――今のように厳しい時代でも融資を受けられているのはどんな投資家でしょうか。

新米大家
銀行というのは不動産賃貸業に限らず、「この人は本当にその事業をするだけの能力があるのかどうか」という点を重視する。例えばすでに5棟ぐらい持っていて入居率が90%を超えているなら、物件の目利き力は間違いないと判断できますよね。金融庁も規定を変えろとは言っていないと思いますし、規定に沿った取り扱いなら何も言わない。一定の資力があるとか物件がいいとか、条件がそろっていれば今まで通りに融資を出すのが銀行の見解かなと。

FP大家
これまでにも不動産賃貸業をやっていて、ある程度ストックがある人だと思います。家賃収入が入って返済が進んで利益が内部留保していけばバランスシートはよくなってくるので、そういう人は返済実績も評価されて借りやすくなる。逆に利益が少なくて借金が多いと債務償還年数が長くなって返済能力が低いとみられる。つまり、「収益力に対して割高な物件」を買ってしまったら次が買えなくなることはあるということです。

サラリーマン大家のTAKA
今のような時代だと融資の当落線上となる人が増えてきますが、判断基準の1つが「物件を持っているかどうか」です。小さい規模でも物件を持っている人であれば、多少銀行の規定にハマらなくても担当者の力量でカバーできるケースがあります。

FP大家
私の銀行に持ち込まれる案件数は目に見えて変わった感じはないですが、成約件数は減ってきている。やはり融資を受けられているのは、ある程度不動産賃貸業の実績がある人ですね。

新米大家
自己資金として、少なくとも購入する物件の2割は持っていなければ運用できないと個人的に昔から思っています。最近区分マンションの人気が高まっているのも、それぐらいの価格でないと頭金を用意できないから。今のうちに小さな物件を買って実績を作っておくと、何年か後に融資条件が緩んだ時に一棟ものにスイッチできるかなと思いますけどね。

期末はチャンスか

――期末に向かっていく今の時期は、融資が積極的になる可能性もあるんでしょうか。

アンダーズ
3月の決算期に向けて融資量を増やせと言われるので、表向きは積極的ではないと言いますが、年明けぐらいから審査部も多少緩くなる傾向はあります。先日会ったある支店長も「紹介してください、案件ください」と焦っていましたね。私も銀行員時代、支店の数字があと少しなら無理して通すこともありました。

新米大家
期末に近づく時期に積極的になる傾向は当然あります。僕も今年2月初めに地元の信組に行ったら、この前借りたばかりなのに「何か案件ないですか」とかなり欲しがっている様子でした。

投資家SA
担当者の立場からすると、これを通さないと目標が未達という状況なら基準に乗らない案件を取り上げすることもなくはないです。ただ、その場合は必ず裏付けを取り、いつも以上に慎重に検討します。銀行としては案件の良し悪しもさることながら、検討のプロセスが重要です。仮に破綻してしまった場合、どのような検討をしたかが問題になります。

仮面銀行マンK
もちろんノルマはありますが、もともとの基準を捻じ曲げてまで融資を出すことは自分たちの首を絞めることにつながるので避けるでしょう。さきほど言った通り、以前に比べて金融庁の検査で債務者区分が格下げされる可能性が高くなっているからです。ただ、3月、9月の決算期は当然融資量を伸ばしたいので、多少金利などの条件がよくなることはあると思います。

サラリーマン大家のTAKA
期末は普段やらないような案件も取り組んだりするのでいいチャンスではあるんですが、担当者は目の前に見えている案件を追うので、時間のかかる新規顧客は優先度が下がる面はある。新規の場合は例えば4月に入ってからとか、担当者が話を聞く余力がある時期を狙った方がいいかもしれません。

不動産向け融資は出さざるを得ない

――今後の融資動向はどのように変化していくと予想しますか?

アンダーズ
先日話を聞いた信組の支店長も、「不動産が以前のようにできていたら余裕で目標達成できるのに、そこが締められているから厳しい」と言っていました。銀行は今本業で稼ぐように言われているので、投資用不動産への融資は出していかざるを得ないと思っています。

サラリーマン大家のTAKA
銀行からすると当然、貸し出したい気持ちはある。閉まった蛇口が徐々に開いていく感じで、1年、2年のスパンで徐々に戻っていくのではないかと予想します。

FP大家
私の銀行では上期も下期も融資量目標、営業ノルマに変化はありませんでした。そうすると、「不動産を絞った分どこで稼ぐの?」という話になる。結局、大きなロットを狙う場合は優良な不動産賃貸業の人になって、貸せる人に「案件どうですか?」とこちらから聞いたりするわけです。そういう意味では、借りられる人と借りられない人の二極化が進んでいくのかなと思います。

投資家SA
自己資金がない人に裏ワザ的なテクニックを勧めていた業者が淘汰されたことで、自己資金のある人にチャンスは回ってくるような気がします。物件価格が下がって利回りが上がり、担保評価がそこそこ出て、CFが出るような物件なら融資を引ける可能性もあります。将来のためにしっかり自己資金を貯め、物件を見る目を養ってきたような人にとってはチャンスかもしれない。

新米大家
融資が厳しいまま物件価格が下がっていくのなら、基準にのってくる案件が出てきて買いやすくなるのではないでしょうか。例えば利回り10%で入居がつくなら絶対儲かるんですが、満室で買った場合はその10%がマックス。だから6、7%ならどうしてもいずれ売却や建て替えという選択肢が出てくる。銀行はあくまでも物件は保有し続けることが前提で、売却は最悪のケースとしか考えない。売ったとしても土地値がこれぐらいだから大丈夫、という考えならOKかと。

FP大家
今後はAIによる審査が一般化していく可能性もあると思います。現在、倒産確率というのはさまざまな業種の倒産事例を基に既存のシステムで算出しているんですが、より細かく膨大なデータを集積してビッグデータとして活用できるようになったら、「データ上こういうオーナーは注意」というように不動産賃貸業の審査の方向性も変わってくるかもしれないですね。

――金利についてはどう考えていますか。 

FP大家
将来的には間違いなく上がると思いますが、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が段階的な利上げを停止する方針を示したことで、日本もここ1、2年ぐらいは上がらないだろうと予想します。 欧州景気も弱いですからね。

投資家SA
消費増税が確定するまで今の金利は動かないと思います。日本は収益構造上、これぐらいの金利じゃないと回らないようになってしまった。今2、3%に上がってしまうと、特に住宅ローンを抱えている個人は所得が増えていないので厳しいかもしれないですね。

新米大家
景気やマクロの分野ではなくミクロ的な考え方として、上げないと融資してもらえなくなっていくと考えます。銀行としては金利も取れないのにリスクは冒せない、という考えが強まっていく。

――スルガ銀行の問題は今後、どのように収束していくと考えますか。

投資家SA
あの銀行は本当に収益力がすごいんですが、ただ融資は増やしていかないと企業として存続できない。内部調査をして不良資産を全て洗い出し、どこかの銀行と合併するのかなとも思っています。

新米大家
金融庁として、各銀行に対する見せしめのような救済策はあるかもしれません。つまり、元本の減免をする可能性はある。「そんなことをしたらこんなことさせるよ」ということですね。僕も単体では生き残っていけないと思いますし、最終的にはどこかの銀行と合併すると思います。

サラリーマン大家のTAKA
債務者との間で譲歩しながら案件を一つ一つ処理している最中かなと思います。合併する候補は横浜銀行ぐらいでしょうか。静岡銀行はエリアが近すぎることがネックになるかと思います。

今回は主に、銀行員と投資家両方の視点から昨今の融資情勢と今後の見通しについて見解を述べてもらった。スルガショックによって各金融機関の規定が変化したというよりも、金融庁の方針に沿った本部の意向に左右されている面が大きいということが分かってくる。この厳しい状況でも融資を受けられている投資家は存在し、金融機関によっても案件に対する見方は大きく異なるようだ。

後編では、各金融機関の審査基準や好条件で融資を引くために必要なこと、融資に積極的な支店を見分ける方法―など、投資家としてどのような考えを持って行動するべきなのか、より具体的なポイントを紐解いていく。後編へ続く)

(楽待新聞編集部・金澤徹)

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