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不動産の所有権は、使用権担保権処分権の3権能の総称です。

 

「どういうこと?」

 

【使用権】とは、

その不動産を誰が使うかということであり、

マイホームの場合は自己使用、

貸家の場合は、入居者に使用権を貸し、

その対価として家賃を受け取ることです。

 

【担保権】とは、

不動産を銀行などに担保提供してお金を借りることであり、

 

【処分権】とは、

建物を売ったり、壊したり、増築したり、

土地を売ったり、合筆したり、分筆したりする権能です。

 

「で、大家さんはさ、自分で使うんじゃなくて、他人に貸すわけだ。

晴れてオイラも大家さん! 家賃が楽しみだなぁ~」

 

おめでとうございます。

ただ……

 

「ただ、何? なんか、文句でも言おうっていうの?」

 

確かに、大家さんとなるには、

物件を所有するか、第三者の不動産を転貸して、

他人に貸すことのできる状態にならなければなりませんから、

大きなハードルをクリアーしたことは間違いありません。

 

しかしながら、ここからが本番です。

大学受験でも受かれば良いというものではありません。

目指す大学に入学して、どんな知識を得るのかが問題であり、

大家さんの資格である最低限の所有権を得たとしても、

未だ、入居者がいないなら、

家賃が入金されていないのですから、

次なるハードルに向け兜の緒を締め直す必要があります。

 

「いやいや、オーナーチェンジだからさ、もう入居者はいるのよ。

残金納付の時に、ついでに建物賃貸借契約のまき直しもしたし、

日割りで家賃も貰ったわけ。

な~んも、心配ナッシング! ってわけなのよ。

どう? ぐうの音も出ないでしょう」

通常、空き物件を購入すると、

賃貸市場に出す基準をクリアーするために

・リフォーム

・家賃相場を調査

・不動産仲介業者に入居募集を依頼

 

申し込みが入れば、

・入居審査

・建物賃貸借契約の締結

・鍵の受け渡し

といった一連の業務があります。

 

オーナーチェンジの場合、こうしたアクションが全くなく、

既存の建物賃貸借契約の引き継ぎですから、

さほど問題はありませんが……

 

「ん、まだ何かあるの?」

 

入居者審査は、なさったのでしょうか?

既存の建物賃貸借契約であったとしても

貸主の地位を引き継ぐのですから、

全てのリスクを引き受けることになるのです。

入居者の勤め先、勤続年数、税込み年収、そして同居人の数や

ペットの有無なども確認すべきです。

 

「ふ~ん、でもね。

購入した不動産会社が家賃保証してくれてるから、

ま、滞納があったとしても問題ないのよ。

管理費が12%だけど、経費計上できるから、手間いらずってわけ」

 

なるほど、

では、大家さんは管理業務にはノータッチというわけですね。

 

「そう、これからもさ、この方式が世話ないから、

これで物件を増やせば、それでいいと思ってるんだ」

 

少しきな臭い匂いがしています。

 

「どこが?」

 

大家さんの日常は管理業務です。

この管理の良し悪しにより、賃貸業は浮き沈みします。

にもかかわらず、業者に丸投げすると、

管理業務スキルの向上は望めず

管理会社の浮き沈みに同調する羽目に陥ります。

 

株式会社と言えど、破綻することもあるのです。

管理を任せている会社が会社更生法申請や倒産、

はたまた自己破産などすると、家賃の入金は見込めず、

使用権を自らの手に取り戻すために一苦労しなくてはなりません。

 

そして、管理業務をしないまま物件が増加すると、

入退去管理や入金管理、

そしてクレーム対応にあたふたするしかなくなります

 

「でもさ、オレもサラリーマンだから忙しいんだよ。

クレームの電話を受けるのも面倒くさいし、

やってくれる会社があるならさ、

任せるのも選択肢の一つでしょ」

 

それでは、家賃保証付きの管理費12%を考えてみましょう。

 

私の評価は高い。高すぎる、です

いったい全体、

なぜ、こうした高額の管理費を要求するのか理解に苦しみます。

あなた、不動産会社に騙されていませんか?

「なんで?」

 

家賃保証会社への保険料は

入居者の負担であり、大家さんの持ち出しではありません。

 

通常の管理費であれば5%程度です。

しかし、この不動産会社は家賃保証の7%までも

大家負担にしようとしています

 

「え、そうなの?」

 

現在の賃貸借契約では

家賃保証への加入を条件としても

入居者は嫌がったりしません

当たり前だと受け止められる社会になっています。

 

俺、不動産仲介会社に騙されていたの?

 

そうです。家賃保証費は入居者が負担するものです。

では、管理会社の利便性は何かと言えば、

入居者からクレームがあった場合の引き受けだけということになります。

 

「それが大変なんじゃない。

電話がジャンジャンなってノイローゼになったら

元も子もないでしょ」

 

電話がジャンジャンなることなんてありません。

そもそも、リフォームをしているのですから当たり前です。

確かに、入居直後の2カ月~3カ月までは、

不具合の電話は、たまにあります

なぜなら、

リフォーム業者は設備の長期稼働を確認していませんから、

入居者が毎日使用していて、不便を感じることはあり得ます。

 

「ほらっ、あるじゃない」

 

クレームがあったなら、直せばいい

ただ、それだけのことです。

 

電話がジャンジャンなるのは、

クレームに対応せず、言い訳に終始し、先送りするからであり、

リフォームをすれば、それで終了するのです。

 

「でもさ、物件が遠方にあったら管理できないじゃない」

 

もし物件が遠方にあって、管理が難しい場合は

管理費5%を支払って管理をお願いしてください。

クレームの電話は、管理会社に受けてもらってください。

 

「物件が近所にある場合はどうするの?」

 

その場合は、自主管理をしてもいいでしょう。

そうすることで管理費5%も支払わなくてよくなります

(藤山勇司)