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不動産を購入するという経済行為は、

通常の買い物とは一味も二味も違います

 

「どう違うの?」

 

例えば、街を歩いていて、ふらりとコンビニに寄るとします。

店内をうろつき、

(あ、新製品が出たんだ……)

とかなんとか、考えながら、

ペットボトルとチョコレートに

芸能人のスキャンダル満載の雑誌を手にして

レジに並び、電子マネーをタッチして店を出る。

 

「あっ、それ今朝のオレだ。

ね、どっかで見てた?」

 

いやいや、それは問題の本質ではありません。

コンビニでの何気ない日常ではありますが、

明確な購入目的もなく、金額も気にせず値切ることもなく、

現金で繰り返し購入する。

これが、コンビニにおける日常の消費行動です。

 

「まぁ……、そうか。買うとこってだいたい決まってるからな。

行きつけの飲み屋も、スーパーも、美容院も大体おんなじとこだし、

それが悪いの?」

 

悪くはありません。

例え、

購入した新製品が期待外れでも、

コレステロール数値が気になりチョコレートを食べなくても、

雑誌の内容はネット情報で知っていることばかりだったとしても。

 

「だから、それオレだって。

全部見てるでしょ」

 

ハハハ、たまたま当たっていましたか。

それはともかく、

例え、期待外れの買い物だとしても大勢に影響はありません

 

一時の無駄遣いにより

生活基盤が大きく崩れることなどないのです。

 

しかしながら、不動産の購入はそういうわけには参りません

 

「まぁ、そうかもしれんけどさ、

不動産のプロの、仲介会社がついているんだし、

変なことにならないんじゃないの?」

 

確かに、宅建業法に基づく宅建業者は

不動産業の専門家です。

ただ……

 

「ただ、何?」

 

彼らは、自社の利益拡大の為に

不動産業を生業にしているのであり、

皆さんの未来に責任を負っているわけではありません

「どういうこと?」

 

不動産をコンビニで買い物するように

毎日のように買い続ける方は見たことがありませんし、いるはずもない。

いるとしたら、途方もない酔狂な大金持ちか、不動産転売業者であり、

一般消費者ではありません。

 

一般人が自宅であれ収益不動産であれ、

土地、建物を購入するのは稀有な出来事でして、

その後の人生を大きく変える

エポックメイキングなイベントです。

 

にもかかわらず、

不動産仲介業者の事業計画を鵜呑みにし、

彼らの用意した金融機関から年収の10倍以上の

借入をして平気の平左…

まるでコンビニから出てきたような顔をしているとは…

いったいどうした心持ちなのでしょう。

 

本物の悪人や悪徳業者は

善人のような顔をしています

喋り口調も朴訥な信用のおける語り口を得意とする人物もいますし

目から鼻に抜けるような一分のスキもない説得調を特技とする奴もいる。

 

よく、

『この不動産、買ってもいいんですか?』

と、一般消費者が仲介業者に尋ねていますが、

童話の「赤ずきんちゃん」と、そっくりです。

 

「どういうこと?」

 

ベッドに伏せているお婆さんに、

赤ずきんちゃんが尋ねる一場面……

「ね、お婆さん。お婆さんのお耳はどうしてそんなに大きいの?」

(それはね、赤ずきんちゃんのお声をよく聞くためだよ)

その後、おめめは、どうしてそんなに大きいの?

(それは、赤ずきんちゃんをよく見るためだよ)

と続き、お口はどうしてそんなに大きくて赤いの?

(それはお前を食べるためさ!!)

と丸のみされてしまいました。

幸い赤ずきんちゃんは、森の猟師に救出されましたが、

私たちには誰がいるでしょう?

 

「狼は、不動産仲介会社だって言うの?

言いすぎじゃない?」

 

確かに、仲介会社の中には良い人もいますが、

誰が良いのか悪いのか、

皆さんに判断はできるでしょうか?

 

コンビニの買い物のように

『まぁいいか』

で済むような軽い買い物ではないのです。

 

「どうすりゃいいの?」

 

購入する物件は

本当に価値があるのか、それともないのか、

狼かもしれない不動産仲介業者に判断を任せるのではなく

自らの基準で決断するスキルを身に着けることです。

 

「そんな頭ごなしに言われても無理だよ。

なんか目安はないの?」

 

購入価値のある物件の比較対象は、相場金額です。

そして、売買価格に

○登録免許税に取得税

○仲介手数料

○リフォーム費用

など、物件取得外経費をプラスしてもなお、

類似物件よりも安ければ、購入してもいいでしょう。

しかしながら、

相場以上の価格になるならば、購入する価値はありませんし

相場相当なら急いで購入する必要はありません

「相場ってどうやって調べるの?

それに、新築物件だと似たり寄ったりだし比較しようがないでしょ」

 

確かに、中古物件であれば、

不動産の種類に築年数と規模で

検索すればおおよその数値は把握できます

では、新築であればどうするのか、

築10年、築20年の物件価格を調査し、

10年後、20年後の借入残高と比較するべきです。

 

「どういうこと?」

 

仮に1億円の新築物件の契約間近とします。

物件の種類はシェアハウス。

場所は千葉県内の中規模の市区町村、最寄駅から徒歩5分。

金利は3%前半で30年返済、フルローン!

 

「ちょ、ちょ、もうシャレにならないな。

3日後に契約なんだよ。

不安になってきた。

どうすりゃいいのさ」

 

相場調査すれば明確になるのでしょうが、

新築1億円の物件であったとしても

購入物件の価値は土地値だけでしょう。

そして建物は無価値どころか邪魔ですから

土地値から建物解体費を差し引いた金額しか残らない。

結果として2000万円~2500万円の換金が精々ではないでしょうか。

 

はっきり申し上げてキャンセルするべきです。

 

「違約金とか損害賠償請求とか来るんじゃないの?

もう買付申込書を出してるし

金融機関の融資の内諾も下りてるんだよ。

逃げられないでしょ」

 

買付申込書は契約ではありません

ただの意思表示です

 

にも関わらず、

違約金だの損害賠償だのをねじ込んでくるようなら、

宅建協会や消費者センターにクレームを入れれば、それで終了!

宅建業者は宅建業法による許認可事業ですから

悪徳業者であっても消費者保護を遵守しなければなりません

 

重要事項の説明を受けたわけでもなく、

不動産売買契約を締結したわけでもなく、

手付金を入れたわけでもないのですから、購入の判断は消費者の一存です。

正々堂々、キャンセルする権利があるのです。

 

次回は、不動産売買契約当日に準備すべき書類と心構えについて解説いたします。