ガラボロ物件投資家としてお馴染み・広之内友輝さんが、空室で悩める全国の大家さんのもとへ突撃する企画。今回は番外編です!

本企画の第1回目で、楽待スタッフ・馬場の物件を訪れてから早1年。広之内さんからいろいろなアドバイスをしてもらい、運営状況は改善したのでしょうか? 聞いてみると、なんと「売りに出している」という驚きの展開に…。一体何があったのでしょうか!?

広之内さんがダメ出し! さらに「売却」のポイントは?

 

購入後1年で、なぜ売却!?

広之内
お久しぶりです! 1年前に戸建てを見に行ったのが懐かしいですね~! リフォームにはトータルでいくら掛けましたか?

馬場
30万円くらいです。業者さんにはほぼ依頼せずに、私と妻の父親と2人で頑張りました。広之内さんからのアドバイスをもとに、ウェルカムボードを手作りしたり、外に花壇を置いたりもして。客付会社さんにもしっかり営業をしたら、すぐに入居が半年間付いたんですよ!

広之内
おぉ~! それは良かった! でも半年間だけだったんですね?

馬場
はい。マイホームを新築する間の仮住まいとして借りたい、という意向だったので、定期借家で貸したんです。家賃は5万5000円でした。退去後も5万円で募集していましたが、ずっと入居が付いていません…。

広之内
じゃあ、一応リフォーム費は回収できた感じですね。賃貸と売却の2つの選択肢があったと思いますが、どうして売却を?

馬場
生活の環境が変わったのが一番大きいです。私自身、新居を建てるために引っ越しまして。物件まで30分ほどの距離だったのが、2時間掛けないと行けない距離になってしまったんです。物件まで通って修繕して…というのが手間になってしまったのが本音です。だったら一度現金化してから、近い場所で買い替えるのもアリかなと。

広之内
これは、サラリーマン大家の課題ですよね。働きながらだと、どうしても億劫になってしまう。それでも「続けてほしい」という思いはありますけどね。せっかく手を掛けてきた物件ですし。家賃が月5万円だとしても、1年で60万円。5~6年で回収可能なので。

馬場
たしかに通帳を見て、毎月家賃が入ってくるのにはすごく感動しました!

広之内
でしょう。まぁ仕方ないという事情も分かるので…今回は売却をメインにお話します!

「売りに出して、もう値下げしてしまった」

広之内
売却する時の「値付け」って、すごく難しいんですよ。不動産は相対取引で、値付けに正解はないので。馬場さんは実際、どう考えましたか?

馬場
不動産会社さん2社に査定を依頼しました。今回は査定額が高かった2社目に、専属専任で依頼しています。

1社目:300~320万円

地場で管理シェアが大きい不動産会社で、戸建てを探している投資家を複数名抱えている。「だいたい利回り20%の目線で、価格は300万円前後ですね」といった経験値からの査定額を電話で話してきた。

2社目:550~880万円

居住用をメインで売買している不動産会社。実勢価格からの計算で、査定額を提示してもらった。査定書の作成や連絡がとても丁寧。

広之内
一括で査定してもらって、高い不動産会社に売却依頼する、というやり方はいいですね。私も売却の際、楽待さんの査定サービスを2回使いました! 実際にこの査定額を提示されて、どう思いましたか?

馬場
価格に幅がありすぎるなと…。1社目はなんとなく妥当な値付けに感じましたが、2社目はだいぶ強気の印象でした。「本当に売れるのか?」っていう。

広之内
でも、まずは2社目に依頼してみたんですね。ちなみにいくらで売りに出したんですか?

馬場
699万円です。「700万円だとネットの条件で引っかかりづらい」という理由で、先方の提案で1万円引きました。

広之内
なるほどね。ところで、すでに値引きしちゃったって噂も聞いたけど…(笑)。

馬場
はい、引いちゃいました…。媒介契約を結んでから2週間後、反響が1件もないと聞いて「やっぱりな」と。ちょっと欲を出しすぎたかなと思って、490万円に…。

広之内
それは、誰がどう決めたんですか?

馬場
私から「下げます」と言いました。不動産会社さんからは「もうちょっと様子を見ましょう」と言われたんですけど、別の不動産会社の友達に聞いたら「多分値下げしてほしいと思っているはずだよ」と言われて。

そのことをあらためて不動産会社さんに伝えたら「490万円とか590万円とかなら、もう少し反響が期待できる」と。なので「490万円」にしちゃいました。

広之内
とくに根拠もなく決めちゃった?

馬場
はい…。私が290万円で買ってるから、300万円くらいかなと。それでも利益が出ちゃっているな、という罪悪感(笑)。高く売り過ぎちゃうとな~っていう。

広之内
先ほども言ったように不動産は相対取引なので、罪悪感を持つ必要なんてないですよ。常に「大切な財産を売るんだ」という気持ちでいないと。思い出の物件ですから。それでも儲けることに後ろめたさがあるなら、次の投資をすればいい。日本の経済を発展させることに繋がるわけですから。経済の発展に寄与したんだ、という自負を持って取り組んでほしいですね。

ちょっとした交渉テクニック

広之内
ちなみになんですけど、不動産取引は「言ったもん負け」なんですよ(笑)。だから、これからは値下げする時は、「いや~多少下げてもいいんですけど、どれくらいまで下げたら動いてくれますかね?」って聞いたほうがいいですよ。

馬場
相手に言わせるわけですね?

広之内
そうです。向こうの言う条件が、こっちが考えるより高い価格の時もあるんです。逆に、こっちが言った価格が安すぎても「そんなに安くしなくていいですよ」とは言われないんです。言っちゃったら「じゃあそれで」ってなるんですよ。

例えば今回の場合、不動産会社から「490万円とか590万円とかなら」と言われたら、「うーん…大変ですけど、590万円ならなんとか…」とか、悩んでいる風に返しますね。心の中では「300万円でもいい」と思っていても、です。あとは「1カ月くらいで決められる自信あります?」とか期限を聞いちゃう。そうすると、「全力で頑張ります」とか言ってくれるんですよ。

そうすると、相手に「言った責任」が生じるので、自然と動いてくれるようになります。実際にそのやり方で、自分の物件だけA0の大きいポスターにしてくれてたり、超おすすめ物件にしてくれたりしました。

馬場
そうなんですね…。完全に自分から言っちゃいました。はぁ~…先走っちゃったかな。

広之内
先方も490万円まで下げようとは思っていなかったと思いますよ。そもそも、最初の査定額の「550万円~880万円」をすでに下回ってる(笑)。「なんのために査定したんだ!?」ってなりません? そのくらいの意気込みでいかないと。「このオーナーさん、結構値段下げても大丈夫だな」と思われちゃうと、「じゃあもっと下げましょう」ってなっていっちゃうんですよ。

馬場
それにハマっちゃってますね…。

「売値」を決める3つの方法

広之内
売れないからどんどん値段を下げる…というのを防ぐために、自分である程度物件の価値を押さえておきましょう。「売値」は、この3つの方法で検討します。

1.原価法
不動産の再調達原価をもとに試算する方法

2.取引価格
近隣の類似物件の取引価格をもとに試算する方法

3.収益還元法(直接還元法)
近隣の類似物件の利回り(還元利回り)をもとに試算する方法

馬場さんの物件の場合、法定耐用年数を過ぎているので、建物の価値は0円です。土地値から解体費を差し引くので、1の原価法だと土地値以下にしかなりません。

2の取引価格は、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」で調べます。土地面積や間取りなどで類似物件を見てみると、平米単価3万円くらい。馬場さんの物件は土地面積100平米なので、約300万円と考えられますよね。

最後に収益還元法。B社は「利回り20%」って言ってましたよね? 本当に20%じゃないと売れないですかね?

馬場
うーん…。不動産会社さん曰く、そのくらいで見る人が多いとのことだったんで…。

広之内
このエリアだと、楽待では利回り何%で出てました?

馬場
…見てないです。

広之内
えーー!!! ちょっと、楽待スタッフさん!? 私だって売る時楽待さん見てるのに…。じゃあ一緒に見てみましょう。このエリアの戸建てだと…(PCで検索する)利回り10%前後ですよね。この値段で売れるかは分かりませんし、指値が入る可能性はありますけど、利回り20%にしなくても売れる可能性はありますよね。

馬場
そうなると、B社からは利回り20%で「300~320万円」って提示されましたけど、例えば利回り15%で売るとしたら、400万円になりますね!

広之内
さらに言うと、今は家賃5万円で考えてますけど、5万5000円で貸し出した実績があるので、それで考えてほしいって言ってみてください。そうすると、利回り15%だと440万円になります。

馬場
1カ月数千円しか違わないのに、売却価格にすごく影響しますね。

広之内
そうなんです。だから、例えば空室があるなら思い切りリフォームして、敢えて5000円でもいいから家賃を上げて入居付けしてもいいですよね。

馬場
なるほど! こう考えると「だいたいこの金額なら売れるかな」という目安が分かってきますね。

広之内
自分の中で売却価格の基準を持っておけば、いたずらに不動産会社や買主の都合で値下げしてしまうことも避けられるし、足元を見られる心配がなくなります。例えば「下げてくれ」と言われたら、「いいんですけど、周辺の取引価格から見ても最低300万円では売ってもらいたいですよね」とか「収益還元法で考えているので、400万円は一つの基準なんですよね」と言えば、説得力が増しますよね。

ズルズルと出てきた楽待スタッフの「本音」

馬場
今回、私は売却を選択しましたが、広之内さんだったらどうしていましたか?

広之内
私なら入居募集しながら、並行して「売れたらラッキー」くらいの価格で売りに出しておくかも。

馬場
なるほど…。なんだか広之内さんと話してたら「売るのがもったいないかな」って思えてきました。築年数がどんなに経っても、底値で300万円では売れると考えると、ちょっと家賃を下げてでも入居させておいたほうが、最終的に利益を確定した時に儲かりますもんね。

広之内
そうそう。「とりあえず100万円くらい稼ごうかな」とかって思うでしょう? それでいいんだわ。4万円台なら貸せるでしょう。なんでしなかったの?

馬場
新築で自宅建てちゃったんで、キャッシュがすごい減っちゃったんですよ…。別に現金化して何かするってわけじゃないですけど、なんとなく不安だっていうのが先立っちゃって。

広之内
入居付けしてさ、そこで得たお金で義理のお父さんに、御礼の旅行とかプレゼントしたら喜ぶんじゃない?

馬場
そうですね…。売るって言ったら悲しい顔してましたもん。でも、物件まで2時間通うのはどうですか…?

広之内
だって通わなくていいでしょ、もう(笑)。通って何するのさ!

馬場
そうなんですけど…。管理会社さんにも挨拶したりとか…。

広之内
てか管理会社に依頼しなくても、自主管理でいいでしょう。入居付けは頑張ったほうがいいけど。チラシのポスティングとかは面倒だから、新聞折り込みとかやればいいんじゃない? おそらく3万部とかなら、10万円くらいだと思うよ。20万円くらいかければ、十分入居付くんじゃない?

馬場
もっと頑張ったほうがいいかな…。

広之内
これは私の感覚ですけど、売るにしても500万円くらいで売れるかなーって思っちゃう。だから550万円で売りに出しておいて、指値されて500万円くらいかなって考えると思います。だって、いろいろ手間掛かったでしょう? 200万円くらい儲けないと。なんぼ引いたって450万円は絶対。それ以上じゃないと売らない。

馬場
あぁ~~~…撤回しようかな(笑)。でも同時並行で入居付けして大丈夫ですかね?

広之内
「入居付けもしていいかい?」って不動産会社さんに聞いてみるといいよ。物件空けておいて傷むと困るし、とか理由付けて。値下げもして、やることやったんだし、その代わり、という感じで。もしそれで「ダメ」って言われたら、そのまま任せる。機会損失させてまで売ろうとしている証拠だから「じゃあお願いね」と。

馬場
自信がなければ、そこまで言わないですもんね。

広之内
そうですよ! 馬場さん自身の飛躍のためにも、ぜひ頑張ってください。

広之内流「売却」テクニック

その1
売却価格は「原価法」「取引事例」「収益還元法」で考えるべし

その2
値段の交渉が入った時は、売れる値段を相手(不動産会社)に言わせるべし

その3
満室にする、家賃を上げるなどして、売却価格を向上させるべし