こういったサブリースのトラブルに遭わないようにするにはどうすればいいのか。そして、万が一トラブルに発展した場合はどうやって解決すべきなのか。大谷氏は4つのポイントを挙げる。

1.収支計画書を厳しくチェック

業者はサブリース案件を持ちかける際、さまざまな書類を提示する。その中でも、アパート建設では「長期事業収支計画書」を厳しい目でチェックする必要があるという。

「家賃は30年間高いまま維持され、入居率も100%のまま変わらない。毎年プラス収支で最終的にはこれだけ儲かる―。常套手段としてそんな非現実的な数字が並んでいるのですが、豪華な建物のパンフレットを見せられたりすると、舞い上がってしまう人は少なくありません。しかし、バラ色のシミュレーションはあり得ない。冷静に精査すべきです」

家賃の下落、入居率の変化、10年ごとの大規模修繕の費用などを織り込み、現実に即したシミュレーションを提示してもらうのが正しい。複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することも大切だろう。資産運用を目的とした投資用マンションの購入でも同じで、収支計画書などのチェックは欠かせない。

2.自身で賃貸ニーズを調べる

サブリース契約であれば空室でも家賃を保証してもらえるため、本来必要な賃貸需要を見極める視点が抜け落ちてしまうことも少なくない。所有の土地を活用するケース、土地・建物を購入してアパートを建てるケース、マンション投資を行うケースのすべてに該当。投資用マンションでは物件を見学せずに購入する人もいるが、非常にリスクの高い行為といえる。

大谷氏は「立地が悪いなど賃貸ニーズの低い物件は、サブリースの家賃見直しが早まる可能性も出てきます。業者は家賃を安くすることで空室率を下げようとするからです」と指摘。「そもそも、アパートでもマンションでも建設費で利益を大きく取るので、業者にとって賃貸ニーズの良し悪しは二の次。ですからセールストークを鵜呑みにせず、不動産ポータルサイトなどを使って賃貸ニーズを自分で調べることが不可欠になります」

3.業者の良し悪しを見極める

サブリース業者の中には、悪質な業者も少なからず存在する。大手だから安心、中小だから不安とは限らない。業者を見極める目も持つ必要があるという。「会社の経営状況や事業手法、営業マンの対応など、情報収集は可能なはず。アパート建設でもマンション投資でも、長期のローンを組んで大きなリスクを背負うのですから、パートナーとなる業者は慎重に選ばねばなりません」

例えばかぼちゃの馬車のケースでは、融資審査を通すためにオーナーの金融資産改竄などの不正行為が行われていたとみられている。「そういった常識では考えられないことを営業マンが持ちかけるような会社は完全にアウト。オーナーに有利な計らいでも絶対に受け入れたらダメです」

また、スマートデイズのように、サブリース業者が経営破綻してしまったら元も子もない。会社の財務状況などに目を光らせ、継続性も読まなければならない。「サブリース業者との付き合いは30年や35年にも渡ります。それだけ長い間、その会社が続くかどうかを見極めるのは難しいですが、少なからず業績はチェックすべきです。きちんと利益を上げているか、赤字に陥っていないか。中小のサブリース業者が増えているので、財務諸表のチェックは欠かせません」

4.トラブルには調停や仲裁も活用

サブリース契約後のトラブルで多いのが家賃の減額請求だが、これには安易に応じてはならない。「サブリース業者の営業マンは多数のオーナーを抱えている。その中で、減額を強気に拒否する人は避け、落としやすい人を攻める傾向が強い」と大谷氏は言う。

減額請求を受けて困ったら、第三者機関に相談することが望ましい。「相談していることを業者に話すことで、相手にプレッシャーをかけられる効果もあります」。不当な減額請求は最終的に裁判で争うことになるが、裁判には多額な費用がかかり、業者との関係修復も困難になる。「裁判の前に、調停や仲裁などのADR(裁判外紛争解決手続き)を選択することも視野に入れるべきでしょう」

サブリースに関するトラブルが多発していることを受け、国交省は今年3月、サブリース契約の相談事例や契約時の注意点などに関する文書を公表。サブリースを含め賃貸住宅管理業の順守すべきルールを設けた「賃貸住宅管理業者登録制度」の認知度向上を進めるなど、トラブル防止に本腰を入れている。

さまざまな問題が表面化しているサブリースだが、最終的には投資を決断したオーナーの自己責任という面は否めない。しかし、契約書の内容が簡単に反故にされるようなケースが横行している現状では、トラブルを未然に防ぐために制度設計自体の見直しが必要という声もある。オーナー側、業者側の双方にとって正しい形のサブリースとは何なのか、考えるべき時に来ているのかもしれない。

(楽待新聞編集部)