管理組合の先進的な取り組みが注目を集めている「イニシア千住曙町」=東京・足立区

建物の老朽化が進む中、資金不足で必要な大規模修繕ができないといった問題に直面するマンションが増えている。背景にあるのは「修繕積立金」の不足だ。見通しの甘い修繕計画のまま適正さを欠いた積立金額での徴収が続けば、必要な修繕ができず崩壊・スラム化といった未来も現実的なものとなってしまう。

修繕積立金は、区分所有者で構成する管理組合が、共用部の維持・保全のため徴収するもの。新築時は見かけの金額を抑えるために低く設定されるケースが多く、大規模修繕に合わせて段階的に増額していく必要が生じたり、修繕間際になって資金が足りなくなり高額な一時金を徴収されたりといった事例もある。将来必要な額を計算して均等割りにする方法もあるが、区分所有者にとっては月々の支出額に直結するため、値上げへの同意を得るのは簡単なことではない。

そんな中、将来の大規模修繕を見据え、築4年で修繕積立金を一気に2倍に値上げすることに成功した管理組合がある。

積極的な取り組みで収支を改善

2009年竣工のイニシア千住曙町(東京・足立区)は、東京スカイツリーを望む24階建て、総戸数515戸のマンション。管理組合法人は新築当初からこれまでに、臨時駐車場の有償化やゲストルームによる収益増、エレベーター保守点検会社の変更による経費削減など、約3500万円の収支改善を実現し、資産価値を高く維持する先進的な取り組みが注目を集めている。

特に驚かされるのが、竣工から4年後の2013年、修繕積立金を118円/平米から248円/平米へと2倍以上に値上げする議案を可決したこと。もともとの金額では10億円以上の積み立て不足になることを見越しての決断だったが、全戸平均で月1万円ほどの値上げとなることから、当然反対意見は多かった。

一体どのようにして合意形成を図り、マンションの未来を正しい方向に導いたのか。そして、物件の資産価値を高く保っていくために必要なことは何なのか。4月に開かれた管理組合法人の総会に潜入し、改革のキーパーソンとなった理事会役員の應田治彦さんに話を聞いた。

動画でチェック

・総会はどのような内容?
・修繕積立金を2倍に上げた秘策
・投資目的の所有者はどうやって説得する?
・経費削減のポイントは
・所有マンションの財政が危機的状況と分かったら?

 

管理組合が「評価」される時代へ

イニシア千住曙町は多くが実需入居者で、投資目的で購入した人の割合は少ない。だからこそ改革が成功したという側面もあるが、将来にわたって資産価値を高く保ちたいという思いは実需入居者も投資家も変わらないはずだ。

「マンションは管理を買え」と言われるが、10年後、20年後まで価値を保ち続けるマンションを選ぶには、管理組合が正しく機能しているかどうか、長期的な視点を持った修繕計画が立てられているかどうかが重要になる。

国交省が本年度中の本格運用を検討している「不動産総合データベース」では、管理状況や修繕積立金などの運営情報が現在より透明化される見通しで、将来的には管理組合の「質」が取引価格に大きな影響を与えるようになる可能性もある。購入後も管理組合の一員として、「資産価値が落ちないマンション」の実現に協力していく意識が必要になってくるかもしれない。

(楽待新聞編集部)