「TATERU」のホームページから

アパート経営プラットフォーム事業などで急成長を続ける「TATERU」(東京都)の社員が今年5月、投資用アパートの融資にあたり、オーナーの預金残高を改ざんして金融機関に提出していたことが分かった。TATERUの代理人弁護士がオーナー側代理人の加藤博太郎弁護士に対し、社員による改ざんがあった事実を認めた。加藤弁護士は以前から不適切融資が横行していた可能性があるとみて、実態調査を進めている。

残高が少なくても「問題ない」

加藤弁護士によると、都内在住のAさん(50代男性)は今年3月、TATERUに資料請求し、4月に名古屋市の新築木造アパートの提案を受けた。物件は1LDK×9戸で、価格は1億1800万円。利回りは6.42%という説明だった。

融資については西京銀行東京ローンセンターから金利2.55%・35年で1億1300万円、別の金融機関から残りの融資を受ける計画で、「自己資金が実質ゼロ円で経営できる」という説明を受けた。Aさんは手付金50万円を支払い、土地売買契約と工事請負契約を締結した。

5月10日、AさんはTATERUの担当者から「振り込み用の銀行口座を知りたいので、ネットバンクの履歴データをいただきたい」という連絡を受けた。当時の残高は22万9067円のみだったため、担当者に「預金残高が少ない」と伝えたが、担当者は「それで問題ない」と返答。Aさんは22万9067円の残高のスクリーンショットを送り、同月28日、担当者から融資承認が下りたという連絡が入った。

TATERUの担当者からAさんに届いたメッセージ。「ネットバンキングの場合はスクリーンショットで大丈夫です」と伝えている(一部を加工しています)

その後、Aさんはスルガ銀行の不適切融資に関する報道を受け、「自分も改ざんされているのではないか」という疑いを持ち、6月25日に東京ローンセンターに連絡。TATERUの担当者が提出した預金残高のエビデンスをメールで取り寄せたところ、「22万9067円」が「622万9067円」に改ざんされていたことが発覚した。

(上)AさんがTATERUの担当者に提出した残高のコピー(下)TATERUの担当者が金額を改ざんして西京銀行に提出した残高のコピー(一部を加工しています)

TATERUが締結した契約書によると、契約解除に伴う違約金は代金の10%に設定されており、Aさんは契約に基づき代金の10%にあたる違約金約1200万円の支払いを要求。TATERU側は7月3日、土地売買契約書の手付解除に関する条項に基づき、手付金50万円の倍額100万円をAさんの口座に振り込み、売買契約は解除された。

TATERU側代理人「残高水増しあった」

Aさんから相談を受けた加藤弁護士は8月15日、TATERU側の代理人弁護士に書面を送り、改ざんの事実関係について質問。TATERU側の代理人弁護士は同月24日に書面で回答し、「社員が残高を水増しし、西京銀行に融資審査を申請した」と認めた。そのうえで、「残高水増しは社員が単独で行ったものであり、西京銀行側との共謀の事実は認められなかった」とした。


TATERU側の代理人弁護士の回答書面。社員が預金残高を改ざんした事実を認めている(一部を加工しています)

Aさんが紹介された物件は満室時の月間家賃収入が58万円で、月の返済額は約40万円、管理料などを抜いた手残りは12万円という想定。加藤弁護士は「2室空けば手出しが発生するような物件で、預金が20万円しかなければすぐに破綻してしまう。極めて危険な投資を顧客に勧めていたことになる」と指摘する。

改ざんがあった今年5月は、スルガ銀行の不適切融資問題で各銀行がエビデンスのチェックを厳格化していた時期。加藤弁護士は「西京銀行側が改ざんを把握していたかどうかは分からない」としたうえで、「本来であれば預金通帳の原本確認をするべきであって、それを怠っていたことは問題がある」とみている。

「急成長」のその裏で

TATERUはアプリやWEBなどでアパート経営ができるワンストップサービスを展開し、同社ホームページによると会員数は14万人、管理戸数は1万8000戸に上る。売上高は右肩上がりで、2017年12月期は前年同期比76.8%増の670億円に上った。

一方、西京銀行も2018年3月期連結決算の当期純利益は前期比2.8%増の42億4700万円で7期連続の増益となり、過去最高を更新。アパートローンなど賃貸向け物件への融資で成長を続けており、貸出金残高は1兆1015億円に上る。

加藤弁護士は「TATERUの融資の大半は西京銀行だったという情報があり、両者がタッグを組んで同様の不適切融資を繰り返していた可能性もある」と指摘。「急成長の裏で、自己資金の少ないオーナーを狙った不適切融資が横行していたのだとすれば、『第二のスルガ』のような問題に発展するかもしれません」

楽待新聞編集部の取材に対し、TATERUは「現在詳細を調査中」と回答。西京銀行は「この件で改ざんがあったことは把握しているが、詳しい経緯は分からない」と説明し、原本確認の有無などに関しては「個別の事案なので答えられない」とした。

(楽待新聞編集部・金澤徹)

 

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