今回のご相談者は、東京都にお住まいの澤井豊さんです。実践大家コラムでは「元ビジネスマン大家」としてお馴染みの澤井さん。20歳からはじめたという株式投資や証券マンとしての勤務を経て、セミリタイアしてからは不動産の収益で悠々自適な日々を過ごされています。

これまでは金融機関とのつながりが薄かったそうで、「金融機関と懇意になるには?」と相談に。さて、石原さんのアドバイスとは? 今後、不動産投資家が考えるべき「相続問題」や専業大家同士の「生活」トークにも華が咲きました。

お名前

澤井豊さん

性別

男性

自己資金

200万円

ご職業

専業大家(50歳でセミリタイア)

ご年収

約2200万円

居住地

東京都

ご自宅

戸建て(自己所有)、ローン返済済み

所有投資物件

区分12戸、RCマンション1棟(23戸)、戸建て

不動産投資経験

2010年(当時46歳)開始、約8年

相続に備え、今から準備しておくこと

澤井
長男は社会人で、娘は南アフリカに行っています。ボランティア活動を経験したいというもので。親が親なので、子供も自由に飛び回っている感じです(笑)。私は人生を後悔したくなかったので、子供達にも自分の生きたいようにさせてあげたい。今だけしかできない、この後で就職したらできないことをさせてあげたいと思っています。また、将来子供達には迷惑をかけたくないと考えており、ずばり、相続について今から準備できることがあればお聞きしたいと思いました。

石原
澤井さんは奥様を亡くされ、辛い経験がおありだと思います。僕も昨年暮れに父を亡くしました。それまで何となくイメージだけは抱いていたのですが、いざ自分が相続に直面するまで、真正面から向き合ったことがありませんでした。

何が大変かって、遺言書(財産目録)がなければ本人の財産など、いったいどこに何があるのか全くわかりません。今回は金庫の中に通帳や預金証書、生命保険証券など大切なものがしっかり保管されていたのは幸いでしたが、古い通帳など記帳されていないままで、例えば通信費や光熱費など自動引き落としが掛かっていてもどれがどれに紐付けされているのかも分かりません。

なので、まず実物資産や金融資産は何がどこにあるのか、最低限はわかるようにしておく必要がありますね。また実物資産には金やプラチナなども含まれますが、中でも所有物件の相続税評価額を把握しておくべきです。もちろん金額は時代と共に変動しますが、適切な対策を行うためにも知っておく必要があります。

あとは金融資産です。現金や預貯金、投資信託に株式。それに国債と社債に有価証券など、全般の総額と所在を明らかにしておくことです。

澤井
おっしゃる通りですね!

石原
相続税を計算する際には、上記のほかに非課税限度額を超えた生命保険金や死亡退職金を加えた全財産の相続税評価額から、借入金・未払金などの債務、葬儀費用を差し引き、まずは正味の遺産額を算出します。次にそこから基礎控除額(法定相続人の数を反映したもの)を差し引いたものが課税遺産総額になります。正味の遺産額が基礎控除以下であれば相続税はかかりません。事前に相続税が幾らくらいになるか、それともかからないのかを把握することで、打てる手もあるということです。

僕も今回の相続を経験して、一覧表にして家族がわかるようにしておかなければいけないと痛感しました。

澤井
あらかじめ「絵」を描いておくことが大事なのですね。

石原
予期せずとも、万が一ということがあり得ます。その時に残された人たちが困りますから。また、例え1世紀近くも前の出生をたどる必要が生じても困ることがないように、過去の遺産分割協議書があれば大切に保管しておきます。父の場合は、祖父母の分があったので助かりました。

Point1 遺産分割協議書

相続人同士で行う遺産分割のための話し合いを遺産分割協議という。全員が合意し、その内容を書面にしたものが遺産分割協議書となる。

石原
相続人を確定させるためには、出生から死亡までの戸籍が必要になります。相続の権利を有する人物の数を確認するための作業です。しかし戸籍法は何度も改正されていて、また焼失したりなど古くなるほど集めるのも大変になります。引っ越しが多かったりするとなおさらです。

実際に相続人同士で不動産を分割する場合ですが、相続税の算出で使用した相続税評価額ではなくて、「時価」で判断するケースも多いようです。相続人が多ければ多いほど、しっかり整理しておかなければ、後々に揉めることになります。

資産管理の一環として、個人で持っている物件を法人に移して、その株式を計画的に子供達に贈与していくやり方があります。

法人の設立や維持にはお金がかかります。さらに、不動産の所有権を移転すれば取得費や登記費用にもお金がかかる。

しかし、一定ラインを超えて所得が大きくなると、個人の所得税率よりも、法人の税率が低ければ、トータルで有利になる。そうやって不動産を法人で所有して、法人の役員にお子様を入れておくという方法もあります。さらには、子供達が出資して設立した会社なら、株価の上昇も気になりませんよね。

税理士に確認すれば、それぞれのケースで相応しい形が見つかると思います。法人なら、生命保険も経費になりますしね。

金融機関と懇意になるための方法とは?

澤井
これまですべて不動産会社を通して銀行のローンを付けてもらいました。なので、銀行と直接やり取りをしたことがなく、懇意にしている金融機関がありません。その銀行でも、連絡をするたびに担当の方が替わっているような状態です。懇意にもなれません。

石原
例えば、生活口座を糸口にします。給与振込や光熱費の引き落とし、カード決済を懇意にしていきたい銀行へ集中してあげるとすごく喜ばれますよ。僕の取引先では銀行員のポイント制になっていて、公共料金の引き落とし1点につき50ポイントなど決まっています。そのポイントが多いと、彼らにもメリットがあるわけです。

石原
僕は海外にいながらも、日本の金融機関と懇意にさせていただいています。5年固定の特約付きアパートローン(特約期間が終了した時点で、改めて変動金利型か固定金利特約型かを選択できる)があったのですが、去年の11月に再固定の契約をするために帰国しました。やはり金利がすごく下がりましたよ。3分の1は下げてもらいました。

澤井
すごいですね!

石原
ありがたい話です。毎月の支払いがかなり違ってきますから。ただ、心掛けている事として、金融機関が不安にならないようきちんと報告することにしています。毎年確定申告書の提出を求められますが、これとは別に海外送金をお願いするタイミングなど機会があるごとに入居状況や空室対策、さらに海外の資産状況についてもお伝えしています。他の投資家さんですと、お正月やクリスマスに手書きのカードを送っている人もいます。

また、先方が受け取りやすいように「ご家族で召し上がってください!」というくらいのお土産を渡している人もいます。女性ではお手紙を必ず書くと言っている人もいました。ものすごい勢いで融資を拡大している方のやり方は、4半期ごとに税理士に試算表を出してもらい、それを銀行から頼まれていなくとも届けているそうです。試算表を持参して説明をするんですね。

澤井
4半期ごと…大変ではないでしょうか?

石原
顧問税理士ですから、お願いすれば協力してくれます。その手間以上の効果があるのでしょうね。どれほど自分が安定した貸出先なのかをアピールする。そのような戦略的な方もいらっしゃいました。

澤井さんもご経験されている通り、金融機関の担当者は何年かすれば替わります。それに支店長が替われば融資の方針も変わるのは当然です。そうは言っても、関係性自体は引き継がれていくものですから、やらないよりはやったほうがいい。

澤井
「私はお金を貸しても大丈夫な人間ですよ!」とアピールしなければダメなんですね。

石原
澤井さんは人当たりが素晴らしいですし、対面のコミュニケーションも得意なのではないですか? 一方、そのようなことが苦手なタイプの方も多いです。管理会社へお話をしに行くにも、理論的には「これとこれを話せばいい!」と理解しているけれど、それ以外の会話の「間」の持たせ方や、雑談が全くできない人もいらっしゃいますから。

専業大家さんの生活パターンは?

澤井
石原さんはどのような生活パターンでお過ごしなのでしょうか? 私の遥か先を進んでいる石原さんが、毎日をどのように過ごされているのか興味がありまして(笑)。

石原
それではお話させていただきます(笑)。澤井さんも健康面に配慮されていると思いますが、僕も気をつけておりまして。しかし10日前、日本から帰るとき、ぎっくり腰になり大変な思いをしました。スーツケースを持つ角度が変だったのか、急に腰を痛めてしまったんです。普段はスポーツジムに通っており、これは20代からの習慣です。

澤井
ジムに通うのは楽しいものですか?

石原
もう生活の一部になっており、汗を流さないと不健康になっていくようで気持ち悪いんです。ちょっとした強迫観念ですね(笑)。血液を足元から全身へ巡らせることにより汗をかき、発汗した分、水を飲む。新陳代謝を促せば少しでも長生きできるかなと。

何もせず時間を過ごすことができない性分で、かつては分刻みに人と会う約束を入れていました。それなりに会社経営も順調で忙しかったのですが、寿命を削るような生き方だと常々感じていました。

ですが、アメリカで暮らしはじめてからというもの、仕事環境が一変しました。当然ですが日本の取引先とは直接会うことはなくなって、スカイプや電話、メールに置き換わりました。それに近所にはお酒を飲みに出歩ける場所がありません。こちらでは会社よりも「家族が第一!」という人が周りに多いです。今では自宅を含めてお酒をほとんど飲んでいません。

澤井
アメリカならではの生活などはありますか?

石原
僕の住んでいるところはとても暑く、1年のうち120日間くらいは泳げるんです。念願だったプール付きの家に住むことができたので、昼でも夜でも好きな時に泳いでいます。一方、寒い季節になると、日本の温泉をしのびつつ、星空を見上げながらジャクジーに浸かるのも楽しみの一つです。

また、自然環境に恵まれていて、山歩きなど親しんでいます。実はここは国立公園の宝庫で、勢いで年間パスポートも購入してしまいました。まだ子供が小さいので、暇を見つけては小旅行を兼ねて楽しむようにしています。

澤井
素晴らしい暮らしぶりですね!

石原
あとは生活に時間のゆとりができると、資格の取得を考えますね。去年はカリフォルニア州の宅建免許を取りました。アメリカで不動産投資をしていますので、そのあたりの知識を蓄えたかったんです。プロとして情報にアクセスできる立場になれば、もっと活躍の場も広がるでしょうから。

澤井さんも、すでにサラリーマンをリタイアされ、今ではアパート収入のみで生活されているのですね。

澤井
基本的に毎日やるべきことがありませんから家でブログを書いたり、テレビを見たり、家事をして日々を過ごしています。趣味の旅行も月に一度は行っており、昨年は6回も海外旅行へ行きました。

石原さんの生活ぶりを知ることができて、参考になりました。今日はありがとうございました。私もいずれは外国で暮らしてみたいです。それほど資産の規模を増やすつもりもありませんが、子供たちがそれぞれ結婚し独立して、私の手から完全に離れるまで日本でがんばろうと思いました!

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対談を終えて…石原氏よりメッセージ

「しなければならないことが無い生活」に入って4年目となる澤井さん。子の幸せを願ってやまない優しい父親であり、気が向くまま日本や世界をめぐる旅人でもあるとか。肩肘張らない今の生活スタイルがとても気に入っているそうで、すべて不動産のおかげと伺いました。

彼の投資スタイルは、地方都市で展開する利回り重視型。8年前から始めた不動産は一定の規模に到達すると、そこから自己資本率の充実に舵を切りました。居心地の良い規模感とそのメリットなど、共感ポイントがたくさんありました。改めて投資手法の正解は人それぞれ、唯一無二の答えなどないことを実感いたします。

子供達の完全な独立を見届けた暁には、海外に居住して異国生活を存分に楽しみたいと言います。時には小舟を浮かべ、時には名所旧跡を巡り、あるいは旧友を訪ね歩く生活…不動産投資を手段と位置付けて、時間に支配されない生き方に尊敬の念は深まるばかりです。素敵なお話を本当にありがとうございました!

(石原博光)