2012年ごろから2016年ごろまで、宮城県(特に仙台市)の入居率は「ほぼ100%」で推移していたと言われている。それに伴って、賃料相場も高騰。これは、2011年に発生した東日本大震災の復興特需の影響が大きい。県内在住の数人の投資家は、この時期には「県外からの多くの不動産投資家が物件を買っていた」と話す。

「震災前の状況に戻ってしまった」という声も上がるが、発災から7年が経過した今、宮城県は実際のところどのような状況なのだろうか。現地で取材を進めると、投資家たちが「危ない」と口を揃えるエリアも見えてきた。

震災後、入居率が大幅上昇したが…

東北地方を中心に約1万8000人の死者・行方不明者(2018年3月現在)を出した東日本大震災。2011年3月の発災直後こそ、「その先の賃貸事業もどうなるかわからなかった」とある投資家は振り返るものの、その後仙台市を中心として、入居率ほぼ100%の状態が続くことになったという。

楽待コラムニストでもある「不惑ラガーマン 仙台の良さん」(以下良さん)は「(仙台市の)震災前の入居率の水準は82%程度でした。それが震災後、2012年ごろには一時的に100%近くなったんです」と語る。復興作業のために多くの人員が宮城県に来ていたこと、また、沿岸部に住んでいた人たちが引っ越してきたことが大きな理由の一つだ。

入居率が100%に近いということは、それに伴い賃料相場もつり上がっていた。必然、投資家にとっては非常にうまみのある市場だ。

ところが、「今年の春には入居率は85%程度になったようです」(良さん)。宮城県を中心に13棟を所有する投資家・フミさんも「震災直後の賃貸住宅は、完全な売り手市場でした。入居者さんはどこでもいいから入れればいい…という状態だったんです。それがだいたい震災後4~5年続いたんですが、今年に入ってじわじわ入居率は下がっていますね」と指摘する。フミさんが管理会社に聞いたところでも、やはり入居率は88%程度だそうだ。

「全国的に見れば(入居率は)いいほうだとは思います。しかし、やっぱり下がってきたな、というのが実感ですね。それに、入居率が100%近くなったときに、需要がパンクしたということでバンバン新築も建ってしまいましたし」

フミさんは、当時の状況について「震災後の4~5年間は、努力しなくても埋まる時期だった」と語る。そうした状況で、県外からも多くの不動産投資家が参入してきただろうことは想像に難くない。

こうした時期が過ぎ、入居率が震災前の水準に戻りつつある現在、県内物件の利回りはどのような状況だろうか。

フミさんは「県全体の平均で言えば、12~13%といったところではないか」と見ている。融資が締まってきたと言われているが、そうした状況の中で若干物件価格自体が下がってきた影響も大きい。良さんは「少し前まで、12%以上の物件はほとんど見つけられませんでした。10%前後がいいところでしたね。ただ、最近はそこから1~2%ほど利回りは上がってきたように思います」と話す。

「仙台一強」、すべての物件を市内に持つオーナー

フミさんは「全国の中で東京がそうであるように、宮城県、ひいては東北の雄が仙台です」と言う。宮城県の人口は2018年5月現在、約231万5500人。うち、仙台市の人口は約108万7000人だ。また、県人口は減少傾向にある一方で、市人口はその数自体は小幅になりつつあるものの、今も人口は増えており、数字からも「仙台一強」ぶりはうかがえる。

宮城県全体と仙台市の人口の推移

5棟100室のオーナーである藤田弘明さん(仮名)は、そのすべてを仙台市内に所有している。その理由を、「この先10年、20年先を見据えた時、仙台市外に持つのは怖いからです」と話す。今後の人口減少が見込まれる中、東京や大阪、福岡といった都市部に人口が集中すると考えているからだ。つまり、東北であれば仙台市内ということになる。

藤田さんは特に、市営地下鉄やJRなど駅から徒歩15分圏内を必須の条件として物件を購入しているという。

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