◎仙台…人口は減少傾向、発展に限界が見えた?

仙台市内の公示地価は、今回の発表では平均で坪当たり60万4357円、対前年比で5.68%の大幅上昇となりました。中心部である青葉区では坪当たり113万515円と対前年比で7.3%の上昇を記録。2011年の東日本大震災後に地価は大幅に下がりましたが、2014年の市内平均47万1081円をボトムに地価は上昇傾向を強めています。

仙台市は人口移動ランキングでは141.8人と地方四市では福岡市に次ぐ高水準となっています。この原因はやはり東北地方全体の衰退とそれに伴う仙台市への人口集中だと考えられます。

仙台市の人口は108万2000人ですが、2045年には92万2000人と15%も減少することが見込まれます。また札幌市と同じく若年人口割合は現在の12.5%から9.2%まで落ち込むことも予想されています。

さらに仙台市はオフィス空室率も5.8%と高く、またインバウンドも四市の中ではもっとも少ない、つまり商業系の発展には今後も限界があるということが見て取れます。

また東日本全体が今後は激しい高齢化の波にさらされることなどを考えると仙台市への不動産投資はあまり得策とは思えないというのが正直なところです。

◎広島市…人口移動は「現状維持」も、観光資源の魅力に期待

広島市は人口が119万4000人。中国地方の中心都市です。地方四市の中では現在若年人口割合が最も高い14.2%を占めます。2045年の推計でも人口は112万2000人と6.1%ほどの減少に留まるとの見方が出ているのも若年層の割合が大きいことに起因しています。

また広島市は人口移動ランキングでも地方四市で最低の120.1人と、「人の出入りの少ない」都市です。若者が比較的多いが移動もしない「現状維持」の都市と言い換えることができるかもしれません。

中国地方の都市は瀬戸内海沿岸に中小規模の市が数珠つなぎ状に並んでいて、それぞれの都市が大企業の工場などを擁し、企業城下町の色彩が強いようです。したがって広島市に人口が集中するコンパクト化を期待することにはやや無理がありそうです。

インバウンド需要は原爆関連施設のみでなく、宮島神社など瀬戸内海沿岸が今後一大観光ゾーンとなる可能性が高いだけに、「観光」という面での不動産には明るい材料の多い都市といえるでしょう。

地価は広島市平均で坪当たり76万7586円。対前年比で2.82%の小幅な伸びに留まっています。ボトムは2012年の61万9128円ですからすでに24%ほどの伸び率になっています。「出ていかない」若年需要を取り込んだ住宅系やホテル系の投資に触手が動きそうです。

◎福岡市…好条件が揃い、成長が見込まれる

福岡市は言わずと知れた九州ナンバーワンの都市です。2011年3月に博多と鹿児島間が開通した九州新幹線は、九州経済に絶大な変化をもたらしました。人口が続々、福岡市に集中したのです。そしてこの傾向はしばらく続くものと考えられます。2015年時点での福岡市の人口は153万8000人ですが、2045年には165万4000人になると予測されており、地方四市の中では唯一成長する都市になっています。

地価は市内平均で105万8659円。対前年比6.16%と大幅な伸びとなっています。中央区や博多区などの商業地では対前年比で9%以上の上昇を記録しています。原因は福岡市の経済の好調さです。福岡市は地政学的にも発展著しいアジアエリアに近く、福岡から東京に行くよりも上海のほうが近いという位置にあります。

またインバウンドも激増しています。市内のインバウンド宿泊者数は271万人泊と地方四市ではもっとも多い数値となっています。博多港には大型クルーズ船が多数寄港し、その数は年間で300回を超え日本一となっています。

また福岡空港に降り立つ外国人も年々増加しており、こうした需要を当て込んだホテルや商業施設への投資は増加傾向にあります。

市内ビジネス地区におけるオフィスビル空室率も2.73%という「貸手市場」の状態にあり、今後はアジア企業のニーズも見込めるなど明るい条件がそろっています。

さらに福岡市の強みは都市全体が常に新陳代謝していることです。人口移動ランキングでも福岡市は162.6人と地方四市の中でも飛びぬけて高い数値を示しており、人の出入りが多いことは住宅などの不動産がよく流通していることを物語っています。

このように考えてくると福岡市は住宅系、商業系ともに不動産投資にとってはチャンスが多い都市と言えるのではないでしょうか。

地方四市は、それぞれの位置するエリアのナンバーワン都市として、コンパクト化がすすむ日本では数少ない不動産投資エリアとして注目されます。総合的に見れば福岡市がもっともバランスがよく、しかも今後の成長性が期待できる都市といえるでしょう。次に、規模は小さいもののバランスが良く、今後も発展の可能性があるのが広島市、ついでオフィスやインバウンド需要を含めた道内全体の需要が見込める札幌市、東北の中心仙台市の順ではないでしょうか。

いずれにしても投資にあたっては、今回ご紹介したようなデータも含めて都市の将来性を良く調査して投資されることをおすすめします。

(牧野知弘)