では、続いて消費税還付に対する税制改正について解説しましょう。

消費税還付に対する改正は、平成22年と平成28年に入り、消費税還付をすることが難しくなりました。

平成22年の改正は、課税事業者選択届出書を提出後、2年以内に不動産を購入、建築した場合は、その後3年間、免税事業者や簡易課税の選択をすることができないという内容でした。

これによって、不動産購入時に消費税還付をしても、調整計算の対象となるように改正されたわけです。

しかし、課税事業者選択届出書を提出後、2年間何もせずに、3年目に入ってから不動産を購入することで、まだ消費税還付が可能となっていたんですね。

それを受けて、平成28年の改正は、簡単に解説すると、建物などの高額資産を買ったり、建てたりした人は、3年間は消費税の免税事業者になることもできなければ、簡易課税も選択することもできません、という内容になりました。

(条文をわかりやすく簡素化していますので、詳細は国税庁ホームページをご確認ください)

この改正により、不動産購入時に消費税還付をすると、必ず調整計算の対象となるようになったわけです。では現在は、どのようにすれば、消費税還付を成功させることができるのでしょう?

ポイントは、調整計算をされたとしても、還付された消費税を戻さないようにできればいいわけです。そして、そのために重要なことは、課税売上割合を著しく変動させないことです。

実は「著しく変動している」とは、1年目と3年間トータルの課税売上割合の差が50%以上になっていることを言います。

課税売上割合:【1年目】100%-【3年トータル】1%=99%
 ⇒ 著しく変動している
課税売上割合:【1年目】100%-【3年トータル】51%=49%
 ⇒ 著しく変動していない

そして、「著しく変動していない」状態にするには、2年目以降も課税売上が非課税売上である居住用家賃より多ければいいわけです。

この状態にすることは個人では難しいでしょう。既存の法人でもできますが、ベストは新規法人で、加えて課税売上をコントロールできれば可能になります。

また、店舗やオフィスビルなど、課税売上となる賃料が発生する不動産については、課税事業者となることで、現在でも消費税還付は普通に受けることができます

架空売上で消費税還付を否認

消費税還付を成功させるためには、物件購入時に課税売上を発生させて、課税売上割合を高くすることが必要になりますが、過去には消費税還付が否認されたケースもあります。

平成25年に起こった事件ですが、ある会社の社長が自身の資産管理会社で購入した不動産を購入する際に、架空の車の売上を計上して、約2千万円の消費税を不正還付しました。

この事件は、裏に指南役がいましたが、消費税法違反の疑いで逮捕されています。架空売上の計上などは、脱税になりますので、絶対にしないようにしてくださいね。

不動産購入時の消費税還付は、現在でも可能ですが、税務署も厳しい目で見ていますので、それなりのリスクを覚悟の上、もしチャレンジする際は、消費税還付に長けた税理士にご相談されることをお勧めします。

(叶温)