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元国税局職員さんきゅう倉田です。

好きな税理士会は「東京税理士会」です。

国税局が行う調査に対し、納税者は太刀打ちできません。普段から税金のことだけを考えているプロフェッショナルと、事業や家族のことで精一杯の一般の方が、同じ土俵で対等に戦えるわけがありません。絶好調時の「ムドー」と「スライム」くらいの差があります。

ではどうするかというと、税理士の先生に立ち会ってもらうことになります。税金が大好きな変態集団・国税局に対抗できるのは、合格までの平均年数7年という、努力と根性を兼ね備えていないと突破できない税理士試験をくぐり抜けた先生たちだけです。先生がいない税務調査なんて、サッカーの試合でゴールキーパーがいないくらいやばいです。

先生たちの知識は、国税局並み、あるいは、それ以上かもしれません。若手の国税局職員からしたら、おじいちゃん税理士は特に恐ろしい存在。確実に食われてしまいます。

ただし、おじいちゃん税理士が100%良いかというと、そうでもないのです。この機会に、税理士さんにはどんな先生たちがいるのか、紹介したいと思います。

「どの科目で受験したか」が目安に

先生たちにも、得意不得意があります。それを語る上で、税理士試験の制度の説明は外せません。税理士試験は11科目の中から5科目を選ぶ、「科目合格制」となっています。

◎必須科目…簿記論、財務諸表論

◎選択必須科目…法人税法、所得税法

◎選択科目…消費税法、酒税法、相続税法、住民税、事業税、国税徴収法、固定資産税

5科目の選択例としては、簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、国税徴収法などが考えられます。

経理や会計の基礎である簿記論と財務諸表論は必須科目、そして多くの納税者が税理士に依頼する理由となる法人税と所得税のどちらかは選択科目のため勉強していますから、その意味ではどんな先生でも概ね問題ないとは思います。

しかし、あなたが個人事業者で、所得税法を勉強していない先生に顧問税理士を依頼した場合、あるいは、あなたが法人で法人税法を勉強していない先生に依頼した場合などは不都合があるかもしれません。

どちらも重要な税法なので、受験していなくとも自己研鑽は行っていると思いますが、それには個人差があるので、やはり受験科目はひとつの目安になります。確認方法は、先生に直接聞く以外になさそうです。

消費税法は、所得税や法人税とセットで勉強するはずですので、調査があっても問題ないと思いますが、心配なのは相続税です。相続専門税理士が存在することからも分かるように、相続税は難解で、申告や調査の機会も少ないので、経験の少ない先生が多く存在します。そんな先生に依頼すると、申告内容が誤っていたり、税務調査で対抗できなかったりする可能性がありますので注意が必要です。

公認会計士、弁護士は試験が免除される

税理士の先生と契約する際は、得意な税法を確認するのが良いと思います。特に不動産投資では、あなたが個人であれば、所得税に詳しい先生、法人であれば法人税に詳しい先生に依頼すると良いと思います。

税理士事務所は、先生がひとりでやっているところもありますが、複数の税理士や税理士試験受験中の方が集まっている事務所もありますし、「税理士法人」といってたくさんの先生が集まっている事務所もあります。投資規模が大きく、予算も潤沢ならば、税理士法人に依頼すると安心かもしれません。

また、先生の中には、税理士試験を受験していない、公認会計士の先生もいらっしゃいます。公認会計士試験に合格すると、普通自動車免許についてくる原付き免許のように、税理士の資格がついてくるのです。

長く税理士業務をやっているならまだしも、登録したばかりの会計士の先生には、税のスキルはほとんどないと思われます。そんな会計士さんがぼくの税務調査に立ち会われたことがありましたが、ずっとパソコンを叩いているだけで、ほとんど社長に任せていました。

質問をしても噛み合わなかったので、おそらくはじめての税務調査で右も左も上も下も向かいも斜向かいも分からなかったのだと思います。公認会計士の先生=賢い、は成立するかもしれませんが、税法に詳しいかどうかはかなり個人差があります。

ちなみに弁護士の方も税理士登録が可能ですが、こちらはほとんどいらっしゃいませんので、依頼することはないと思います。もしいれば、公認会計士の先生以上に税務に疎い可能性があります。

「OB税理士」の得手不得手

試験勉強を全くせずに税理士資格を保有できるのは「OB」と言われる先生たちです。実は、国税局に23年以上勤めると税理士になれるので、退職後に税理士になる方がたくさんいます。試験を受けて税理士になった方々と区別するために「OB税理士」という呼び方をされる先生たちです。

OBの先生たちにも得手不得手があります。例えば現役のときにずっと法人税を担当していた人と、所得税を担当していた人と、相続税と贈与税を担当していた人と、徴収を担当していた人がいて、それぞれ専門分野が異なるのです。

したがって、担当税目以外のことはほとんど分かりません。いまは、確定申告書作成ソフトの性能が良いので、よく分からなくても確定申告書は作ることができます。

税務調査において基本的な先生の役割は、どの税目でも一緒です。しかしそもそも、申告書作成の時点で判断が難しい部分に誤りがあれば、その税法の条文や通達、判例が分からないので、それを出されて対抗されると勝てない可能性があります。

ただし、OBの先生は税務調査のプロなので、調査官との擦り合わせや、現役の職員に連絡して圧力をかけられる場合がありますので、その点は、試験組の先生たちとは大きく異なります。とくに力があるのは、地方の元国税局長や国税局の部長クラスで、圧倒的なパワーとコネクションがあるようです。そういった先生は顧問料が高いですが、予算に余裕があれば依頼すると良いでしょう。

また、税理士の先生の中には、ごくまれに脱税をほう助する人たちがいます。数年前、関西の先生が脱税方法を指南してコンサル料を受けとっていた事件や、税務職員を接待して調査情報を事前に入手していた事件がありました。もし、あなたの先生がそのような方法を提案してきたら、まともな状態ではありません。あなたまで逮捕される可能性もあります。納税を忌避したくなる気持ちは理解できますが、法を逸脱しない方法で行わなければいけません。

「エセ税理士」には近づくな!

顧問料の安さを売りにして、「申告書作成代行」や「税務調査対策」を請け負うケースには注意が必要です。税理士法では、税務に関する(1)相談(2)申告書作成(3)調査立会を制限しています。税理士資格のない者は、それらができません。だからぼくもそれらを行いませんし、SNSで税務の質問をもらっても無視します。

こうした税理士さんの権利を侵害するような、エセ税理士行為は許されません。しかし、世の中にはちょっと税金に詳しいことを悪用して、税理士業務を行うグループがたくさんあります。

そういうグループに税理士業務を依頼することは、絶対にやってはいけません。金額は安いですが、税理士の先生のように勉強もしていませんし、OBのように調査の裏側を知っているわけでもないのです。そういうグループとつながりがあると分かれば、あなたも税務署や国税局に目をつけられてしまうかもしれません。

こうしたグループの人たちは税理士業務はやっていても「税理士」と名乗ることはないはずなので、税理士かどうか確認するだけでリスクを回避できます。

不動産投資を継続的に行い利益を出していくのであれば、税務や経営に詳しい先生を探し、正しい顧問料を支払って、税理士業務を依頼しましょう。

(さんきゅう倉田)