元国税局職員さんきゅう倉田です。

好きな株式市場は「マザーズ」です。

日本の税金の種類は数多あって、国税局の職員でもすべてをそらんじることはできません。全部暗記することになんの意味もないので、そもそも知る機会すらありません。しかし、特に重要な税目もいくつかあります。今回はその中でも不動産にまつわる税金について、直筆イラストを使ってイチから、いや、ゼロから解説します。

 

所得税

ほぼすべての働くひとが納める税金です。「所得」とは収入から経費を引いたものです。ちなみに給与の場合、経費が認められないので「給与所得控除」という概算の経費があります。

所得には、不動産、事業、給与、一時、山林、譲渡、利子、配当、退職、雑の10種類があります。長くなるので個別の説明は割愛しますが、この記事を読んでいるみなさんは不動産所得がある方が多いのではないでしょうか。

不動産の賃貸を行っていると、ほとんどの場合、不動産所得か雑所得が発生します。また不動産を売却した場合は譲渡所得になります。基本的に所得税は、すべての所得を合計し、その額に応じた所得税率を掛けて、所得税を算出します。現在の所得税率は5%~45%です。その計算は、単純な掛け算ではなく、義務教育で習った「累進課税」というシステムを用います。

 

法人税

あなたが不動産の賃貸を法人として行っていた場合、法人の所得には法人税がかかります。法人の所得税です。法人税の税率は23.2%なので、所得税と比較して税負担が多くなることも、少なくなることもあります。

 

贈与税

生きている人からお金や物をもらうとかかる税金です。年間110万円の控除があるので、その金額を超えたら贈与税の申告をしましょう。不動産をもらえば、概ね申告が必要となるでしょう。学生が親から生活費をもらうなど、贈与税の対象とならないお金のやりとりもあります。なお贈与税は、相続税を補完する税金です。

 

相続税

亡くなった人からお金や物をもらうとかかります。数年前、最低控除金額が6000万円から3600万円に減ったので、申告する人が増えました。賃貸用不動産は、自家用より相続税評価額が低くなりますので、相続時は有利になります。

 

印紙税

印紙税法で定められた書類を作るとかかる税金です。納税方法が特殊で、印紙を買ってきて、書類に貼ることで納税になります。不動産の売買契約書、土地の賃貸借契約書、建築の請負契約書、領収書などを作ったら、印紙を貼る必要があります。同じ内容の物を2通作ったら、その両方に貼ります。

 

消費税

個人でも法人でも、売上が1000万円を超えると、その2年後に消費税の確定申告をして消費税を納める必要があります。不動産の賃貸をされる方にとって、消費税の問題はとてつもなく大きいので、みなさん勉強されていると思います。自分の土地に自販機を置いたことがある方もいるのではないでしょうか。「住宅の貸付」は非課税取引です。

 

登録免許税

売買、相続などで、所有権の移転登記をしたときにかかります。主に、固定資産台帳の価格に税率をかけて計算します。また、登録や特許、免許、許可、認可、指定、技能証明にも課税されます。税率は高くても2%くらいですが、不動産は金額、航空機は重量、商業登記は1件当たりに課税されます。会社を設立したり、役員を変更したりするときに貼付する印紙は、登録免許税の支払いです。印紙税ではありません。

住民税

所得に対して、10%の税率でかかります。基本的には全国一律です。勘違いされている方がいますが、横浜が高いとか沖縄が安いとかはありません。前年の所得に対してかかるので、働き始めて2年目から徴収されることが多くなっています。納付方法は、毎年6月頃に送られてくる納付書を使って納める普通徴収か、給与から天引きされる特別徴収のどちらかになります。

 

不動産取得税

家や土地を購入したり、贈与されたり、建築したりして不動産を取得したときにかかる税金です。相続した場合はかかりません。取得時に、お金を支払ったか支払わなかったかは関係なく、取得したら課税されます。課税される不動産の価格は、固定資産課税台帳に登録されている価格になります。税率は3%か4%です。一定の金額以下であれば税金が課税されない免税点があるので、全員が課税されるわけではありません。

 

固定資産税

土地、家屋、償却資産を所有しているとかかります。償却資産とは、減価償却するような物で、船舶とかパソコンとか洗面設備など無限にあります。高級腕時計や絵画は、減価償却しない場合、固定資産税がかかりません。毎年1月1日に所有していると、課税されるようになっています。税率は1.4%です。こちらも、一定の金額以下であれば税金が課税されない免税点があるので、全員が課税されるわけではありません。

 

都市計画税

市街化区域内の土地や家屋を所有しているとかかります。固定資産税とセットの税金です。都市計画税は「都市整備のために徴収しています」と使い途を明らかにされている目的税です。毎年1月1日に所有していると、課税されるようになっています。税率は都内の場合0.3%で、固定資産税と合わせて納めます。固定資産税同様、一定の金額以下であれば、税金が課税されない免税点があります。

税の歴史は古く、日本では邪馬台国の時代から既に存在したようです。今では一般的な所得税、法人税、相続税、印紙税、登録免許税、住民税は、100年以上前に整備されました。

固定資産税は「シャウプ勧告」をきっかけに、現在の贈与税は昭和28年に、不動産取得税は昭和29年に、都市計画税は昭和31年に創設されました。消費税は平成元年に導入されましたが、それ以前は「物品税」という贅沢品に課税する制度がありました。

これらの税金は、税率が一定のものや累進課税のものがありますが、それは税の原則の1つである「課税の公平性」に基づいています。個人個人が税金を払える能力に応じて税を納めてもらう、公的サービスから受ける利益に応じて税を納めてもらうなど、税の種類によって課税の方法が異なるのも、課税の公平性を満たすためです。ひとつの税金ではなく、複数の税金を組み合わせることによって、公平な社会を目指しているのです。

また、お金持ちからより多くの税金を取るのは「富の再分配」と言われ、公的サービスなどで貧しい人に分配されます。格差があまりにも激しいとみんなの心が濁ってしまうため、高いところから低いところへお金が流れるようになっています。

不動産投資を行う上で、税は重要なコストです。予想される金額をしっかりと把握して、事業計画を立てると良いと思います。

(さんきゅう倉田)