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太陽光発電は、かつて世間からとても高い関心を集めた投資先のひとつ。今も興味をお持ちの方が多いかもしれません。太陽光発電は投資先であるとともに、二酸化炭素を発生させないクリーンエネルギーのひとつとしても話題を集め、一般家庭においても普及が進んだのは記憶に新しいところです。

投資家の参入が相次ぎ、私も太陽光に興味を持つひとりでした。今回は私の太陽光発電投資の実績と、参入が飽和状態にある「今」旨味はあるのか、という点をお伝えします。

とあるアパートで「屋根の形」に一目惚れ

私が太陽光発電を始めようと思ったのが、初めてのアパートを購入した時。屋根にソーラーパネルが載らないものかと業者に相談したものの、ドーマーがあるため、費用対効果が悪いということで断念しました。

ドーマーとは、以下の画像のような形をした、屋根に取り付けられる構造物のことを言います。ドーマーがあることで屋根の表面に凹凸が生まれソーラーパネルを置くことができません。載せられるソーラーパネルの枚数が制限されるため、売電収入も低くなります。

ドーマーの例 (PHOTO: iStock.com/CaraMaria)

その後の物件探しでは、ソーラーパネルがたくさん載るであろう屋根を持っていることも、物件探しのポイントに加えることにしました。

そして初めてのアパートの購入から約1年後、あるアパートと出合います。このアパートが持つ、南北方向に勾配が取られた美しい切妻屋根(開いた本を伏せたような、2つの斜面を持つ山形の屋根)は、ソーラーパネルを載せるにはもってこい。南側は一面の原っぱで日照を遮るものは何もありません午前中は屋根の北面にも日が当たりそうです。

つまり、太陽光発電をするにはこれ以上ない好条件が整ったアパートと言えます。あとは、そのアパートの収益不動産としての実力を見極めなければなりません。実は、以前のコラムでご紹介した「ブラジリアンタウン群馬県大泉町で見つけた高利回りアパート」がこの物件です。購入に至る経緯については、第1回目のコラムに書かれているので、そちらをご参照いただけたらと思います。

アパートの建坪は約160平米屋根の水平投影面積は180平米ほど。単純に水平投影面積を屋根の面積として計算しても(実際には、水平投影面積よりも若干広い)、ソーラーパネルを載せるには十分な面積だと思いました。

現地調査を終えアパートの売買契約に向けて動き出すとともに、太陽光発電設備を提供する業者探しも始めることに。急ぐのには訳があります。買取価格は年度ごとに見直されるため、何としても3月末までに設備認定を終えなければなりません。買取価格は認定時を基準に決まり、翌年度の買取価格は当時(2013年度)の42円/kWhより安くなると見られていたためです。

業者によると、当該アパートの屋根には94枚のソーラーパネルを載せるともっとも効率よく発電できるとのこと。物理的にはもう少し載せられるとのことでしたが、「東側に立つ電信柱の陰になってしまう時間があることや、積雪時に雪が滑り落ちる心配があることを考えると、ある程度余裕を持たせるのがベター」との提案に従い、設備を導入することに。そして、設備認定も無事3月中に受けることができました。

屋根に設置したソーラーパネル

この物件に導入を決めたのには他の理由も

実はアパート所在地である群馬県は、日照時間が全国第4位ととても長い県だったのです。中でも物件が位置する県南部は特に日照時間が長く、太陽光発電を始めるにはもってこいの場所だということを事前の調査で把握していました。また、ソーラーパネルを置くと屋根を直射日光から保護することができるという利点もあり、正に一石二鳥と言えます。

当時の買取価格は42円/kWh。年間1万6793kWhの電力を発電できるというシミュレーションを信用すれば、年間70万円程度の売電収入が見込める計算になります。そして、買取単価は20年(余剰電力買取制度では10年、詳細は後述)に渡って保証されるというもの。「これは詐欺ではないか?」、そう疑う人がいても不思議ではないほど、当時の太陽光発電の条件は恵まれたものでした。今振り返るとつくづくそう感じます。

では、先月までの発電および売電実績を見てみることにしましょう。

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年間の平均発電量はシミュレーションより25%程多い約2万1000kWh、年間の売電収入も90万円に達し期待を大きく上回る額となっています。とはいえ、投資額に見合ったリターンがなければ、その投資は成功とは言えません。太陽光発電事業への投資額を見て成否を判断することにしましょう。

設備の導入費用は総額600万円程度。これを基に計算した利回りは15%。買取価格が保証されているため、太陽が消滅しない限り20年間に渡って15%の利回りが保証されたようなもの。20年間に渡って得られるであろう売電収入は約1800万円になります。ここまで計算すると、太陽光発電事業はひとまず成功を収めることができたと言えそうです。

なぜ当時は「オイシイ」投資先だったか

そもそも、なぜ太陽光発電が普及したのか? きっかけは東日本大震災まで遡ります。福島第一原子力発電所が津波により被災。その後、日本の電力供給を支えていた原子力発電所が全て停止するという、極めて稀な事態に陥りました。電力の安定供給に対する不安が人々の間に広がる中、太陽光発電という再生可能エネルギーを原料とした発電は瞬く間に脚光を浴びることに。

そして2009年11月、余った電気を買い取ってもらうことができる「余剰電力買取制度」がスタートしました。余剰電力買取制度とは、太陽光発電システムによって発電した電力を、家庭等の設置場所で消費した上で、余った電力を電力会社に売電して対価を得ることを保証する制度。

電気代を支払う必要がなくなるだけでなく、余剰電力を10年間に渡って一定額で買い取ってくれ、収入まで得られてしまうという画期的な制度。しかも、当時の買取価格は48円/kWh。

現在(2018年)の買取価格(26円/kWh)と比べると、当時はかなりの高値で買い取ってもらえたことがお分かりいただけるでしょう。そのような破格での買取価格が実現した背景には、当時太陽光発電がほとんど導入されていなかった一方で、住宅用太陽光発電の普及を促したいという国の思惑もあったことが伺えます。

そんなオイシイ話を投資家たちが見逃すはずがありません。その後太陽光発電は、家庭だけでなく投資家も巻き込んで急激に普及し始め、さらに東日本大震災に端を発した電力不安によって、そのスピードに拍車が掛かることになります。