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みなさん、石川貴康です。「かぼちゃの馬車」問題以降、何となく不動産投資の勢いも踊り場に来ているように感じる今日この頃です。みなさんの周りではいかがでしょうか。

私はといえば、昨年12月にRCの一棟物件を購入して、間もなく不動産取得税の支払い時期が来ます。不思議なことに、今回は自治体から「間もなく納付書が行くから納税の準備をせよ」と事前案内が来ました。この物件は、私が過去購入した物件の中でも2番目に高額で、不動産取得税も確かに高額です。

私のいつもの感覚だと、不動産取得税で半年分のネットキャッシュを持っていかれる感じです。「家賃収入-経費-固定資産税-ローン支払い≒ネットキャッシュ」とすると、この半年分の稼ぎが持っていかれるのです。この感覚は木造でもRCでも一緒です。皆さんはいかがですか?

セミナーの講師代を踏み倒す業者

さて、今回はとある不動産業者にひどい目にあわされたので、その話を皮切りに、付き合うべき不動産業者について考えてみましょう。

今年に入って、不動産セミナーでの講師依頼があり、数回講師を務めました。なかでも宮崎で開催された老舗不動産業者さんのセミナーは、業者さんも参加者もみなまじめで、とてもよい会になりました。

一方、ここ数回依頼された都内の新興の不動産業者にはひどい目に遭わされました。全部で4回講演してほしいとのことで依頼があり、受けることにしました。内容は、私が講演した後、業者による自社の説明が行われ、よくある「未公開物件」の説明、そして「我が社は社会貢献をしています」といったアピールをし、セミナー修了後に個別相談会を設けるという形です。このパターンは最近複数個所で見かけました。

後日、この会社に講師代の請求書を送ったのですが、ほどなくして関連会社の別の方から「請求書が来ていません」との連絡がありました。複数社で連合してセミナーを打っていたのですね。変だな、とは思いつつあらためて請求書を直接この方に送り、無事入金されました。

2回目のセミナーを行い、同様に請求書を送ると、今度は期日までに振り込みがありません。どういうことなのか確認してもらうべく連絡を取ろうとするも、メールには返信なし、電話は携帯電話も代表電話もつながらず。お会いしたその他複数の会社へ電話してもつながりません。携帯の電源は切れてはおらず、出ないだけ。留守電を残しても返電はなし。代表電話にかけても「お客様の都合により通話ができなくなっています」とアナウンスが流れます。

3回目のセミナーが中止になったことを考え合わせると、もともと調子が悪く、どうやら「飛んだ」ような感じです。

未回収なのは講師代だけですが、この会社から物件を買ったり、管理を任せていたりした人は、もしかしたら大変なことになっているかもしれませんね。不動産の販売だけでなくサブリース、管理を請け負うことが得意とのアピールもしていましたから。

はたして、これらの不動産会社はまじめに仕事をしていて、結果的に苦境に陥り倒産? したのでしょうか。それとも、最初から何か意図をもって営業活動を行い、詐欺行為を働くことを目的にしていたのでしょうか。

実際には何が起きているのかは調べようもないし、取引をしていないのでどうなっているのかわかりませんが、初めから詐欺的なスキームであったのなら、結局、私は広告的な講師として利用されたのかもしれませんね。そうだとすると腹が立ちます。

「違和感」は大切に

これらの不動産業者に関しては、思い返してみれば最初に変だな、との感覚もなくはなかったのです。まず、出てくる人出てくる人がとにかく若い。20代から30代前半くらいではないでしょうか。経験が浅そうで、ベンチャー的に起業したような人の集団、といった感じでした。

セミナーコンテンツはどれも似たような構成で、テンプレートでもあるのかと思わせる内容です。会場は会社内のセミナールームで、とてもきれいな場所です。ここを維持するのは大変だろうな、との印象を持ちました。そして全員、変にニコニコしていて、何かの宗教かと思わせる雰囲気がないこともない。今思うと、あの時感じた違和感を大切にすべきでしたね。

今回の一件を通じ、まず第一に、会った時の違和感というか、直感は大事にしよう、と改めて思いました。あまり突き詰めると偏見にもなりかねないですが、妙にみんな若い、素人臭い、変な笑顔、場所が妙に華美な業者にはちょっと注意が必要かもしれません。さも実績がありそうなプレゼンも、本当かどうかわかりませんからね。

第二に、不動産取引業者として何年やっているかの確認もすべきでした。不動産業界では、信用力を客観的に示してくれる指標が一応あります。

よく、宅地建物取引業免許証番号の()内の数字を確認するのですが、今回はあくまでセミナーでの講演であり物件を購入するわけではないので、確認を怠りました。

宅地建物取引業免許証番号の()内の数字は、登録自治体での事業の更新回数を表します。新規で免許を受けた時は(1)ですが、5年が経過するごとに免許が更新されると1ずつ番号が増えていきます。「東京都知事(1)第○○○○○号」というやつですね。

もちろん、登録自治体が変われば(1)から出直しですから、必ずしもこの番号と年数はイコールではありません。しかし、長く不動産業者として事業を営んでいる目安にはなるので、やはり確認すべきだと肝に銘じました。

そして第三に、取引事項はいちいち確認すべきだということ。信用力の低い企業の場合、社内管理がずさんで、処理がいい加減だったりすることがあるからです。今後は請求書を送った際に、届いたかどうかの確認と入金時期の確認を、また入金間際には入金期日の連絡をすべきだと思いました。あまり信用できない場合は現金取引にすべきかもしれません。

悪い業者を見極める4つのチェックリスト

15年以上不動産投資をしていて、いろいろな不動産業者に出会ってきました。ひどい目に遭わされた業者もいれば、今もお付き合いしている業者さんのようによい相手もいます。

昨今の「かぼちゃの馬車」にあったようなスキームを紹介されても、今の私なら絶対に買いませんが、経験が浅ければどうなっていたかわかりません。そこで、今まで私なりに身につけた、こういう不動産業者には気を付けるべしということをチェックリストにして紹介したいと思います。

(1)「絶対に儲かる、リスクはない」などという業者

こういう業者とは決して付き合わないことです。絶対に儲かるということも、絶対にリスクがないということもありません。そんなことを言う業者は、売ってしまえばこっちのものと考えているのです。責任など取るはずもありませんので、付き合ってはいけません。

そもそも私はサブリースや家賃保証を最初から謳ってくる不動産業者は一切信用しません。個人的にはこれは売るための方便であり、最後は投資家が損するスキームであると思っています。

サブリースや家賃保証も含めて、最初から儲かる、リスクがない、などということを、手を変え品を変えていろいろ言う業者は注意が必要です。

(2)取引が不透明な業者

買主や売り主が誰なのかが不明確なまま話が進むようなことがあれば問題外です(一度ありました)。手付金の返還や保全、ローン特約など特約の扱い、売買契約の解除などといったお金に絡むことを事前にきちんと説明しない業者には注意が必要です。私はこうしたことの説明をくどいくらい要求するので大丈夫ですが、いい加減にされると大変不利なことになりかねないので、説明しない業者には注意が必要です。

(3)物件の説明ができない業者

こういう業者とも付き合ってはいけません。物件の状況、境界明示の有無、過去の修繕履歴や築年と構造、入居者のプロフィールとレントロール、その他法律上の遵守・違反、売り主の状況などをまったく説明できない不動産業者がいます。仲介であろうが自社物件であろうが、自分が売るモノの説明ができないような人からモノを買ってはいけません。

物件がどんなによさそうに見えても、私なら立ち去ります。買うのは物件だけでなく、その不動産に関わるいろいろなビジネスの関係そのものも買い取ることになるので、きちんと物件に愛情を注げない人から買うべきではないと思うのです。

(4)「ホウ・レン・ソウ」ができない業者

「ホウ・レン・ソウ」とはホウ=報告、レン=連絡、ソウ=相談のことです。高額な物件を買おうとしているのに、「ホウ・レン・ソウ」がタイムリーに、適切にできないような業者から買うと、トラブルに巻き込まれる可能性があります。

実際、私は、「ホウ・レン・ソウ」がダメな業者に2度ほどひどい目に遭わされました。どちらも、最後はオーナーにウソをつき始めるのです。「ホウ・レン・ソウ」ができない業者と付き合ってはいけません。

不動産投資は一攫千金を狙うものではない

ここまで、キケンな不動産業者を見極める私なりのチェックポイントを書いてみました。特に、第一のチェックポイントである「儲かる、リスクはない、などという業者とは絶対に付き合わない」のが私の鉄則です。

実は「かぼちゃの馬車」のずっと以前、私もシェアハウス投資物件を紹介されたことがありました。都内のいい場所にある物件で、既に運営中でした。見に行って中をのぞくと、いろいろな人が住んでいます。共有スペースもきれいです。でも、私は投資しませんでした。私が投資するときの判断基準の一つは「自分で住んでもよいと思うか」です。その物件を見たときの私の答えはNOだったのです。

業者は高い利回り、都内一等地の競争力などをアピールしていましたが、それだって怪しいものでした。当時は不動産価格が今より安い時期でしたが、買わなくて正解だったと今でも思います。

不動産投資は、一攫千金を狙う投資ではありません。ゆっくり富を築く保険的な投資だと思うのです。誰と競争しているわけでもありませんし、命をかけたり、人生をかけたりしてムリに投資するような資産でもありません。落ち着いて、慎重に、増やしていこうじゃありませんか。贅沢は厳禁ですよ。では、また。

(石川貴康)