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今回は、ある「失敗大家さん」の事例を紹介します。

私は仕事柄、不動産投資で行き詰まった投資家さんの相談を受けることが多いです。何人もの方のお話を聞いているうちに、失敗には共通の法則があることに気が付きました。

不動産投資で行き詰まる典型的なパターンは、

1.利回り5%前後の1K、区分マンションをフルローンで複数購入

2.地方、RC造の一棟マンションをフルローンで複数購入

という二つです。

今回は、「地方、RC造の一棟マンションをフルローンで複数購入」をしたAさんの事例。

「1.どうして失敗してしまったのか?」

「2.どうすれば失敗しなかったのか?」

「3.どうやってリベンジを進めているのか?」

という3ステップで、問題点を考えていきたいと思います。

物件探しに至るまで

都内在住のAさん(40代男性)は10年以上前、都内で1棟4戸の築古アパートを購入。規模が小さいため総額も少なく、すでにローンは完済。満室稼働の状況が続いている。

仕事は面白く、それなりに充実しているが、老後がやや不安。子どももまだ小さく、これから教育費もますますかかってくるため、副収入がもっと欲しい。そこで2016年頃、もっと本格的に不動産投資をしようと思い立ち、物件を探し始める。

1.どうして失敗してしまったのか?

Aさんが最初に購入した物件は、すでにローン返済も終わり満室稼働でしたが、規模が小さいためキャッシュフローもわずかでした。そこで今度は、ある程度の規模のものを買うことにしました。都内ではRC造でそれなりの規模のものを買おうとすると、億単位の金額になってしまいます。

そんな時に紹介された物件は、地方の一棟物の中古RC造マンション。築年数は30年前後と古いですが、利回りが10%近くあり、魅力的に感じました。価格も1億円を切り、手頃でした。しかもスルガ銀行の融資がセットになっていて、なんと契約にかかる仲介手数料や登記費用などの経費も全て込みで貸してくれるとのこと。Aさんにとってはとても良い話に思えたのです。

2~3年前(2015~2016年)は、サラリーマン投資家が一番盛り上がっていた時期で、利回りが良い物件は場所にかかわらず売れました。融資も審査が緩く、全国フルローンで借りられた時期です。

そんな環境下で、Aさんは不動産業者の売主物件を購入することに決めました。

物件概要は以下の通りです。

立地:関西の西側
価格:9000万円台
構造:築32年・RC造3階建て(1階店舗、2階以上1K×12戸)
表面利回り:9.2%
融資:金利4.5%、融資期間35年

業者が買って大規模修繕を施し、利益を乗せて転売するという物件でした。

Aさんはこの物件の購入と同時に、同じような物件を今度は名古屋の北方面に2棟購入しました。合計3棟。短期間の間に、金額にすると2億6000万円の物件を所有するオーナーとなったのです。ちなみに、Aさんは物件のある地域について土地勘がなく、契約後に初めて現地に行きました。

どの物件も満室稼働の状態で購入したので、最初の1年間の収支はプラスでした。異変が起きたのは2年目からです。ぽろぽろと解約予告が入り、入居者が退去し始めました。その後、同じ賃料で募集しても決まらないのです。

単身者の移動の時期のピークは2~3月です。その時期も結局2戸しか決まらず、3棟合わせて空室が34戸中10戸になってしまいました。「なぜ決まらないのだろう?」と不安になったAさんが管理会社に聞いてみたところ、決まらない要因が見えてきました。

・賃料が高めだったこと

・3棟のうち1棟は洗濯機置き場が部屋にはなくベランダだったこと

・近くに新築のアパート、マンションが複数できたこと

これらが原因でなかなか決まらなかったのです。

購入時の満室稼働は、利回りをよくするためにAD(広告企画料)を増やすなどして、販売業者が高めの賃料で無理やり決めた見せかけの賃料と稼働率だと判明しました。

また、洗濯機置き場が室内にないのは、今の時代では大きなマイナス点です。特に女性は嫌がります。投資ブームで近くに建ったアパートやマンションの賃料が、Aさんの築30年の賃料とほぼ同水準だったことも決まらない要因でした。

こうしてAさんのマンションは、10戸の空室のまま繁忙期を過ぎてしまいました。

当然ですが、毎月のキャッシュフローも一気に悪化しました。マイナスではありませんが、最初に購入したローン返済の終わっているアパートと合わせても、手残りはほとんどない状況になってしまったのです。

さらに悪いことに、店舗のテナントから退去の連絡が来ました。管理会社と今後の打ち合わせをしたくても、東京からだとそう頻繁に行ける距離ではありません。

部屋が空くとリフォーム費用や仲介会社へのAD費用がかかります。店舗が決まる見込みは全くなし。店舗が空くと、収支はマイナスに転換します。

これがAさんの現状です。

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