PHOTO: iStock.com/NanoStockk
楽待では四半期に1度、楽待の掲載物件情報をもとに投資用不動産の市場動向レポートを発表している。本企画では、その市場動向レポートのデータを活用し、現在の投資用不動産のトレンドを地域別に解説していきたい。第1回となる今回は2013年7-9月期~2018年7-9期のデータを対象に、東京都を取り上げる。
一棟アパート・一棟マンションの物件価格は上昇傾向から脱したものの、区分マンションは依然上昇を続けており、2018年7-9月期には過去最高を記録した。表面利回りでは、すべての物件種別で下落傾向が落ち着き、低い水準での横ばいが続いている。
区分マンションの物件価格が上昇している背景として、金融機関による融資引き締めの影響が考えられる。一棟物件は買い手を選ぶが、区分マンションならば比較的融資がつきやすい。そのため、区分マンションの購入を検討する投資家が増えており、需要の高まりから物件価格が上昇していると推測される。
「一棟アパート」の物件価格はわずかに下落
一棟アパートの物件価格は2017年10-12月期まで上昇を続け、過去最高の11,933万円を記録した。しかし、2018年1-3月期からわずかに下落傾向にあり、2018年7-9月期では前年同期比‐290万となった。築年数別に見ると、築10年以内の物件価格の上昇が最も顕著になっており、逆に築30年以降の物件では大きな変化が見られない。
表面利回りは、2017年7-9月期まで下落を続けていたが、そこからは横ばいが続いている。また、全国と比較すると表面利回りの下落率は高く、都内の一棟アパートへの買い意欲の高さがうかがえる。築年数別に見ると、2013年7-9月期からすべての築年数で表面利回りの低下が見られる。
「一棟マンション」の利回りは低水準が続く
物件価格は2018年4-6月期まで上昇を続け、過去最高の29,918万円を記録し、2018年7-9月期には若干下落したものの高水準にとどまる。築年数別に見ると、一棟アパートの傾向とは異なり築30年以降の物件でも物件価格は上昇している。
表面利回りは、一棟アパートと同じく2017年7-9月期まで下落を続けていたが、そこからは低水準が続く。築年数別に見ると、下落率はどの築年数も同程度で推移している。
「区分マンション」の物件価格は上昇傾向
物件価格は一棟アパートや一棟マンションとは異なり、上昇傾向は依然続いている。全国では上昇に一服感はあるものの東京都では上昇しており、東京都の区分マンションは未だ需要が高まっていると言える。築年数別で見ても、すべての築年数で物件価格は上昇基調にある。
表面利回りを見ると、2017年7-9月期で下落傾向が止まり、横ばいが続いている。しかし、物件価格の上昇基調は続いているため、ここから下落する可能性は拭えない。築年数別に見ると、築20年以降の物件の下落が顕著に表れている。
◇
今回は東京都の投資用不動産の動向を物件種別ごとに紹介した。今後、融資引き締めの影響から、一棟アパートと一棟マンションの価格は下落し、表面利回りは上昇するという見方もあり、引き続き動向が注目される。
※本記事に使用した「投資用不動産の市場動向レポート」は楽待に掲載された物件情報を基に当社が独自に作成したものです。その内容および情報の正確性や完全性を保証するものではありません。
(楽待新聞編集部・藤江良)
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