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不動産投資を成功させるには、不動産会社や金融機関と良好な関係を築き、彼らから見て「買える投資家」になることが大きなポイントといえる。それによって、ライバルとの競争で優位に立てたり、好条件の融資を引いたりすることにつながるからだ。

今回は、主にこれから1棟目の購入を検討しているサラリーマン向けに、不動産会社や金融機関と信頼関係を築くための基本的なポイントについて考えていく。サラリーマンのスキルを生かして規模を拡大し、リタイアを達成した投資家の事例を通じて、「買える投資家」に近づく方法を探ってみたい。

不動産会社が物件を紹介したい人とは?

大前提として不動産会社は、いくら物件を案内しても成約しなければ全くお金が入らない。必要な書類を揃えたり関係者と条件の調整をしたりした挙句、融資が下りず別の不動産会社の客に持っていかれる、といったようなことをできるだけ避けたいと考える。そのため、不動産会社から見て成約する可能性が高い人、確実に買えそうな人に紹介したいという心理が働くことになる。

今回紹介するのは、2009年に48歳でサラリーマンをリタイアし、専業大家となった小川貞夫さん(57)。経理部で働いていた2002年、通勤用に区分マンションを購入し、その部屋を賃貸したことをきっかけに不動産投資をスタートした。その後、都内の中古ワンルームから一棟物件にシフト、現在は東京と埼玉で6棟110室ほどを所有し、年間家賃収入は約4000万円に上る。

購入物件の多くは懇意にしている不動産会社に直接紹介してもらったが、それらの会社は最初からコネがあったわけではなかった。

「数年前、インターネットで見つけて購入したアパートの管理会社を探し、業界に精通していると思って宅建協会の会長をインターネットで検索し連絡を取りました。管理会社を紹介してもらうつもりが、話すうち互いに波長が合って、不動産業者でもある会長本人に管理会社をやってもらうことになったんです」(小川さん)。しばらくしてその管理会社から連絡があり、「売りに出ているアパートがあるが買いませんか」と言われ、新たな物件購入に至ったのだという。

自分を知ること

小川さんは「不動産会社に『買ってほしい客』と思ってもらうためまずすべきことは、自分の年収や自己資金、残り勤続年数などの属性のほか、物件の価格帯や利回りなど、自分に合った基準を明確に把握しておくこと。自分の場合は利回り10~15%、法定耐用年数-築年数が10年以上を基準にしていました」と語る。

「その基準にマッチするような物件が出たら、まずは金融機関の審査にかける。何度も資料を持ち込んでダメ出しもされるうち、借金できる額が分かれば、自分の属性で買える価格帯と物件が分かるようになります」

小川さんもまず、現金購入した複数の区分マンションで実績を作り、その後、勤務先と取引がある銀行に掛け合った。初めて金融機関で資金調達した時は、その銀行以外にも、自分が住むエリアに支店のある信用組合、信用金庫、農協を全て検索し、口座を持っている都銀なども入れたリストを作成した。

門前払いされても

一般的に不動産会社からは、金利が高くて融資が通りやすい金融機関が紹介されることが多いが、金融機関からすれば他行から高金利で融資を受けて無理な返済プランを組んでいる物件のオーナーには追加での貸し出しは控えたい。そのため、紹介されるがまま金融機関を利用すると、その後の融資に影響することもあるので最初が肝心だ。互いの舞台裏がわかれば借りやすいので、居住地に近かったり、勤め先と付き合いがあったり、預金していたりする金融機関などがよい。

小川さんは気に入った物件が見つかったら、申し込む前に金融機関に対して「アパートやりたいのですが、アパートローンなんかやってるかなと思いまして」「事前相談なんですけど、アパート増やしたいんです」などと電話で質問し、「やっています」「やっていません」といった相手の反応を見るという。

小川さんは何度も物件を持ち込んだが、「やっていないんだよね」など門前払いされることも多かったという。それでも、サラリーマンのビジネス経験で養った能力を生かし、融資を勝ち取っていった。そんな経験を踏まえ、小川さんが「買える客」になるために必要と考える「5つのスキル」を紹介する。