不動産投資を成功に導くためには、必要な知識がいくつかある。その中でも、「税金」の知識は、自身の収益をコントロールする上でも重要だ。

だが、なかなか難しく、あいまいになってしまいがちなのも事実。そこで今回は、元国税職員の西田友博税理士が、税金の基礎知識をわかりやすく解説。今日と明日の2日に分けて、知っておくべき税金の「基礎」をおさらいしてみよう。本日は不動産投資初心者に向けた「基本のキ」からだ。

不動産投資の税金、「いつ・何が」かかる?

―不動産投資にかかわる税金には、どんなものがありますか?

覚えておきたいのは、次の7つです。(1)所得税(不動産所得)、(2)所得税(譲渡所得)、(3)住民税、(4)固定資産税・都市計画税、(5)不動産取得税、(6)登録免許税、(7)印紙税。このうち、国に納める「国税」は(1)(2)(6)(7)、地方自治体に納める「地方税」は(3)(4)(5)になります。

このほか、例えば物件を相続した時には相続税もかかる場合があります。これは「国税」です。

―それぞれ、どのような時にかかりますか?

次のようになります。

―物件売却時に消費税はかからないんですか?

わかりやすく説明すると、「土地」は非課税(消費税がかからない)、「建物」は課税(消費税がかかる)となります。

しかし、売主が不動産会社などではなく、「個人」である場合にも消費税はかかりません。

ただし、中古の投資用物件の売買を行う場合、売主が不動産投資家であれば「個人」ではなく「不動産業者」と見られ、課税となる可能性もあります。

―不動産投資の税金はいつかかりますか?

次のカレンダーを参考にしてください。

―不動産取得税や固定資産税を安くする方法はありますか?

残念ですが、ありません。税金は節税できる「申告納税」方式と、節税のできない「賦課課税」の2種類があります。賦課課税というのは、国などから「今回の税額は○○円です」と通知が来るものですね。この賦課課税方式の税金はすでに税額が決まっており、節税はできません。不動産取得税や固定資産税・都市計画税はこれに含まれます。

―不動産取得税は分割で支払えないんでしょうか?

基本的に、税金に「分割」という制度はありません。支払えない場合には「延滞」ができますが、その分延滞利息を支払う必要があります。一括で支払えない場合には税事務所に納付相談を行っていただきたいですが、延滞をしてもあまり良いことはありません。

「不動産投資が節税になる!」のワケ

―そもそも、不動産投資が節税になる、というのは本当ですか?

サラリーマン投資家の場合、「損益通算」という仕組みを使って所得税の節税をすることができます。

―損益通算とはなんですか?

サラリーマン投資家の所得税は、本業であるサラリーマンの給与所得と、不動産投資による所得を合算して決定されます。つまり、不動産所得が赤字になると給与所得からその赤字分を引くことができるため、課税対象額が少なくなります。その結果、給与所得から天引きされていた所得税が還付されるのです。これが損益通算による節税です。

―不動産投資の赤字は、どうしたら生み出せるのですか?

ここで言う「赤字」とは、本当に手元からお金が出ていってマイナスになる、ということではありません。「帳簿上で赤字」になることです。

帳簿上の赤字を生み出すものの1つが「減価償却費」です。減価償却費は実際に支出をするわけではありませんが、帳簿上は経費として計上されます。そのため、帳簿上での赤字を生み出すことで不動産所得が赤字となり、損益通算をすれば節税につながるのです。

―不動産所得の「赤字」とは、実際に支出>収入となることではないんですね。

わかりづらい部分ですが、「赤字」という言葉の本質をきちんととらえてください。実際のお金で赤字になってしまったら、それは投資ではなく、ただの損です。まったく意味がありませんので、しっかり理解しましょう。

「デットクロス」の理解で成否は大きく違う

―オーナーは「デットクロス」に気を付けるべきと聞きました。これはなんですか?

一言で言うと、「元金返済額が減価償却費を上回る状態」のことです。

先ほども説明した通り、減価償却費は、実際にお金が出ないが、経費にできる費用です。一方、元金返済のための費用は、実際にお金が出るにも関わらず、経費にはできません(※利息は経費計上できる)。

―ローンは返済が進むほど元金部分が増えていきますね。

その通りです。そうすると、いずれそれらの額がクロスするタイミングがやってくるのです。

経費にならない元金返済額が減価償却費を上回ると、「本当の収入より、申告する所得が多い」状態になるので、税負担が重くなるのです。

※設備の減価償却を含む

―出口戦略の1つのタイミングにもなりますね。

はい。このまま所有するのか、売却をするのか、判断のポイントにもなります。買った段階である程度予測をすることが可能ですから、長期的な視点で収益シミュレーションを行うことが重要だと思います。

税理士に任せれば、税金の知識は要らない!?

―不動産投資にはいろいろ支出が伴いますが、どういったものが経費になりますか?

ざっくり言うと、以下のような支出は経費として認められます。

▽損害保険料▽減価償却費▽修繕費▽管理費▽広告費▽交通費▽通信費▽交際費▽図書費

交通費や交際費などを経費として申告することは自由です。すべては、税務調査が入った時のために、裏付けとなる証拠や資料をきちんと準備しておくことが重要です。

―今までいろいろと説明していただきましたが、結局、税金のことはすべて税理士に任せれば、自分で理解する必要はないんじゃないですか?

ぜひ自分で勉強してください。「不動産投資」という名前ですが、実質は経営です。お金にかかわる話なので、丸投げは決して良くない。最後に難しい部分だけを任せる、というのが正しい税理士の使い方だと思います。

―自分の収支は、税金によるところも大きいですね。

そうですね。税金をコントロールすることは大事です。真の投資家なら、経営者としてちゃんと理解していただきたいと思います。人に任せるにしても、なぜそういう数字になるのか、説明を求めることが重要です。

今回は不動産投資初心者に、イチから不動産投資にまつわる税金を解説してもらった。明日はもう少しステップを上げて、「法人化」や「リフォーム時の節税」などについて基礎知識を学んでいきたい。

いずれにしても、税金の知識をつけることで節税につながる収益のコントロールが可能になる。正しい知識を吸収して、よりよくキャッシュフローを残していこう。

実践編へ続く)

西田友博税理士 プロフィール

1975年、熊本県熊本市生。高校卒業後、熊本国税局に採用され、鹿児島税務署に配属。
税務署において、個人課税・資産課税の調査事務、国税庁・熊本国税局において、個人課税部門の運営事務に従事し、2016年7月に退職。
同年9月 税理士登録(南九州税理士会所属)、西田友博税理士事務所を開業。

(楽待編集部)

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