賃貸物件を自らの手でリフォームしたいという方のためにお届けする「大家さんのための実践DIY」。講師は、株式会社ユナイテッドファシリティーズ代表取締役の上野厚氏。職人歴20年というプロの技を動画と記事で伝授する。

 今回は、DIY初心者でも挑戦しやすいという「フロアタイルに張り替え」だ。

フロアタイルに張り替え

手軽度:★★★★☆

(+)単純な作業のため、高度な技術がなくても簡単に張ることができる。

(±)作業に慣れるまでは、6畳の部屋を仕上げるのに半日~1日かかる。


節約度:★★★★☆

(+)フロアタイルをインターネットやホームセンターで購入すると、材料費は1畳あたり約5000円。一方、業者に依頼すると材料費と工賃を含め1畳あたり8000円となるため、その差額、約3000円が節約できる。

(±)フロアタイル以外にも、専用の糊や工具を揃える必要があり、それらの道具だけでも約2万2000円かかるので、費用対効果が下がる。


バリューアップ度:★★★☆☆

(+)見た目の質感が良くなるだけでなく、クッションフロアやシート状の床材と比べて、耐久性が格段にアップする。

(-)塩ビ製のため、熱に弱い。また、クッションフロアと比較して目地が多いので、水が浸入しやすい。

フロアタイルの張り替え方法をしっかり解説

1 床材を準備する

1 部屋の大きさを採寸する

フロアタイルを張りたい床の縦と横の長さをメジャーで計測する。メジャーを前方の壁にぶつかるまで伸ばした後、後方の壁にもぶつかるまで伸ばして計測する。

■ポイント

メジャーで測る方法の他に、レーザーで距離を測る機械もある(3000~5000円)。起点から終点にレーザーを当ててボタンを押すだけで、ミリ単位の数値まで計測することができる。メジャーでは計測しづらい広いリビングなどを計測する際におすすめ。


2 必要なフロアタイルの枚数を算出する

床の縦と横の長さを測ったら、必要なフロアタイルの枚数を計算する。縦の長さが344cm、横の長さが240cmの床で考えてみる。

◎床の広さ

(縦)344cm ×(横)240cm

◎フロアタイル1枚の大きさ 

(縦)90cm ×(横)15cm

◎必要な枚数

(縦)344cm ÷ 90cm = 3.8枚≒4枚

(横)240cm ÷ 15cm = 16枚

つまり、この場合だと(縦)4枚 ×(横)16枚 =(合計)64枚のフロアタイルが必要となる。


3 床材を準備する

住居の室内に使われる床材は主に「フローリング」、「フロアタイル」、「クッションフロア」の3種類がある。

床材

材料費(1畳あたり)

施工費の目安(1畳あたり)

耐久性

フローリング

約6000~2万円

約10万円

フロアタイル

約5000円

約8000円

クッションフロア

約4000円

約6000円

2 既存の床材を剥がす

1 以下の道具を準備する

床材に切れ目を入れるための「カッター」(約500円~)、切れ目を入れた部分の端をつまむための「ニッパー」(約100円~)を準備する。また、付着した巾木を剥がすための「スクレーパー」(約300円~)、剥がす際にスクレーパーを叩くための「ハンマー」(約500円~)を準備する。


2 巾木を剥がす

スクレーパーとハンマーを使って剥がす。スクレーパーを壁と巾木が固着している部分にはめ込み、ハンマーでスクレーパーを叩く。


3 既存の床材を剥がす

カッターで細かく切れ目を入れ、切れ目を入れた部分の端をニッパーでつまんで剥がしていく。

■ポイント

床材を一度に剥がすのは難しいため、DIY初心者の場合は少しずつ剥がすと良い。作業に慣れてきて大きく剥がす際は、腰に負担がかからないよう、腕の力ではなく身体の上下運動を使って剥がす。

初心者だと6畳分の床材を剥がすのに約1時間かかる。


4 残った床材を処理する

床材を剥がした後、床材の一部(粘着部分の紙など)が残ってしまうことがあるので、スクレーパーでこそぎ落としていく。

■ポイント

床材の下が合板の場合、糊が固着していると合板の表面も一緒に剥がれてしまうことがあり、ダメージを受けやすい。合板を補修する方法は、段差ができてしまった部分に補修材を埋め込み、ヤスリで平らになるように削る。

補修作業はDIYで可能だが、業者に依頼する場合は、小傷2~3箇所につき3~4万円かかる。

3 フロアタイルを張る場所を決める

1 墨つぼ(約2000円~)を準備する

墨つぼは、作業に必要な線などを床や壁などに表示するための道具。墨を内蔵するための「タンク」と、墨を含ませて材料に線を引くための「墨糸」、材料に刺して墨糸の端を固定するための針、「猿子(さるこ)」で構成されている。


2 線を引く場所を決める

フロアタイルを張る際、部屋の中心あたりに垂直に交わる基準線を引く(黄色の点線)。2本の線が交差した部分から張り始めると見栄えが良い。そのために線を引きたい箇所に「×」印を付けておく。

「×」は線を引く前の印、黄色の点線は墨つぼを使って引いた線

■ポイント1

フロアタイルを張る前に、上図のようなイメージをしておくと作業しやすい。

■ポイント2

今回の物件の場合、横方向へはフロアタイル16枚ちょうどで張ることができるが、湾曲している壁の場合、壁際に隙間が空いてしまう。そのため、壁際がフロアタイルの半分で張り終えるように基準線を引くと良い。また同様に、壁際のフロアタイルを切り落とす部分が細くなりすぎる場合なども、基準線を中心から少しずらして、切りやすい位置に調整する。


3 線を引く

墨つぼを使って、上図の黄色の点線のように線を引く。まず「×」印を付けた箇所に「猿子」を刺す。その後、墨糸を反対側の壁の「×」印まで引き出し、墨出し器本体を床に当てる。墨糸がピンと張った状態になったら、指でつまんで弾く。

■ポイント1

墨つぼで線を引く方法の他に、「レーザー墨出し器」で線を表示させる方法もある。縦線・横線の2本線が現れるものもあれば(約2万円~)、1本のみ表示させる簡易的なものもある(5000円~)。

■ポイント2

初心者が床に線を引く作業をすると、採寸も含めて約30分かかる。

4 糊を塗る

部屋の端から糊を塗っていく。糊を床に直接出し、ヘラを使って伸ばす。部屋の角から先に塗り、その後、糊のかたまりを扇状に広げていく。

■ポイント1

ヘラの内側のみに糊が付くようにすると綺麗に塗れる。

■ポイント2

ヘラは寝かせすぎず、70~80度くらいの角度で作業をすると、糊を塗り広げやすい。ヘラを直角にすると床を傷つけてしまうことがあるので注意する。

ポイント3

初心者が作業をする場合、6畳あたり約1時間かかる。

 

スペース的に、作業ができるギリギリの箇所まで糊を塗ったら、向きを変える。塗っている途中の糊を集めて、塗りたい箇所の端から再び塗っていく。その後、先ほどと同様に糊を扇状に塗り広げていく。

余った糊は通常、容器に戻すが、ゴミや汚れが混在してしまった場合は処分する。床に糊を塗り終わったら10分程度乾かしてから、フロアタイルを張る。

5 フロアタイルを張る

1 以下の道具を準備する

フロアタイルを切断するときに使用する「カッター」、フロアタイルの切断面を整えるための「かんな」(約2000円~)を準備する。

フロアタイルの大きさを調整する際に使用する「当て木」は、フロアタイルを購入する際に同梱されている、同じサイズの木材を使用するとよい。

2列目以降のフロアタイルを張る際、場所の目安を立てるための「差し金」(約300円~)があると、作業がしやすくなる。


2 フロアタイル(1枚目)を張る

先ほど墨出しした線に合わせてフロアタイルを1枚張る。

■ポイント 

フロアタイルの裏に記載されている矢印は、フロアタイルを張る方向を揃えるために記載されている。方向を揃えた方が完成した時に見栄えが良い。


3 フロアタイル(2枚目)を張る

2枚目のフロアタイルを以下の箇所に貼りたいが、以下のようにはみ出てしまう。その部分を先に切り落とす。

まず、切断したいフロアタイルを、1枚目に張ったものの上に重ねる。2枚目にフロアタイルを張りたい場所に当て木を置き、重なった箇所にカッターで切れ目を入れる(以下のように重なった部分が、はみ出た部分と同じ大きさになる)。カッターで切れ目を入れた部分を手で折る。折った箇所をカッターで切断する。

切断面はザラザラしているので、かんなで2回ほど削る。その後、フロアタイルの底面を約45度の角度で1回ほど削るとはめ込みやすくなる。

■ポイント1

フロアタイルにカッターで切れ目を入れる際、すでに張ってあるものを傷つけないように注意する。

■ポイント2

フロアタイルをはめ込む際、大きさが合わない場合は、かんなで削って調整する。

 

3枚目、4枚目も同様に張り、1列目を完成させる。


4 フロアタイル(2列目)を張る

1列目に張ったものから位置をずらすと見栄えが良い。1枚目に張ったフロアタイルの半分の位置から張り始める。

同様の手順で張り進めていく。最後の列は、部屋の大きさによっては、フロアタイルの縦と横の両方を切り落として長さを調整する。


5 巾木を貼る

巾木とは、床と壁がぶつかる部分に設置される建築部材のことで、汚れたり、壊れたりしやすい壁の下部を保護するために設置されている。


(1)以下の道具を準備する

初心者でも扱いやすい「ソフト巾木」(90cmで約800円~)は、ホームセンターやネットで購入することができる。今回は一般的な住宅で使用される、高さ6cm、「Rあり」のものを使用する。

■ポイント

ソフト巾木には「Rあり」と「Rなし」がある。「Rあり」のものは、巾木の下部が反っているため、ゴミや埃の侵入を防ぐことが可能。「Rなし」のものは、巾木が反っておらず、主に絨毯やカーペットの施工時に使用する。

 

また、部屋の角を綺麗に貼るために、巾木を柔らかくするための「ドライヤー」、巾木を壁に密着させるための「ローラー」を準備する。

「ソフト巾木専用糊」は、ホームセンターで3kgあたり約3000円程度で購入可能。専用の糊ベラは、糊に付属されていることが多いので、そちらを使用する。


(2)壁に糊を塗る

巾木貼り専用の糊とヘラで、壁に糊を均一に塗っていく。板のような平たいものに、使う分だけの糊を移すと作業しやすい。あまり糊を塗りすぎるとソフト巾木を貼った際に、はみ出ることがあるので注意する。糊が塗れたら、10分程度乾かす。


(3)巾木を貼る

糊に沿って巾木を貼っていく。「Rあり」の場合、反っている箇所が下になるように、上下の向きをよく確認してから貼る。巾木を無理に引っ張りながら貼っていくと、時間が経過した際に隙間が発生してしまうので注意する。

部屋の「入隅(凹になっている角)」や「出隅(凸になっている角)」の部分は、ソフト巾木をドライヤーで温めると、曲げやすくなり貼りやすい。 

全ての箇所に貼り終えたら、巾木と壁と密着させるためにローラーをかける。

上野氏の提言

フロアタイルは耐久性と価格のバランスが非常に良いので、賃貸物件におすすめのリフォームです。

また、フロアタイルには様々な色や柄があります。フローリングにも見える木目調、高級感のある大理石の石目調が特に人気です。

最近では、畳をイメージした畳調のものもあります。心地よいクッション性や消臭抗菌などの機能性をプラスしたものも販売されているので、部屋の使用目的や入居者のターゲットに合わせて選択するとよいでしょう。

講師:上野厚(うえの・あつし)

株式会社ユナイテッドファシリティーズ代表取締役。信託銀行系不動産会社勤務の後、J-REITのファンドマネジャーとして投資案件のストラクチャー構築とアクイジション業務に従事し、通算投資実績は300億円を超える。
現在は居住用の投資物件(特に築年数が経過して利回りの低下した物件)をメインに、空室対策コンサルティング及び再生とバリューアップの事業を全国的に展開中。

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