中編から続く)

新法の施行まで1カ月を切り、民泊市場は大きく様変わりしようとしている。これまで民泊を運営してきた投資家も撤退を余儀なくされたり、あるいは「180日制限」の下では儲からないと、旅館業に切り替えたりとさまざまな選択を迫られている。

一方、あくまで新法にのっとって合法で民泊を運営しようという投資家には、どのような準備が必要になってくるのだろうか。第三回となる今回は、民泊新法における手続きや、違法民泊の今後について考えてみたい。

民泊につきまとう「違法」のイメージ

現在「民泊」という言葉は、しばしばネガティブなイメージで語られている。理由は言うまでもなく、既存の民泊物件の多くが違法なものであるからだ。第一回の記事でも説明したとおり、現状、旅館業法上の許可を得ていない民泊物件はすべて「違法」である。

加えて最近では、オーナーと顔を合わせることなく利用できる点を悪用した事件も起こっている。こうした背景から民泊に対する一般市民の認識は厳しく、ネガティブなイメージが生まれている。結果として、民泊運営のハードルも高くなっているといえよう。

違法民泊を取り締まる民間サービス「民泊ポリス」を運営する中込元伸さんのもとには、民泊に関する様々な苦情が日々寄せられている。中でも特に多いのは、騒音とゴミ捨てに関するものだ。

「マンションの民泊物件を中心に、ベランダやエントランスでの電話、酔っ払った宿泊者の騒ぎ声がうるさいという通報が多くを占めます。ゴミに関しては、ゴミ出しのルール周知が徹底できていないために物件の周辺にゴミが散らかっているというケースがクレームにつながっているようです。特にひどい例では、ポストに生ゴミを詰められたというものや、ベランダからゴミを投げ捨てる人がいるといったものもあります」

住民にとってさらに恐怖なのは、セキュリティ面が脅かされるという点だ。
「マンションの一室などの場合、既存の住民にとっては自宅の隣が民泊物件ということも起こりうるわけです。利用者の多くは外国人ですから表札などは読めず、誤って別の部屋のドアをガチャガチャと開けようとしたりすることがあります。これは住人にとってはかなり恐怖ですよね」

ダイヤル式のキーボックス。事前にダイヤル番号を伝えておけば、ゲストと顔を合わせることなく部屋の鍵を受け渡しできる。民泊物件のあるマンションでよく見られる光景だ

新法における180日の営業日数制限は、こうした生活環境の悪化を防ぐための狙いも含まれている。6月15日以降、新法がトラブル減少につながったかどうかに注目が集まりそうだ。

新法で「違法民泊」はなくなるか

こうした違法物件は、新法施行後どうなっていくのか。

不動産関連ビジネスの許認可を専門とする行政書士の石井くるみさんは、違法民泊は新法施行によって「急激に減少する」と予想する。

「観光庁の通知を受け、6月15日までに民泊仲介サイトは違法物件の掲載を取りやめることになります。そうなれば、そもそも集客ができません。集客できないのなら事業として成り立たないわけですから、違法民泊の多くは6月15日を境に廃業を余儀なくされるでしょう」

仲介サイトを利用せずFacebookなどのSNSで集客を行うケースも想定されるが、無許可での営業には「6カ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(またはこれらの併科)」という罰則が適用される。「これらを考慮すれば、違法民泊の運営は見合わない」(石井さん)というわけだ。

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