた餅になるわけです。今後の人口減少を考えると、賃貸需要は減少し、供給が減らない限りは競争に巻き込まれて、稼働率(入居率)が落ちるのは誰が考えても分かる将来像です。

追い打ちをかけるように、売って終わりの業者が供給を増やすと、物件同士で入居者を奪い合う形になり、時間の経過とともに入居率が低下していくことも予想されます。

直近の金融機関の融資姿勢消極化の状況をみても、物件価格は下がっていくでしょう。となると、あとは保有し続けて利益を生み出し続けることができるのか、最終的に土地値としてどれだけの価値が残りそうなのか、これが今後の物件を選ぶポイントとなってきます。

建売の狭小アパートは、業者としては売ってしまえばおしまいで、運営で苦労するのは我々のような不動産賃貸経営者です。銀行の融資がつくからという安易な理由で、見かけの利回りが高い狭小アパートは、入居者の立場で考えると選ばれづらくなるでしょう。

一方で見方を変えると、一時的なキャッシュフローを得る手段として、狭小アパートは有効です。あくまで「一時的」で、長期に渡り優位性を保ちにくいため、競争力を失ったときにどうするのかのリスクヘッジをしておかなくてはいけません。

例えば現金をためておき、家賃と返済が逆転してもそれを補う体力、資金力をつけておく。また、同じような物件を買わず、広めの単身者用アパートを保有しておく。もしくは修繕しながらローン完済まで保有し続けるぐらいの覚悟がないと、なかなか出口が取りづらいタフな賃貸経営になることが予想されます。

このようなスキームとは一線を引くため、基本的には私の物件は、最低20平米以上の部屋の広さを確保し、長期に渡る優位性を保とうとしています。しかし、それを分かっていつつも、実は、2016年に一棟だけ新築狭小アパート(12平米のワンルーム)を購入してしまっています。今日はその運用状況をご報告します。

狭小アパートを購入した理由とは

そもそも買ってしまった理由は、リタイア直前にもう一つ金融機関を開拓したかったためです。一部の金融機関は、収益還元法で物件を評価してくれます。今後、リタイヤ後に物件を増やすため、取引金融機関を増やしたいと、安易に見かけの利回りが相対的に高い狭小アパートに手を出しました。

立地は中央線の人気駅から徒歩10分以内なので悪くはありません。しかし、駆け込み乗車で購入した狭小アパートは、思った以上に運営が大変でした。「○○までに買いたい」と納期を切って実行すると、良い物件は買えないですね…。

狭小アパートの問題点

1.退去の頻度が多い

多分一番の問題点は、退去頻度の多さです。約2年間の運営で10部屋中8部屋が退去で入居者が入れ替わりました(退去率80%)。退去すれば、次の入居者のために原状回復のクリーニングが必要となりますし、次の入居者を入れるたびに仲介手数料も発生します。ダイレクトに収益が減っていきます。

地方からの転勤含むなどで、都内を十分に知らずに、とりあえず初期費用と家賃が安い場所で住んでみようというところから始まって、結局は狭いし居心地が悪いしで出て行っているのだと思います。

ちなみに、私が保有している20平米以上の他の都内物件は、2年間で12部屋のうち退去者は2名(17%)でした。完全にエリアが一致しているわけではないですし、期間も2年間の集計なので、単純に部屋の広さだけの問題なのかは分かりませんが、傾向としては、狭い部屋・初期費用が安い部屋は、前回お話ししたシェアハウス同様に退去頻度が多く、安定経営しづらい印象です。

2.入居者のトラブルが多い

入居者の属性があまり良くないためか、トラブルが頻発しました。昔、中古物件を保有していた時は、設備面のトラブル(例えば排水の流れが悪いなど)で連絡を受けることはありましたが、狭小アパートは設備面ではなく、人系のトラブルです。

1点目はゴミ問題です。分別せずにゴミを出す、もしくはゴミ出し日を守らないことが原因で、ゴミ回収までの期間に近隣住人からクレームを受けました。カラスがゴミを漁り、近隣にまき散らしていたようです。

清掃局経由でクレームを2度受けて、私から各入居者に「ゴミ回収日を守るように&監視カメラ設置を検討している」という内容の書面をポストに入れました。効果は不明ですが、クレームは無くなりました。

2点目は入居者間トラブルです。

1階と2階の入居者間の騒音トラブルが原因で、警察沙汰になりました。加害者側が外国人だったのですが、次に問題を起こしたら退去させると警告したところ、すぐに退去したいと言い出したので、退去してもらいました。

本来ならば、解約は1カ月前の通告義務を賃貸借契約書で締結しているので、解約の意思を表明してから1カ月は家賃をもらえるはずですが、半ば強制的に追い出した感があるので、入居日までの日割り精算で済ませました。目先の満室を維持するよりも、問題を起こす入居者は退去してもらった方が、残りの入居者が快適に暮らせるため、ここは即断でした。

3点目は滞納です。

家賃保証会社に加入していたため、直接的な被害はありませんでしたが、最終的には簡易裁判となり、期日内に滞納分の入金がなく強制退去させられてしまいました。個人的には待ってあげたいところですが、代理で立て替えている保証会社主導で、進んでいきました。

ここまでやるのだなと少し可哀そうになりましたが、一方で私としては賃貸業、保証会社もビジネスなので、このような措置は已む無しなんでしょうね。

いずれも、私が購入した段階では既にこれらの入居者が住んでおり、売主業者はどんな人でも良いので、ADを2~3カ月出して、力ずくで満室にしていた様子でした。

まぁ、ダミーの入居者じゃないだけ良かったのかもしれませんが、建売の狭小アパートを買うと、入居者の属性には恵まれない可能性があり、トラブルの引き金になりかねません。

以上のように、狭小アパートにはさまざまな罠が潜んでいます。私の例が極端なのかもしれませんが、十分ご注意ください。

ちなみにこの物件は現在も保有中です。頭金を2割入れているので収支はもちろんプラスですが、退去のたびの修繕・仲介手数料などで、20平米以上の同じような利回りの物件と比べて5~10%ぐらいは収支が悪いイメージです。

その後

駆け込み乗車で開拓した金融機関を使って、狭小アパートとは別に、昨年、土地からの新築スキームの融資を実現できました。狭小物件単体で評価すると微妙でしたが、トータルで判断すると、私の資産を増やす手段として良かったと思います。

基本的には、不動産賃貸経営は規模を増やして薄利を積み上げるより、独立採算で物件ごとに生涯利益を考えていかなくてはいけないビジネスです。買おうとしている物件を利回りだけで判断していませんか? いつ売却できるか分かりませんので、長期にわたりその物件を運用できるかをしっかり考えて、物件を購入するようにしましょう。