今回のご相談者は、楽待コラムニストとしてもお馴染みの根本伸之さんです。2012年から5年間での不動産への総投資額は7億円を超え、安定的なキャッシュフローを得ている根本さんですが、そのお悩みとは?

お名前

根本伸之さん

性別

男性

自己資金

500万円

ご職業

個人投資家

不動産投資家育成協会講師

ご年収

独立後は数百万円、家賃CFで約1800万円

居住地

神奈川県

ご自宅

自己所有、ローン無し

所有投資物件

重量鉄骨2棟、木造1棟、RC1棟

不動産投資経験

5年

はじめに

根本さんは、サラリーマンを続けながら不動産投資家を兼ね、早期退職後は専業大家さんとして成功されました。また、不動産投資家育成協会においては認定講師の顔も持ち、後進の指導にあたっています。海外不動産にも大いに関心をお持ちで、とりわけアメリカ不動産の動向に注目されているとか。さて、現地の状況を目の当たりにしている石原さんの見解とは?

米国ではAIの民間利用がどこまで普及している?

根本

今日は石原さんにアメリカから見た日本についてお聞きしたいです。最近は日本でもIoTやAI(人工知能)を使って住環境を向上させています。これらはアメリカの方が進んでいると思いまして、状況を教えていただければと思います。

石原

まず、こちらからお伺いしたいのですが、日本の不動産環境にはIoTがどれほど浸透してきている状況なのでしょうか。

Point1  IoT

IoTとは、インターネットを通じて、センサーやデバイスがクラウドやサーバーに接続され、相互に制御する仕組みを指す。様々な用途でビジネスやサービスを改善・拡張することができる可能性を秘めている。

根本

私の知っている範囲ですと、照明器具にスピーカーと人感センサーが装備され、天井から音楽が聞けたり、スマホを介してテレビやエアコンのスイッチを操作できたりするものが出てきました。人のいない部屋で人感センサーが感知すると、入居者にメールを送る機器も発売されています。

石原

照明がリモコンの代わりをするのですか?

根本

はい。5万円ほどするのですが(笑)。

石原

今はそこまで進んでいるのですか!

根本

まだ一般的ではありませんが、入居者の満足度や防犯の観点から非常に興味深いです。

石原

空室で悩んでいる大家さんにとっては訴求力になりますね。

根本

メディアに取り上げられるケースも増えているようです。通信会社と機器メーカーが協同して取り組み、人感センサーとカメラを駆使して部屋の鍵が開くようにもなっています。それにより家に誰もいなくても、外からカメラで監視しながら宅配便の荷物を置いてもらえるよう実験中だそうです。

石原

それが可能になれば革新的ですね! 別の視点になると思うのですが、10年以上前に象印マホービンが発売した「みまもりほっとライン」がありました。高齢者の方がポットの湯でお茶を飲むことにより、安否の確認ができるというものです。「入居している高齢者の方の生存安否を確認しましょう!」というアイテムの登場は、当時の大家さんたちの間で話題になりましたよ。

根本

ほかにも、半年前の展示会で『CASPER(キャスパー)』というAIを活用したアメリカの商品を見ました。部屋に人が入ってきたことを検知して自動で電気を点けたり、目覚まし時計の代わりにカーテンを開けたりします。例えば家の主が月曜日の午前7時に起きていたなら、その時間にカーテンを開けてくれる。あるいはスマホへ「パーティーモードにして!」と語りかければ、照明がミラーボールのように回るのです(笑)。

そのメーカーはそのようなことを実験していて、「iPhoneアプリをApple以外の企業が開発できるのと同じように、アプリをいろんなキャリアやデバイスで使えるようにしたいと考えています!」というプレゼンでした。すでにアメリカでは流行っているのかなと思いまして。

石原

それは素晴らしいですね。僕が知っているのはもっと単純な方法です。こちらの空き家はすぐ泥棒に入られます。本当に狙われるんですよ。僕自身も1年がかりで戸建の大きなプロジェクトをやっている間で被害に遭いました。

不法で増改築した家を買い取って、その違法な部分だけを壊し、今度は合法的に行政の許可を取り付けて増築する工事をしていたのですが、その1年の間に3回も泥棒に入られました。泥棒の襲撃から守るため、人が住んでいるように見せかける請負業者まであるんです。

根本

なるほど。さすがアメリカですね!

石原

電灯の点滅を任意にプログラムできるスイッチが20ドルくらいで売られています。それを各部屋でイレギュラーな時間に点灯するよう細工すると防犯になります。僕も自宅用に設置しました。普段は夕方になると外灯が自動で点灯して、朝には消えるようにしていてとても便利なんです。また旅行中でも、室内の照明をON/OFFさせることでいかにも人が居るように見せかけてくれますので一石二鳥です。

シンプルなものではこのような商品があるほか、ブラインドやカーテンを機械的に開閉できるものがあると聞きました。

ただ、僕の周りでそこまでIoTやAIを駆使したハイレベルな機器は流通していません。あとは、これがAIの分野に当てはまるのか不確かですが、不動産業界であれば電子サイン(署名)が普及していますね。

根本

電子サインですか?

石原

これが直感的に使いこなせるほど簡単なんですよ。例えば住宅ローンの契約書では、無数のページに「確認した」というイニシャルや、随所にサインをして返送することが求められますが、電子サインなら、書類データにスマートフォンを使って指でサインをするだけで送り返すことができますから、本当に助かります。

根本

それは便利ですね!

石原

僕が知っているだけで現在10種類の電子サインを提供する会社があります。無料のお試し期間や回数があって、継続利用の場合は月会費が数ドルから30ドルで利用できるようになっています。書類の受け手側ならば無料で利用できるものもあるので、このような最新技術も一般的になりつつあります。

根本

サイン1つするにも公証役場を利用したり、飛行機でわざわざ移動していたのが、電子サインを使えば時間とお金の節約ができますね。

石原

ただし電子サインも万能ではありません。契約書に無数にサインをしていく中で、部分的に肉筆の署名が求められることがあります。その場合は公証してもらって原本を郵送して完了です。米国の契約書を日本で公証する場合は、アメリカ大使館で行います。いずれにしても飛行機代はかかりません(笑)。

アメリカはFAXで情報を伝達する文化が廃れてしまいました。それよりも電子サインや「Title Company(タイトルカンパニー)」が提供する情報サービスが便利です。これは日本風にいうと登記調査会社ですね。日本では物件売買のときに司法書士が入りますよね。その仕事に加えて色々と動いてくれる会社をタイトルカンパニーといいます。

ある会社では位置情報から物件を特定し、登記事項まで瞬時に呼び出せるアプリを提供しています。また諸費用や返済予定表、借り換え費用などの試算や「購入VS.賃貸」の比較表など、情報も豊富です。

根本

情報量やスピードを充実させることで、クライアントの意思決定をサポートしているということですね?

石原

はい、それに正確です。エージェント…日本でいう不動産業者がお客さんから「この物件はどうかな?」と聞かれたら、アプリが入っていれば瞬時に全てのデータが出てきます。何年に建てられて、公式面積はどれくらいで、税金をいくら払った、どこを改修したという物件のヒストリーがアメリカでは情報開示されています。これもAIと称せるならば、そこまで進化していますね。

根本

石原さんはアメリカでも不動産を活発にやられていますが、いわゆる賃貸物件以外に、民泊のような事業もやられているのですか?

石原

僕の場合は普通の賃貸ですが、身の回りの民泊の話題を少しお話ししましょう。僕はカリフォルニア州の中西部、ベーカーズフィールドに住んでいます。この町の北側に、シャフターという田舎町があり。車なら15分くらいの距離です。そこには広大なアーモンド畑と果実園があり、そこの農家の老夫婦が『Airbnb(エアビー)』を始めたのです。

まだこの辺では一般的ではありませんが、日本から投資家が来られて、「ぜひ民泊を体験したい!」と望まれたこともあり、そこへお連れしました。

こちらの民泊はホストの自宅にお邪魔するスタイルが一般的です。かつての子ども部屋を民泊用に活用しているケースが多いと思います。そのため、リビングでくつろぐお爺ちゃんお婆ちゃんの前を横切って部屋に通されて、それこそ家族と一緒に住んでしまう感覚です。

大都市になると違うのかもしれませんが、ベーカーズフィールドにおいてはこのスタイルでした。

先ほどのシャフターの話に戻りますが、ここは見渡す限り農園しかありません。その家にたどり着くまで標識すら立っていない道をひたすら車で走ります。これまで州道99号線沿いにあるこの街は、何もなく、ただ通り過ぎていくだけの集落でした。

しかし昨年に老夫婦の家を訪れたら、まだ始めて1年くらいですが大繁盛していました。なぜこんなにも人気があるのか? お爺さん曰く、今は無くなってしまった子供の頃の記憶のような原風景がここにあって、都会のアメリカ人が泊まってみたいと憧れるそうです。

根本

そうだったんですね。なるほど。

石原

たとえばロスへ行く前に大自然で泊まり、「満天の星空の下でキャンプファイヤーをやろう!」「果実を摘んで食べよう!」という家族連れも多いそうです。それでクリスマスシーズンは過去最高の100万円もの売上なんだと言っていましたよ。

根本

それはスゴイですね!

石原

あまりに人気で満室だから、今度は古いキャンピングカーを庭に置き「ジャングルルーム」と名付けて貸しているそうです。お爺さんは農薬散布を自分の飛行機で行なっている現役のパイロットでもあります。希望者には空の散歩もしてあげるんだって楽しそうにお話ししてくれました。

根本

そんな新しいことも体験できるのが民泊の魅力ですね。日本でも「コト消費」というのですか? ゲスト(宿泊者)に剣道を体験させたり、浴衣を着せたり、忍者の扮装をした家主さんが「おもてなし」する。そのようなサービスでホテルと差別化しなければ激しい競争に生き残れませんね。

Point2  コト消費

商品を購入して所有することに価値を見出す消費傾向を「モノ消費」、体験や経験に価値を見出す消費傾向を「コト消費」という。

根本

先日、フィリピンへ視察に行きましたが、大都会とスラムが同居して強烈なイメージを受けました。コンドミニアムの利回りは8%くらいです。話を聞くと、向こうは融資の金利が6~7%なので、現地でお金を借りてマンションを買っても全く儲かりません。ただし、物価が上昇しているので不動産価格がこれからも上がるし、家賃も上がるでしょうから外国人が買っています。

金利の安い所から借りてきてフィリピンでどんと買う。40平米のコンドミニアムを1500万円くらいで買うのが流行っています。面白そうですが、治安の問題もあり今ひとつ勇気が出ません。

石原

決まった正解はないと思います。ご自身にとって水が合わないと感じているのであれば、その直感が正しかったりもします。人それぞれだと思いますね。

根本

現地で投資をしている方とも会いましたが、皆さんすごく安いときに買っているので、物価が上がった現在では成功されています。フィリピンが大好きになって、年間で何回も行っている方もいました。

石原

両極端に振れますが、それもまた面白い国だなと思います。

根本

国としては興味深く成長も著しいですが、福岡ほどのGDPで日本と国民性が異なります。話によれば男性がほとんど働かず、女性ばかり働いているとか。

この歳になって初めて知ることがたくさんありますね。やはり海外へどんどん出て行き、留学も含め、遊びも含めて進出していくのは素晴らしいこと。見聞が広まって面白いと思います。

石原

そのご意見には僕も大いに賛同いたします。年齢を重ねたからといって臆する必要はありません。

「もう遅いから」「今更どうせ……」という心配は無用だと思います。熱いうちにどんどん行動に移していかなければ情熱も冷めてしまいますからね。「いつかそんなことを思ったこともあったかな? まあ~いいか」で終わってしまう。それでは非常にもったいないと考えます。

根本

不動産の仕事は忙しいときもありますが、安定すると時間に余裕ができ、楽待さんにコラムを書かせていただいたり、一部の方には私の知り得る範囲の知識を直接伝えさせていただいたりしています。あとは本も書きました。

さて、次はどうしようかなということで、いい物件があれば増やしていきたいのですが、やはり日本よりも海外へ目を向けたい思いがあるんです。

できれば日本の文化を海外へ伝えられたら生きがいが持てる気がしまして。その足がかりの一つに海外不動産を考えに入れてもいいなと。

石原

とても充実した日々を過ごされているのですね!

根本

はい、おかげ様で! 最後にアメリカ不動産の市況をお聞かせいただけますか?

石原

アメリカには「Zillow(ジロウ)」という巨大なポータルサイトがあります。これを使うと「この建物を現時点で売ったらいくらになるのか?」という予測ができるのです。それがCMA(過去12ヶ月の比較データ)に基づいて毎月のように更新されていきます。僕はそれをベースに定点観測していますが、これまで2012年からアメリカで買ってきた物件が、この3~4年で1.5倍を超えています。

根本

驚異的な伸び方ですね!

石原

これは大袈裟ではなく、物件によっては1.7~1.8倍にもなっています。アメリカの固定資産税(プロパティタックス)の変化を見ればよく分かります。

日本では市区町村で3年毎に固定資産の評価替えがあって、それを基に固定資産税を決めますね。一方アメリカでは郡や市町村と、その権限が方々に分散していますが、そこに所属している土地建物を各々で毎年査定していきます。それを基に算出した固定資産税が見事に上昇しているのです。

要は公的な査定をした土地建物の価格が値上がりを続けていて、建物が古くなっているにも関わらず、確実にプロパティタックスも上がっているのです。それも急激に上がっていくので、所有している分にはかなりの痛手になりますが、裏を返せばそれだけお墨付きをもらって、持っている物件の価値がどんどん上がっている状況なのです。

根本

実勢価格が上がると税金も上がるのですか?

石原

ほとんど連動していますね。

根本

日本では実勢価格が上がったところで、固定資産税が急激に上がることはなく、乖離がありますね。

石原

アメリカはそこもフェアです(笑)

根本

それで困ってしまうこともあるでしょうが面白いですね。

石原

ただし、昔から土地建物を持っている方が、今の価値で何十倍も上がって税金を払えないようなことが起きないように特例もあり、売買や相続で新しい所有者に代わるまでは固定資産税が昔の税額からほんの少しずつしか上昇しないように守られています(カリフォルニアの場合)。そのような保護に対しても、文句が出ず納得しやすいような法律を作っているので感心しますね。

根本

法律を作るのが上手なのか、得意なのか、好きなのか?

石原

マニュアルを作るのが得意なのでしょう。仕組み作りが上手だなと思います。おそらく一部の天才が動かしている気がしますネ。

根本

日本など、憲法でさえも解釈ひとつで変えられてしまいますから(笑)。

石原

国民性の違いもあるのかと。どちらが良い悪いとは別の話題になりますけれど。僕は日本に42年間住んでいました。留学を除いても35年以上です。その感覚でアメリカの法整備を見ると、仕組みの違いに驚くことばかりです。

根本

そうなんですね。今日は勉強になりました。貴重なお話をありがとうございました!

対談者募集中!

あなたも、石原さんに不動産投資の悩みをご相談してみませんか?

ぜひお気軽にご応募ください!⇒ご応募はこちら

 

対談を終えて…石原氏よりメッセージ

根本さんは5年あまりで不動産による安定した収入基盤を確立されて、1年前に早期退職を実現しました。その経験をもとに上梓された『不動産投資家育成ドリル』は、投資のシミュレーションや未来のバランスシートがわかりやすいと評判も上々です。

そんな根本さんが会社を辞める時に直面した「家族の理解を得る苦労」や、「変化に飛び込む決心」を振り返って「悔いなく生き抜く! 自由のために!」と後進の指導に邁進されている様子は、楽待コラムでファンの方も多いと思います。

根本さんは「不動産は自分らしい人生を実現するための手段である」との思考の持ち主で、僕も常にそうありたいと大いに共感致しました。この対談では目まぐるしく変化を遂げる投資環境について意見を交わしましたが、私たちの眼に映った景色や嗅覚が読者の皆さまにとって少しでもご参考になれたら幸いです。

自分らしい人生…近い将来は、日本の良さを世界に発信していきたいと言います。社会貢献を念頭に、不動産に留まらない活動を目指すと熱い決意を伺いました。和国のエバンジェリストとして世界を翔けめぐるご活躍を、カリフォルニアの地より心待ちにしております!