楽待コラムニストとしてお馴染みの安藤新之助さんは現在、都市銀行・地方銀行・信用金庫など、全9行もの金融機関と取引。借入総額は16億円、所有する10物件の金利は3年~10年固定で、0.6%~1.3%と驚きの条件での借り入れに成功しています。

そんな安藤さんが、自身の経験を基に出版した書籍『NOをYESに変える「不動産投資」最強融資術』には、実際に取引をしている銀行の現役支店長が登場。今回は書籍出版と連動して、楽待新聞でも「初めての融資をサポートする」新企画を始動します。企画のスタートに先立ち、書籍にも登場した支店長と安藤さんにお越しいただきました。

T支店長

中部地方にある某金融機関の現役支店長。23年のキャリアを持つ。

安藤さんの著書にも、「某金融機関の現役支店長コラム」として登場。現役の支店長しか語れない、「リアルな金融機関の視点」をお話いただきます。

衝撃の出会い

安藤
T支店長、今日は企画へのご協力ありがとうございます。思い返せばTさんとのお付き合いもけっこう長くなりましたね。御行とは以前からお付き合いがありましたが、Tさんに初めてお会いしたのは5年ほど前だったでしょうか?

T支店長
前任の者から私に担当を引き継いだ時ですね。確か決算報告にいらっしゃった時です。その日、初めて安藤さんの決算報告書を見せていただきましたが、あそこまで密度が高く、上手くまとまった資料は見たことがありませんでした。

その後、別の物件で私が担当した際も、資料の出来はまさに完璧で、「こんな方がいるんだ」と驚いたことを今も覚えています。

―銀行に初めて融資相談に来る投資家さんは通常、どんな資料をお持ちになるのでしょうか?

T支店長
相続税対策でアパートを建てる、いわゆる地主さんが主ですので、事業計画をアパートメーカーさんにすべてお任せしているケースが目立ちますね。計画書について質問をしても明確な答えが返ってこず、計画自体を理解されているのか疑問を感じることも多々あります。

安藤さんのように銀行側の視点に立って作られた資料をお持ちになる方は本当に珍しいですよ。

安藤
私も初めての時は似たようなものでしたよ。持ち込む資料と言えば、不動産業者からの物件資料と登記簿謄本、固定資産税評価証明書、そして融資申込書くらいのものでしたから。他に何が必要なのかも分からず、「あとは何を用意すればいいですか?」と逆に質問していたくらいです(笑)。今思えば完全に準備不足でしたね。

1棟目の購入は2008年7月、ちょうどサブプライムローンの問題が話題になって融資が厳しくなっていた頃でした。それもあってか、1年くらいの間立て続けに融資を断られていて、正直かなり苦戦していました。

―その後、何を、どのように改善して融資を獲得できたのでしょうか?

安藤
たくさんの銀行を回る中で、金融機関の方から聞かれる内容に共通点があることに気付いたんです。「どんな目的があって賃貸経営事業に参入したいのか?」「資産背景は?」「相続資産は?」などは、どこへ行っても質問される項目。それならば、先に自分からすべて開示した方がスムーズだろうと考えました。

それを書面に落とし込んでA4用紙にまとめる――。これが私の資料作りの原点になりました。その後も必要な情報をさらに肉付けしていき、今では1冊の資料が7ページほどになっています。

資産背景を一覧で示したページ。現金や既存の保有不動産のほか、自分に万一のことがあった場合、保険でどのくらい補填できるかまで開示している(※クリックで拡大)

資金計画についてまとめたページ。物件の特徴も合わせて紹介する。家賃相場は周辺の仲介会社等に複数ヒアリングをし、客観性と説得力を持たせている(※クリックで拡大)

物件の概要をまとめたページ。外観写真や構造種別、築年数などの基本情報に加え、担保評価に必要な路線価も記載。左の表にはこの物件を運営した際の想定CFと、それに必要な借り入れ条件の希望も一覧できる(※クリックで拡大)

T支店長
こうした分かりやすくて詳細な資料があると、銀行側のメリットも大きいんです。私たち銀行員は本部決済を得るための稟議書を作成します。必要な項目は「なぜ融資を受けたいのか」「自己資金はいくら用意があるのか」「物件から駅までの距離、間取り、周辺環境」など多岐に渡ります。

もちろん、独自に調査をして裏を取ることは欠かせませんが、知りたい情報が1つの資料にまとまっていると話が早く、大変ありがたい。

稟議書に書く内容は面談の際にすべてヒアリングするのが理想ですが、途中でふと気になる事がどうしても出てきます。そうなると再び本人に確認を取らなければなりません。安藤さんのようにまとまった資料を用意していただけると、その手間を省くことができます。投資家さんにとっても物件購入はスピード勝負でしょうから、お互いにメリットがあると思います。

安藤
この資料が一冊あれば、私のことをすべて知ってもらえる、そういう意識で作っています。口頭だと、こちらが伝えたつもりでも伝わってないとか、担当者に伝えても上席の方に伝わっていない、といったことがどうしても起こる。その点、この資料があれば、そういうことがなくなります。

担当の方が本部に掛け合う時も、この資料を一緒に持っていってもらえば本部にも伝わりやすい。私は都銀、地銀、信金の9行で取引していますが、どの銀行の本部からもお墨付きをもらっています。融資の内諾後、担当者から「この資料がかなり効きました」と言っていただきました。

決算書半分、人半分

―稟議書には他にどのような項目を盛り込むのでしょう?

T支店長
決算書はとても重要です。直近3期の業績はどうか、またこれから先の見通しはどうか、などを重視しています。仮に過去の業績が芳しくなかったとしても、現在は満室に改善しているなら今期は黒字になるだろう、という風に本部を納得させる材料になります。

あとは、中には派手なお客様もいらっしゃって、株に投資していたり、ゴルフ会員権をやたらと買っていたり…(笑)。そういう細かい部分から、人格的にどんな方なのかを推し量ることもありますね。

―数字だけでなく人格も見ていらっしゃるのですね。

T支店長
あくまで私の場合ですが、入行して間もない頃、先輩に「決算書半分、人半分」と教わりました。そこへいくと安藤さんの資料は、ご自身のプロフィールを詳細に書かれている点が素晴らしいですね。我々も人間なので、やはりお客様の人格を完全に無視することはできません。

最後は人と人の付き合い。その方の人格は、どこまで信用できるかを判断する1つのポイントになります。それに私たちも、お付き合いをするのならやっぱり腹を割って話したいですから。

安藤
プロフィールでは、自分の過去の経歴を全部見せるように意識しています。生年月日から始まり、持っている法人の名前、保有物件の詳細、売却の実績、取引金融機関名、サラリーマンとしての実績などです。

あとはプライベートの趣味や、「毎月のお小遣いは3万円」など細かい内容も書いています。これは経済観念をしっかり持っている、というアピールになります。家族構成については、自分だけでなく配偶者の家族構成まで記載しています。将来相続が発生した場合、資産がどのように移動するかが一目で分かります。

T支店長が絶賛するプロフィールのページ。基本情報に加え、家系図や免許証の写真も記載(※クリックで拡大)

銀行だって「貸したい」

―支店長のおっしゃるように、安藤さんの資料には銀行の視点が盛り込まれています。こうした銀行視点に気付いたきっかけは何だったのでしょうか?

安藤
私たち投資家が「融資を受けたい」と考えるのと同じで、本来は銀行も「貸したい」という気持ちを持っているはずなんです。融資を断られるのは、「貸したいのに貸せない理由」がこちら側にあるはず。こういう考え方を持ち始めてから、融資の相談が上手くまとまるようになりました。

たとえば個人情報1つ聞き出すにしてもすごく気を使います。でもそれは必要なことだから聞いているわけです。だったら最初から包み隠さず、書類に落とし込めばいいんじゃないかと。

T支店長
その通りだと思います。その人がいくらの資産を持っていて、いくら借りているかといった資産状況はいずれ必要になる情報ですが、デリケートな内容なので開示したがらない方も少なくありません。後ろめたい借り入れとか、金融資産をちょっとごまかしたりとか。そこをしっかり開示してくれる方は「信頼できる」と感じ、話がスムーズになりますね。

安藤
資料ですべてを開示するようになってからは、成否に関わらず結果が出るのが早くなりました。資料にすべてを詰め込めば、たとえ結果がダメでも納得できるし、諦めもつく。次頑張ろうという気持ちになれるんです。これで精神的にもかなり楽になりましたね。

―自分にとって不利な情報はつい隠したくなりませんか?

安藤
気持ちは分かります(笑)。でも、それをやってしまうと次につながらないんですよ。ネガティブな情報もちゃんと伝えていれば、信用となって自分に返ってくると私は思っています。

以前、ある支店長から「ネガティブな情報も事前に言ってくれれば、貸し手として何かお手伝いできないかと一緒に考えられる。だからきちんと話してほしい」と言われたことがあります。

T支店長
我々としても、ギリギリになって急にネガティブな情報を伝えられるとやはりいい気はしませんね。最初から言ってもらえれば問題を一緒に解決することも可能ですし、ネガティブな情報を開示したうえで、それに対して「自分はこうして解決するつもりだ」という計画があれば安心できます。

たとえば既存の所有物件のマイナスを補填するために新たな物件を買いたい、といったケースなら、既存物件の入居率が悪い原因と、入居率を上げるための施策を具体的に話していただきたい。ちゃんとした道筋を描けていたら安心できます。逆にそのあたりの考えがない方は心配です。新たに物件を買っても、本当に運営できるのか疑ってしまいます。

この先バッターボックスに立てるのは?

―最後に、現在の銀行の融資姿勢について教えてください。

安藤
いろいろな銀行を回る時、たいていそういった話になるのですが、スルガ銀行の問題の影響で、不動産への融資そのものに対するネガティブな空気というのは確かにあるようです。

しかし一方で、ちゃんとした人にはちゃんと融資したい、という考えは各行に共通しているように感じます。サラリーマンの不動産投資に対してはどの銀行も消極的かもしれませんが、これは私が投資を始めた2008年もまったく同じでした。

重要なのは、単に「不労所得がほしい」など、投資・投機として不動産を捉えるのではなく、なぜ賃貸事業をやりたいのか、そして将来のビジョンが語れること。そうしたプレゼンができれば、今でも十分、融資のチャンスはあると思います。

T支店長
スルガ銀行の件を受けて不動産への融資を急激に引き締めたといった事実は、少なくとも当行ではありません。当行に限らず、金融機関サイドではどちらかというと、過剰なノルマやパワハラといった内情がクローズアップされているのではないでしょうか。どの金融機関でもノルマやそれに対する圧力は当然あると思いますが、最近は若干、本部の圧力が下がったというか、緩くなった印象はありますね。

融資については、安藤さんがおっしゃった通りです。今までは素人がバッターボックスに立てて、金融機関のサポートでヒットも打てたような状況がありましたが、これからはそういったことはなくなるでしょう。それでも、きちんとした計画を立て、それをしっかりプレゼンすれば、ちゃんと融資は受けられます。これから投資を始めるサラリーマンの方にも十分に可能性はあるはずです。

安藤
今、サラリーマン投資家に対する融資環境は逆風ではありますが、ぜひこれをポジティブにとらえていただきたい。以前のようにガンガン融資が受けられる状況ではない分、プレイヤーは減ることになりますから、それに伴って良い物件も出てくるかもしれません。逆に拡大のチャンスと捉えることもできるのです。

今回の企画では、これから賃貸事業を始める方を応援していきます。初めての融資で不安な方、十分な計画を立てたけど間違っているか心配な方など、どんどんご応募ください! お待ちしています!

初めての融資、背中を押してほしい方大募集

「金融機関に相談に行きたいが、何を聞かれるかがわからない…」「どう会話すればいいか不安」という皆様。

融資獲得アドバイザー・安藤さんが、実際に融資を受けるまでをサポートします。事業計画書の添削や、実際に金融機関に行く前の模擬面談などを行います。

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(聞き手・楽待新聞編集部)