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2018年5月、大手不動産会社「レオパレス21」(以下レオパレス)は、同社が開発、販売した物件の一部で、建物の延焼防止などのために設置されるべき「界壁」の施工がされていない可能性があると発表した。同社は来年6月までに3万7000棟以上の物件を調査するとしており、今も調査は続けられている。

一方、この違法建築騒動とは別に、レオパレスの物件では「壁が薄く、隣の部屋の音が聞こえてくる」などのうわさも耳にする。「安物建築」は本当なのか? その実態をさまざまな角度から検証した。

ビー玉が勢いよく転がる家

関西地方で、レオパレスが施工した物件に住む男性Aさん。今年4月ごろから彼が住む家は「床が傾いている」という。

さっそくAさんの住む物件に訪れてみると、確かに傾きが感じられる。傾斜の緩い坂道に立っているような感覚だ。水平器で確認しても、気泡は中心からかなりズレがあるのが見て取れた。ビー玉を床に置いてみると、ビー玉は玄関側へかなりのスピードで転がっていく。

ビー玉を置いてみると、傾いた方向へと勢いよく転がった

水平であれば気泡は2つの二重線の真ん中に来るはずだが、ここでは床が傾いているため、右に寄っていることがわかる

Aさんは「寝に帰るだけなので、そこまで支障はない」と話すが、問題はそれだけではないとも。

「入居して2週間くらいたった時でしょうか、クローゼットの中に、ナメクジが何匹もいたんです。よく見ると、床と壁との間に隙間が空いていて、そこから入ってきているみたいでした」

管理会社の担当者が、その隙間を漆喰で埋める応急処置を行ってからはナメクジの侵入は止まったというが、そのときの恐怖から今でもクローゼットの扉は開けっ放し、荷物も入れられないままでいる。

床と壁の間にあった1センチメートル以上の隙間。現在は漆喰で応急処置がされているが、隙間があったことがわかる。この部屋は1階にあるが、床下の土にいたナメクジが入ってきたのか

界壁の問題については、現在住んでいる物件は該当のシリーズではなかったものの、入居者の立場から「まずは本当に手抜き工事だったのか、それが知りたいです」と語った。

傾きの原因は「床下の施工不良」か

Aさんの物件では、床と壁の間、天井と壁の間、扉と枠の間、玄関のドアなど、さまざまな箇所に隙間が見られた。

ドアと枠との間に隙間があり、写真では右にいくにつれその隙間が広がっている

廊下とリビングとの間のドアや、クローゼットの扉にもズレが生じるなど、多くの歪みがあるように感じられたが、原因はなんだろうか。

「建築Gメンの会」理事長の大川照夫さんにこの物件を撮影した動画を見てもらったところ、「少なくとも1階の住戸に関しては、床下に構造上の問題が起きている可能性があります」という。

大川さんによると、隙間や傾きの原因として考えられる点はいくつかある。例えば、床を構成する部材に問題があるケースや、床下の土間コンクリート、あるいは床を支える部材の「束」が割れてしまっているケース、土を締め固める工程である「転圧」が不十分で、束や土間コンクリートが土に沈んでしまっているケースだ。

つまり、床下できちんと床を支えられず、床の傾きはもちろん、それに引っ張られる形で壁も斜めになってしまっており、隙間やズレが生じているということである。

最悪のケースとして建物自体が傾いて沈下していることも考えられるが、外観に大きな異常が見当たらなかったことから、「可能性はないとは言えないが、低い」と大川さんは見ている。

いずれにしても、大川さんはこの物件を「施工不良の可能性が高い」と指摘した。

期限切れの火災報知器

もう1人、仕事の関係で、これまで3つのレオパレス物件に住んできたというBさんにも話を聞いた。

「壁が薄い」など、レオパレス物件にまつわるうわさはもとから耳にしていたというBさん。「最初に仕事の研修でレオパレスに住む、ということが分かったときには、会社の同期の間で話題にはなりました」と話す。

1つ目に住んだのは関東地方のレオパレス物件。2017年ごろのことだ。2003年築で、ロフト付きの間取りだった。実家を出て初めての一人暮らし、その家が「よい」のか「悪い」のか、特に考えることもないまま住み始めたというが、この物件でまず問題が起きた。

「ロフトスペースで寝ていたんですが、座って頭がつくかつかないか、というところに天井があり、そこに火災報知器がついていたんです。ところがこの火災報知器、寝起きに触れると、誤作動を起こしてしまっていたんです」(Bさん)

火災報知器は、触れただけで反応するものではない。おかしいと思ったBさんが消防職員に調査してもらったところ、その火災報知器が「2002年製」ということがわかった。誤作動の原因が期限が切れていることと直接関係があるかどうかはわからなかった。だが、いずれにしても期限切れのままにしていた管理は問題だ。

「消防の方が言うには、火災報知器は10年ごとに交換のはずだそうです。にもかかわらず、どうしてこうなっているのか…と疑問を持ち始めました」