購入に値する物件と出合った際、不動産会社があっせんする銀行が特別になければ、自身で金融機関を探すことになります。しかし面談時に、物件の良さを十分にアピールできないまま終わってしまった、という方も多いのではないでしょうか。
そこで本企画の第1回目では、現役支店長との模擬面談の様子をお届けします。楽待スタッフが「購入を検討している物件がある」という体で、面談に挑みます。その様子を別室で見ていた、融資獲得アドバイザー・安藤さんのアドバイスは?
<登場人物>
T支店長
中部地方にある某金融機関の現役支店長。23年のキャリアを持つ。安藤さんの著書にも、「某金融機関の現役支店長コラム」として登場。今回は、融資相談のアポイントを取ってきたサラリーマン投資家に、どう対応するのかを再現してもらう。
楽待スタッフ
年収700万円、妻(年収400万円)・子1人、不動産投資に使用できる貯金は800万円、という設定で面談に挑戦する。初めての融資を獲得するために面談に臨む「新人サラリーマン投資家」を演じる。
安藤新之助さん
都市銀行・地方銀行・信用金庫など、全9行もの金融機関と取引。借入総額は16億円、所有する10物件の金利は3年~10年固定で、0.6%~1.3%。本企画では「融資獲得アドバイザー」としてアドバイスをする。
<相談する物件概要>
物件価格 |
5250万円 |
所在地 |
千葉県松戸市 |
物件種別 |
アパート |
年間家賃収入 |
519.6万円 |
利回り |
9.9% |
築年数 |
30年 |
間取り |
2LDK×2戸、3DK×6戸 |
融資を相談をするのは、上記の築古アパートです(※実在する物件ではありません)。
T支店長は、初めての面談時にどのような問いかけをしてくるのでしょうか? 面談の様子をほぼノーカットでお届けします。
安藤さんがNGを出した3つの受け答え
<将来のビジョン>

不動産事業をしようと思ったきっかけは?

将来安定した収入を得たかったからです。株など他にも手段はあると思うんですけど、いろいろ本を読む中で不動産投資が自分に向いてそうだなと思いました。

物件を購入した後の、将来的な構想はどうお考えですか?

できれば脱サラといいますか、会社に所属しなくても不動産だけで生活していけるというのが理想かなと思っています。
NG理由と回答例
「リタイアして楽にお金を得たいんだ」という気持ちが見えてしまっています。これではダメです。金融機関は「不動産投資」に融資するのではなく、「不動産賃貸事業」に融資をします。そのため、面談では「経営者としての資質」を見られていることを意識しましょう。同じ意味合いでも例えば、以下のように受け答えすることで相手への印象が変わります。

退職後も生涯現役で活躍していくために、今から始めたいと考えています。不動産賃貸事業はアウトソーシングできるシステムが確立しています。関係者の皆さんとコミュニケーションを取りながら、収支管理・マネジメントをすれば、副業としてもきっちり運営できます。また、部屋を提供することで、将来にわたって社会貢献をしていきたいという思いがあります。
<物件の出口>

実際にこの物件を買ったとして、将来にわたってずっと持ち続ける予定ですか? それとも途中で売却して、というお考えですか?

もし売却益が出そうな状況だったら、売却も考えたいと思っています。
NG理由と回答例
金融機関は基本的に長期で融資したいと考えているので、返済途中の売却に対して良い印象を持ちません。上手く運営して完済してほしいというのが本音です。

将来にわたって所有し続ける予定です。上手く運営できれば、2棟目・3棟目と買い進めていきたいと考えています。
ただ万が一の時は、御行にご迷惑をおかけしないよう、売却を視野に入れます。この物件は3年所有すれば、売却の利益で残債を清算することができるのでご安心ください。
<入居付け>

満室をいかに維持していくかがポイントになってくると思いますが、そのための対策はどのようにお考えですか?

もし空室が出てきたら、例えばリフォームをして他の物件と差別化することで、競争力を上げて満室経営を目指そうと思っています。

例えば、入居が半分になった時はどうされますか?

そこは自分で努力しながら、客付会社さんにも頑張っていただくことかなと思います。あるいは家賃を若干値下げして、ということもあるかもしれないですが…。
NG理由と回答例
埋まらなかった時のことを聞かれているのに「努力します」では答えになっていません。銀行は「模範解答」が知りたいのではなく、埋めるまでのシナリオや具体的な数字を知りたいのです。

もし全空になっても、1年はなんとか耐えられるキャッシュがあります。その間、家賃を1割下げて半年以内に満室になれば回すことができます。周辺の客付会社さん3社にも、家賃を1割下げればスピード感を持って埋められると聞いています。
T支店長から聞かれたこと一覧
相談者について
・現在勤めているか
・結婚しているか、妻は勤めているか、子どもはいるか・何歳か
・妻も納得して相談に来たか
・居住地はどこか、賃貸か・持ち家か、今後住宅を購入する予定はあるか
・借り入れはあるか(住宅ローン、マイカーローンなど)
・不動産賃貸業をしようと思ったきっかけは
・大きい負債を抱えることに不安はないか
・なぜ当行に来たのか
・他の金融機関に打診をしたか
・いつまでに回答すれば良いか
物件について
・エリアや駅徒歩などの物件概要は
・現在空室はあるか
・現地に物件を見に行ったか、見に行った印象は
・物件の良さはどこか
・周辺の環境は
・現所有者の売却理由は
・買い付けは何件入っているか
・諸経費はいくらか
・路線価はいくらか
シミュレーションについて
・融資条件はどのように考えているか(頭金割合・金利・融資期間など)
・その条件にした理由や根拠
・何戸空室になると返済が窮屈になるか
・税引き後キャッシュフローはいくらか
・今後金利が上昇する可能性があるが、どう考えているか
投資戦略について
・物件を所有することに対する将来的な構想は(脱サラが目標であれば、その明確な理由)
・満室を長期に維持するための対策は(努力で埋まらなかったらどうするか)
・人口減少に伴いアパートの需要も減少する可能性があるが、どうカバーしていくか
・物件を将来にわたって所有し続ける予定か、売却する予定か
◇
模擬面談を終えて、楽待スタッフは「あくまで『ロールプレイング』だったにもかかわらず、想像以上に緊張感がありました。回答を用意できていないところには、ことごとく突っ込まれるんだなと…」と脱力。
安藤さんも「主体性を持って話ができていなかったこと、自分の意見としてしっかり回答ができていなかったことが問題だった」と総括しました。面談の当日に何を聞かれても、資料を見ずに答えられるくらい事前準備をしておくことが重要です。
模擬面談をしてみたい方大募集
「金融機関に相談に行きたいが、何を聞かれるかがわからない…」「どう会話すればいいか不安」という皆様。
融資獲得アドバイザー・安藤さんが、実際に融資を受けるまでをサポートします。事業計画書の添削を行ったり、今回のように、実際に金融機関に行く前の模擬面談などを行います。
応募方法
Step1 書籍を購入する
書籍『NOをYESに変える「不動産投資」最強融資術』を
オンラインもしくは書店にてご購入ください。
Step2 応募する
書籍の感想と一緒に応募フォームからご応募ください。
※楽待スタッフの属性情報は実際とは異なります。また本物件は実在いたしません。
※今回は楽待スタッフが「知識がない設定」で模擬面談をしています。
(楽待新聞編集部)
この連載について
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全7話
「金融機関に相談に行きたいが、何を聞かれるかがわからない…」「どう会話すればいいか不安」とお悩みの方を、融資獲得アドバイザー・安藤さんがサポートする企画。
事業計画書の添削や、金融機関に行く前の模擬面談などを行った後、実際に融資を受けるところまで追っていく予定です。
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