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不動産を購入すると、まれに所有した不動産の全てを自由にしていいという万能感をお持ちになる方がいらっしゃいますが、いかがなものでしょうか。

「えっ、違うの!? 所有者なんだからさ、物件を煮ようが焼こうが自由でしょ」

確かに、日本国憲法第29条第1項に「財産権は、これを侵してはならない」と規定されていますから、個人が所有する不動産をどのように処分しようが、他人が口を出す権利はありません。

ただ……

「ただ、何?」

購入した不動産は、間違いなく誰かの所有物でした。特に、土地は有史以前から存在していましたし、現在の所有者がこの世から卒業したとしても存在し続けます。

つまり、所有者として大きな顔でいられるのは、最長でも所有者が生きている間、ほんのわずかな期間であり、所有者は、くるくると変わる名札に記載された名前に過ぎないのです。

不動産の真の主役は所有者ではなく不動産自身!

この事実を、どうかご理解願いたい。

リフォームが先送りされた中古物件

「なるほど…確かに、そう言えなくもないね。で、何が言いたいの?」

大切にしていただきたい。

所有することになった不動産の価値を維持、願わくば、魅力アップしてもらいたいのです。

「まぁ、そう言われれば、そうかもね。で、それをやると何かいいことがあるの?」

売却される不動産は、旧所有者から不要物として換金に出されています。見た目は多少見られたとしても、その内実は、

・傷つき、

・弱り、

・自信を無くしています。

まぁ、当然です。売主は、資産整理や出口戦略と称し、コストを節約して売却しているのですから。当面やらなくてもいいリフォームは先送りしています。

15年前後で必要とされる大規模修繕も知らんぷりして、ババ抜きのババを購入者に押し付けようとしているのです。

そうした、

・いじけ、

・自信を無くし

・パッとしない

不動産をリフォームにより、再び人の笑い声や笑顔溢れる人気の貸家に復帰させてあげれば、鶴の恩返しならぬ「貸家の恩返し」で、兼業大家さんにも家賃を毎月振り込んでくれるのです。

不動産の命は長い

「でもさ、法定耐用年数を過ぎたような物件はさ、建て直した方がいいでしょう。そのままにしていてもリフォーム費用もかさむし、費用対効果は悪いでしょ」

それは、大きな勘違いです。不動産は適切な維持管理を施せば、その命は驚くほど長いのです。

例えば、「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」で有名な最古の木造建築物群の創建は西暦607年(築1411年)と言われていますし、京都の町屋でも築100年近いものも多数存在します。

永田町の国会議事堂は1920年(大正9年)から1936年(昭和11年)まで約17年の歳月をかけて建設され、2018年の今も堂々と存在しています。

「でも、リフォーム費は高いでしょ。築古の戸建だって当たり前に500万円とか言われそうだし。新築並みにリフォームするのだって、新築価格よりも3割前後安いだけでしょ」

まず、ご理解願いたいのは、建物の大敵は「水」だという事実です。

屋根の防水がしっかりとし、壁からの雨漏りもサッシ回りからの水漏れもなければ、建物が腐り落ちることはありません。

次に気になるのは「耐震強度」。耐震強度が新耐震基準を満たしているならば、想定される大地震であっても、崩れ落ちる危険性は低いと言えます。

そして、設備と間取りですが、貸家に要求される設備や間取りは、時代の流れにより若干変化しています。

建物は新築当時の最先端の設備や間取りを取り込んでいるものですが、その当時のまま変化しないため、時間の経過により古臭くなることもあります。人気の貸家として活躍するには、時代の要求する設備や間取りを取り込むことも必要です。

戸建て物件のポイント

「ほらぁ、やっぱりいろいろかかるんじゃない。だから、中古物件はダメなんだよ。そうじゃないの?」

確かに、さまざまな条件はございますが、1993年(平成5年)築以降の戸建であれば、

・雨漏りは屋上屋を重ねるほど防水対策を施し 

・新耐震基準を満たし

・追い炊き機能を満たしたおフロもある。

設備や間取りは現在の要求水準以上ですので、リフォーム費用は100万円以下で収まることでしょう。 

「でも、いい物件も悪い物件もあるでしょ。チェック項目とかないの?」

次の3点を気にしてみてください。

○雨漏りの有無
・天井や天袋の引き戸などに雨だれがないかどうか

・サッシ回りに雨染みがあるかどうか

・押し入れがかび臭くないかどうか

○ドアや引き戸の閉まり具合
新耐震基準以降の建物であっても、施工が悪いとどうしようもありません。ドアや引き戸の開閉がスムーズであれば、開口部の直角度が維持されていますが、そうでなければ問題があることになります。

○おフロの追い炊き機能
追い炊き機能がついている戸建であるならば、洋室の割合は5割超え(4LDKなら2室以上が洋室)が多く、間取り変更の必要性は低いでしょう。

以上のポイントをクリアした物件であれば、リフォーム費用は100万円以下となる可能性が高く、高い投資リターンを維持できることでしょう。

千里の道も一歩から…まずやるべきことは?

「ふ~ん、でもさ、何から手をつけたらいいんだろ。購入して鍵を貰って、さぁ、どうする? って、なるよね」

購入検討の段階で雨漏りの有無を確認されたと存じますが、今一度、雨漏りの有無を隅々までチェック!

次に、鍵を全て付け替えます。玄関、勝手口もすべてです。第三者が所有物件の鍵を持っている可能性をゼロにしなければなりません

その後、漏電と漏水をチェックします。管轄の電気保安協会に漏電を、水道局に漏水チェックを行ってもらいます。リフォームの最中に、漏電や漏水によるトラブルを防ぐためです。その上で、ガスや水道の開栓をしましょう。

遠方の物件の場合、何かあるたびに物件に行くことは不可能です。また、特定の不動産会社に鍵を預けると、鍵の開け閉めに労力を割いてもらわなければならず、入居募集で、他の業者の協力を得にくくなります。

ですから、キーボックスに鍵を入れておいたほうがよいでしょう。

これで、リフォーム見積もりの準備が整います。

千里の道も一歩から。リフォーム開始の一歩は、雨漏り確認、鍵の付け替え、生活インフラの開栓です。

(藤山勇司)