画像投稿型SNS「Pinterest」 PHOTO: iStock.com/MoreISO

こんにちは。IT大家の佐藤です。

前回はだいぶ大上段に構えてしまったのですが、今回から数回にわたり、大家さんが知っていると便利なのでは? と私が勝手に思っている具体的なサービスと活用法を「大家さんテック」としてご紹介していきたいと思います。

今回は、気に入った画像を気軽に保存/共有できる画像投稿型のSNSサービス「Pinterest」を活用したデザインリフォーム術について紹介したいと思います。

私は決してデザインのセンスがある方ではないのですが、Pinterestをうまく活用できるようになってから、物件のデザインやリフォームなどを考える時間が楽しくなりました。近隣物件と差別化した物件づくりにも役立っています。

「Pinterest」ってどんなサービス?

Pinterestは2010年に公開され、月間2億人が利用している世界的に人気の高いサービスです。インターネット上のWebサイト、あるいはPinterest上にある画像を自分のボードに集めることができる画像収集サービスで、いわば「Web上の画像専用スクラップブック」といえる存在です。 

「Pinterest」の検索結果画面。気に入った画像をスクラップブックのように収集できる

2012年には楽天が1億ドルを出資して話題になったのですが、日本ではなぜかあまり流行らないまま、デザイナーなど一部の職種の方が仕事上で使うのを見かける程度です。

このPinterest、見ていただくと一目でわかるのですが、ありとあらゆるジャンルの画像が集まっていて、息を飲むような美しい写真やセンスの良い画像がいくらでも検索・収集できるようになっています。

ユーザーはPinterestを見ていて気に入った画像を見つけたら、気軽に「ピン」(いいね!のような行動)して、自分のページにある「ピンボード」(フォルダのようなもの)に集めていきます。また、Pinterestの外にある、一般的なWebサイト上で公開されている画像も同様に「ピン」してボードに集めることができます。ボードはテーマごとにいくつでも作ることができ、それぞれ公開範囲を決められるので、全体に公開したり、限られた人と共有したり、自分だけで楽しんだりできます。

なかでも特に人気があるジャンルのひとつが「住まい・インテリア」と言われていて、キーワード検索するとほぼ無限にハイセンスな写真が表示されていきます。そしてPinterestの最強に便利なところが、選んだ画像を元に、似た画像を大量にレコメンドしてくれる点です。気に入った画像をクリックすると、それを起点に似たような画像を精度よく次々と表示していくので、延々と探し続けることができます。

単純に目的のものを探すだけでなく、探せば探すほど、想定していなかった新しい気づきやインスピレーションを与え続けてくれるため、気がつくと小一時間は平気で過ぎてしまう危険なサイトでもあるのです…。

「仕上げ」のアイデアを膨らまし、共有できる

では、このPinterestを賃貸運営でどのように活かせるか、私の具体例をお伝えします。

以前、私が鎌倉エリアで新築アパートを建設した際の話ですが、想定したターゲットの好みから考えて、いくつか仕様や内装でこだわりたい部分がありました。

この物件では、鎌倉駅徒歩圏に住むある程度の高所得者を入居者として想定していました。また海や山に近いことから、アウトドアなどアクティブな趣味を持ち、趣味道具にこだわる方が多いだろうと考えていました。そこで、玄関を大きめの土間スペースにして自転車やサーフィンボードを置けるスペースにしたり、室内階段の壁面を階段一体型の飾り棚にしたりなど、自分の趣味道具を置けるスペースを用意したいと考えたのです。

特に階段一体型の飾り棚は、入居希望者の内覧時にもインパクトを与えられそうなアイデアだなと感じたので、どんな仕様があり得そうか、色々とアイデアを膨らませて比較検討したいと考えました。

ところが、インテリア雑誌や書籍、あるいはGoogle画像検索で探しても、なかなかピンとくるものが見つかりません。元々頭の中にイメージしているアイデアはあるのですが、言葉だけで設計士さんや工務店の方と仕上げイメージをすり合わせるのはかなり難しいなと思っていたこともあり、少し困っていました。

その時にふと、Pinterestを思い出して検索してみたのです。そうしたら…、「これは良い!!」と思える具体例が次々に見つかり、さらにそれらをピンしていくことで芋づる式に色々なアイデアも収集でき、1時間くらいで、おおよそ考えられそうな階段一体棚のアイデアを膨らますことができたのです。

Pinterestの検索結果

普通にGoogleで画像検索しても、なかなかこれだと思うものが出てこない「階段一体棚」の事例でしたが、Pinterestではこれでもかというほどにたくさん出てきて、色々な設置方法を比較検討することができました。そして、これらの画像を収集した「ボード」に関係者を招待し、自由に見られるようにしてイメージを的確に共有し、概算でいくらくらいかかりそうかの話までをスムーズにすることができました。

コスト的にもそこまで大規模にかけることができなかったので、結果としてはIKEAで買ってきた棚受けを使い、階段の踏み面と棚面の高さをあわせる仕様にしました。そして壁に等間隔に棚を設置していき、一部屋3万円くらいの費用で済ませました。それでも重層長屋形式だとどうしても生まれてしまう殺風景な階段部分を、入居者にとってお気に入りのスペースに変えることができたかなと思いました。

実際の物件の内部。ただの移動空間になりがちな階段スペースでも、棚を設けることで付加価値が生まれる

同じ仕様の棚をキッチンの背面にもさりげなく設置した

他にも、どこかの壁一面に足場板(工事現場で足場として使う木製の板材)を使ったアクセントウォールを設けたいと考えていたのですが、足場板の色々な使い方や仕上がりの方向性について、Pinterestで探しながらイメージを膨らませていきました。

Pinterestの検索結果

こちらが実際の仕上がりですが、玄関土間の質感と相性がよさそうだったので、天井高まで足場板を貼り詰めたアクセントウォールを玄関脇に設置しました。また釘の打ち付けなども自由にしてよいことにして、土間部分も含めてDIY的に自由に使ってもらうようにしました。

足場板を貼った玄関脇のアクセントウォール

居室部分の床はタモの無垢材を使っているのですが、それとはまた違う質感の足場材を活用することで生活空間に多様な素材を持ち込み、表情豊かな部屋にすることができました。

インテリア写真の投稿写真アプリの「RoomClip」なども似たような使い方はできるのですが、Pinterestはセンスの良い写真が圧倒的に大量なのと、検索とレコメンドの精度に優れているように感じます。

センス良いリフォームをしたいときに便利!

活用方法がイメージ頂けましたでしょうか。Pinterestをうまく活用することで、下記2点がしやすくなります。

(1)住まいに関するアイデアを手軽に収集し、比較検討することができる

(2)アイデアの内容や仕上がりイメージなど、関係者とスムーズに共有ができる

これらのうち(1)に関しては、新築の例以外にも、例えば中古物件の各種リフォームを検討する場面で、

・古いキッチンをあまりコストかけずにリメイクしたい

・築古物件の押入れを、書斎スペースとしてリメイクしたい

・外観の配色の組み合わせを検討したい。海外の家の配色も参考にしたい

など、最初にキーワードをいくつか入れてみながら探し、レコメンドされる画像を雑誌を眺めるように見ていくだけです。30分もすれば自分では考えもつかなかったようなアイデアがボードを埋め尽くしていると思います。

手軽に自分の想定以上のリフォームアイデアを集めることができるので、部分的なデザインリフォームで差別化を図りたい時などに試してみてください。

また(2)の「アイデアの内容や仕上がりイメージなど、関係者とスムースに共有ができる」についても結構重要だと考えています。リフォームを行うときにイメージのすり合わせができずに残念なデザインになってしまった…ということ、時々発生してしまうと思います。

そのようなときは往々にして、言葉だけでイメージのすり合わせを終わらせていることが多いので、このようなサービスを活用し、関係者と画像レベルできちんとすり合わせをしていくことで、意図しないリフォームの仕上がりを避けることができるようになります。

賃貸住宅に付加価値要素は必要か?

補足ですが、必ずしも賃貸住宅にデザイン要素などの付加価値要素を加えていくのが正しいとは限りません。どのようなエリアやターゲットを狙っていくかで大きく変わってくるとは思います(郊外築古低家賃の物件であれば、清潔でシンプルな内装が一番ですよね)。

ですので、そのようなエリアで、オーナー側の思い込み好みをゴリ押ししたリフォームをするのは得策ではありません。ターゲットの間口を狭めすぎてしまい、付加価値をつけるどころか空室が長引く原因にもなります。

ただ一方で、これから全国的に部屋が余っていく時代、やはり入居者を誘因できるような差別要素が重要になっていくことも事実です。

もちろん、単純に家賃を下げることでも誘因できるとは思いますが、戦術としては難易度が低いため、多くのプレイヤーがその戦い方になると早晩、資本がモノをいう世界になっていくだろうと考えています。

つまり「地域最安値戦略」は、大資本ファンドや再生系が得意なギガ大家さんなどが有利な戦場になっていくのではないかなと考えています。(上記は自分自身が過去、実際に郊外の築古高利回り物件を複数棟運営し、感じていたことでした)。

なので、資本が脆弱なプレイヤーでも競争力を保つための1要素として、市場やターゲットをよく見定めたうえでの付加価値戦略(今回の場合はデザインや素材感)は各自が積極的に考え試行錯誤していくべきと考えています。

入居者側が参加できる「余白」を設置しておく

ちなみに鎌倉の物件では、テイストの好き嫌いで間口が狭まらないよう、部屋づくりにおいて大事にしていた考えが1つあります。それは、入居者さんがその部屋づくりに「参加」できるような「余白」を複数個所に設置しておくことです。例えば、今回例にあげた鎌倉のアパートでいえば、

・自転車2台は置くことができる広めの土間スペース
・自由に釘を打ったり棚をつけたりできるアクセントウォール
・好きなものを飾れる階段棚
・伝言やイラストなど自由に描ける黒板(台所)

などの部分になります。

テイストを決めてしまうとそれに合わない人を遠ざけてしまうため、テイストはあまり絞らず、ただ入居者が使い勝手が良いように「編集」したいなと思える箇所をいくつか設置しておく。そのことで入居者が住まいへの関与を高め、愛着を持つことで、長く住んでくれることを期待しています。

上記の戦略が奏功したのか、こちらの物件では入居者退去のたびに賃料を5000円UPさせ、退去日になる前には次の入居者から必ず申込みを頂戴しています。この物件、土地は古家付きとして長い間ネットに掲載されていたものですし、建築費は地盤整備や外構なども全部込みで坪単価70万弱程度とかかりましたが、それでも結果として利回り10%を超えることができました。これは自分なりにこのエリアで付加価値を感じられる賃貸住宅づくりにこだわった結果なのかなと考えています。

この話は設備や間取りだけに限らないですが、またどこかでお話できればと思います。

画像:Pinterestピンタレスト)

(IT大家の佐藤)